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担当者必携!コンプライアンス・チェックリスト~具体例と活用方法を解説

2025年3月10日更新

担当者必携!コンプライアンス・チェックリスト~具体例と活用方法を解説

コンプライアンスチェックリストは、企業が法令や倫理基準を遵守しているかを確認するための重要なツールです。本記事では、チェックリストの必要性から具体的な項目、活用方法までを詳しく解説し、企業のリスク管理を支援します。

INDEX

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コンプライアンスチェックリストはなぜ必要なのか?

企業のコンプライアンス違反が、たびたび社会問題になっています。リスク管理のためにはコンプライアンスチェックリストが重要といわれますが、まずは、その役割から考えてみしょう。

リスク管理における役割

コンプライアンスチェックリストは、企業が法令や倫理規範を遵守しているかを定期的に確認し、潜在的なリスクを特定するために不可欠です。違反を未然に防ぎ、企業価値を守ります。
また、チェックリストはリスクアセスメントの基礎となります。リスクの高い領域を特定し、優先順位をつけて対策を講じることで、企業全体の安全性を高めます。

内部統制におけるチェックリストの活用

企業の内部統制システムにおいて、チェックリストはプロセスの有効性を評価するために利用されます。定期的なチェックを通じて、業務プロセスの改善と効率化を促進します。

業務の透明性を確保する役割

コンプライアンスチェックリストは、業務の透明性を確保し、法令遵守や不正防止を徹底する役割を担います。従業員が適切な手順に従って業務を遂行できるよう促し、現場レベルから公正な企業活動を支えます。

コンプライアンスチェックリスト 7つのテーマと項目例

企業のコンプライアンス(法令遵守)を強化し、健全な経営を維持するために重要なテーマについて、自社で実践できているかどうかを、チェックリストを作成して確認します。ここではチェックリストの例をご紹介します。現場、部門ごとに、より具体的な知識・行動レベルに落とし込んだチェックリストを作成し、取り組みを徹底することで、企業の信頼性が向上し、持続可能な成長につながります。

法令遵守(Legal Compliance)

企業が関係する法令や規則を守ること。労働法、会社法、独占禁止法、個人情報保護法などを遵守し、違反を防ぐことが求められます。

  • 関係法令(労働法、個人情報保護法、独占禁止法など)の最新動向を把握しているか
  • 社内規程やマニュアルが最新の法令に準拠しているか
  • 法令違反が疑われる行為に対して、適切な報告・対応体制が整っているか

労働環境・ハラスメント防止(Work Environment & Harassment Prevention)

従業員が安全で働きやすい環境を整えること。パワーハラスメントやセクシャルハラスメントの防止対策、労働時間管理、健康管理などが含まれます。

  • 労働時間・休日・残業の管理が適切に行われているか
  • 職場におけるハラスメント(パワハラ、セクハラ、モラハラなど)の防止対策が実施されているか
  • メンタルヘルス対策(ストレスチェック、カウンセリング体制など)が整備されているか
  • 従業員の意見・相談を適切に受け付ける窓口が設置されているか

情報管理・セキュリティ(Information Management & Security)

企業の機密情報や顧客情報を適切に管理し、外部漏洩や不正アクセスを防ぐこと。サイバーセキュリティ対策や内部規定の整備が必要です。

  • 機密情報・個人情報の管理ルールが明確化されているか
  • 情報漏洩防止のためのアクセス制限や暗号化対策が実施されているか
  • IT機器の使用ルール(USBの持ち出し禁止、パスワード管理など)が徹底されているか
  • 不審なメール・フィッシング詐欺への対応マニュアルがあるか

取引先との関係(Business Relations)

公正で透明性のある取引を行い、贈収賄や不正行為を防ぐこと。契約遵守、下請法の順守、利益相反の防止などが含まれます。

  • 取引先との契約内容が法令や社内規定に適合しているか
  • 取引先との関係が適切であり、利益相反や贈収賄のリスクがないか
  • 公正な競争を確保するための仕組み(価格談合の禁止、独占禁止法遵守)があるか
  • 取引先とのやり取りが記録・文書化されているか

会社資産の適切な利用(Proper Use of Company Assets)

