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経営のわかる人材とは? 経営人材の要件と育成のポイント

2022年3月28日更新

経営のわかる人材とは? 経営人材の要件と育成のポイント

企業規模の大小や業種を問わず、経営感覚のすぐれた人材を育成したいという要請が強まっています。そこで本稿では、経営人材の要件や育成方法のポイントを考察したいと思います。

INDEX

松下幸之助のことば「モノをつくるまえに人をつくる」

先日、某アパレル企業の幹部の方とお話をする機会がありました。その会社はすぐれたビジネスモデルが確立されていて、出店すれば必ず利益が上がる仕組みになっているのですが、新規出店には非常に慎重な姿勢を崩さないというのです。
その理由は、店長候補者の育成が間に合っておらず、「経営のわかる人材」が揃っていない状態で出店しても、将来的に必ず問題が生じるからということでした。この会社の人材育成方針を、松下幸之助のことば「物をつくるまえに人をつくる」になぞらえると、まさしく「出店する前に人をつくる」という表現がぴったり当てはまるという印象を受けました。
この会社のように、性急に事業を拡大せず、それを担う人材の育成を第一義に据えるという方針は、一見すると時間がかかるようですが、中長期の観点からは、失敗や破綻を未然に回避するので着実な行き方とも言えるのではないでしょうか。

物をつくるまえに人をつくる

「松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら、松下電器は人をつくるところです。あわせて電気器具もつくっております。こうお答えしなさい」
まだ創業間もないころから、事あるごとに従業員にこんな訓示を垂れたという。
「"事業は人なり"という。人間として成長しない人をもつ事業は成功するものではない。事業にはまず人材の育成が肝要だ」
松下幸之助は、常々そんなことを考えていた。つまり、資本や技術、設備がいくら充実していても、人材が育っていなければ、事業は成り立つものではないということだ。
しかし、松下幸之助のいう人材の育成とは、たんに技術力のある社員、営業力のある社員を育成すればよいというものではない。自分が携わっている仕事の意義、社会に貢献するという会社の使命をよく自覚し、自主性と責任感旺盛な人材を育成すること、いわば産業人、社会人としての自覚をもった人間を育てることが、松下幸之助が目指した真の意味での人材育成であった。

出典:松下幸之助com

経営のわかる人材とは? 経営人材の要件

前述のアパレル企業のように、「経営のわかる人材」を育てたいという要請は産業界全体で高まりつつあります。では、「経営のわかる人材」とはどういう人材でしょうか。
元・パナソニック副社長で、当社主催『松下幸之助経営塾』の特別講師を務める戸田一雄氏によると、経営者・経営幹部には「二つの経営責任」があるとされます。その二つとは、「事業を通じて社会に貢献する責任」と「自立した経営状態をつくる責任」ですが、これは渋沢栄一の言う「論語と算盤」とほぼ同義と解釈できます。
つまり、世のため人のために尽くしながら、適正利潤を上げて活動資金を確保していくことが経営者・経営幹部の責任だというのです。そして、そのことを理解し、実践している人のことを、PHPゼミナールでは「経営のわかる人材」と定義づけています。

経営人材を育成するには?

では、経営のわかる人材になるためにはどうすればいいでしょうか。ここでふたたび、松下幸之助のことばを紹介いたします。

だから、ぼくはよく言うんですが、経営でも、経営学というのがありましょう。経営学は教えることができる、習うこともできる。けれども経営のコツは、生きた経営というものは教えることはできない。自分で体得せねばしかたないですよ。

出典:森繁久彌との対談(1976.1.25)記録より

幸之助のことばにある「コツ」に近い概念に「ツボ」があります。ツボとは、例えば、整体で「ここを押せばこういう効果がある」という因果関係を明示しているような、形式知をもとにした普遍性・再現性のある理論体系のことです。
それに対して、コツは暗黙知に覆われている部分が多いので、知識や情報として他者から教わることが難しいのです。幸之助が、生きた経営は体得するしかないと考えていた根拠はここにあるのです。
そして、体得のためには、日々の仕事体験とそれを振り返る内省、さらには第三者からの問いかけやフィードバックが必要です。そうした取り組みを継続すれば、経営に関する持論(コツ)が徐々に形成され、経営のわかる人材へと一歩ずつ成長していくことができるでしょう。

経営感覚は、すべての人に求められる

ここまで経営のわかる人材について述べてきましたが、これは経営者・経営幹部だけを対象にした議論ではありません。役職のついていない人、もっと言うなら4月から新社会人になる新入社員にも経営感覚は求められます。
もちろん、経営者・経営幹部に求められるものと比べるとレベルは低いかもしれませんが、自分の仕事や人生を自分で経営するという発想、つまり主体性をもって行動するという姿勢はすべてのビジネスパーソンに求められます。
そのスタンスが個人の成長と組織の発展につながり、産業界全体の活力向上につながるのではないでしょうか。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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