会社の設備、金銭、知的財産などを適切に使用し、不正流用や私的利用を防ぐことは、リスク管理の基本といえるでしょう。継続して管理するとともに、ルールが形骸化しないための仕組みづくりも重要です。

  • 会社の設備・備品・金銭の利用ルールが明確化されているか
  • 会社資産の私的流用が行われていないか(社用車の私的利用、備品の持ち帰りなど)
  • 知的財産(特許、商標、著作権など)の適切な管理が行われているか
  • 業務で使用するソフトウェア・ライセンスが正規のものか

社会的責任・CSR(Corporate Social Responsibility)

環境保護、地域社会への貢献、人権尊重など、社会的責任を果たすこと。SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みも重要です。

  • 環境負荷低減のための取り組み(省エネ、リサイクル活動など)が行われているか
  • 地域社会への貢献活動(ボランティア、寄付など)が実施されているか
  • 多様性(ダイバーシティ)や人権尊重の取り組みが推進されているか
  • SDGs(持続可能な開発目標)への貢献が意識されているか

コンプライアンス教育・研修(Compliance Education & Training)

従業員がコンプライアンス意識を高めるために、定期的な教育・研修を実施し、企業文化として定着させることが重要です。教育研修は階層別に実施するといいでしょう。

  • コンプライアンスに関する教育・研修が定期的に実施されているか
  • 研修の受講状況が記録・管理されているか
  • 違反事例や過去のトラブルを学ぶ機会が設けられているか
  • 新入社員や管理職向けに、それぞれ適した教育プログラムがあるか

参考記事:コンプライアンス研修 階層別に実施するには? 動画やケーススタディ資料も紹介

コンプライアンスチェックリストの効果的な活用方法

定期的に社内チェックを実施し、コンプライアンス状況をモニタリングします。四半期ごと、または年次ごとの実施が推奨されます。
次に、チェック結果を分析し、改善が必要な領域を特定します。改善計画を策定し、実行することで、コンプライアンス体制を強化します。
また、従業員への周知と教育も重要です。チェックリストの内容を従業員に周知し、教育を実施します。従業員の意識向上と行動変容を促し、組織全体のコンプライアンス文化を醸成します。

コンプライアンス違反が発生した場合の対応策は、事前に策定しておくことが重要です。違反の内容に応じて、適切な措置を迅速に講じることが求められます。

松下幸之助「企業は社会の公器である」

一代でパナソニックグループを世界的企業に育て上げた松下幸之助(パナソニックグループ創業者・PHP研究所創設者)は、企業を社会の公器と考え、その企業の使命に照らして、何が正しいかを考えつつ、経営を進めるように心がけなくてはならない、と説いています。

どのような企業でも、本来は人びとのため、社会に役立つために存在している。そして天下の人、天下の土地、天下の金を使って、経営を進めている。それゆえに企業経営は私事ではない。私企業といえども公器である。そういう信念に立たないといけない、ということが松下幸之助の経営観の根底をなしている。"社会の公器を預かっている"と考えると、たとえ個人の企業であろうと、私の立場で考えるのでなく、つねに共同生活にプラスになるかマイナスになるかという観点からものを考え、判断しなければならないことになる。そこにおのずと公平無私な企業の経営というものが生まれてくる、と松下幸之助はいう。また、企業が公器だとなれば、その企業の活動にあたって人を使うことも、私事ではなく公事だということになる。自分1人の都合、自分1人の利益のために人を使っているのではなく、世の中に、より役立つために人に協力してもらっているのである。そう考えれば、そこに1つの信念が生まれてくる。

出典:「社員研修VAプラス」(PHP研究所)

松下幸之助の「企業は社会の公器」という考え方は、私たちが今、コンプライアンス経営を考えるうえでも参考にすることができます。単なる法令遵守にとどまらず、大所高所から企業経営を俯瞰し、倫理観をもって事業を展開しなければならないということです。

コンプライアンス違反を防ぐには、まずは経営トップから社員まで「企業の社会的責任」について再確認することから始めるべきでしょう。コンプライアンスチェックリストは、企業が持続的な成長を遂げるために不可欠なツールです。定期的なチェックと改善を通じて、リスクを管理し、信頼性の高い組織を構築しましょう。

参考記事:コンプライアンス研修の内容、ネタはどうする? 効果的な実施方法なども解説

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