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方針を示す~松下幸之助「人を育てる心得」

2017年3月 7日更新

方針を示す~松下幸之助「人を育てる心得」

「企業は人なり」ということがよくいわれますが、会社の経営において、よき人材を育てる必要があることは、あらためていうまでもありません。

一つの部や課においても、人材が次々に育ってこそ、その成果もあがり、発展が生み出されるわけで、人材育成は、責任者が一刻もゆるがせにできない大切な任務の一つです。

それではどうすれば、よき人材を育てることができるのか。大切なことはいろいろあるでしょうが、私はその一つというかその基本として、まずその部なり課の方針というものをはっきり示す、ということをあげたいと思います。「われわれの部は、社内にあってこれこれこういう分野の仕事を担当している。このわれわれの任務を、より正しくより効率よく果たしていくために、今後はこういう方針で、こういうことに取り組んでいきたい」ということを、部長が部員全員にはっきり示し、訴えるのです。そして、「諸君は、こうした当部の方針、目標を理解して、みずから大いに勉強に努めてほしい。むずかしいことがあれば相談にのるから」ということを、機会あるごとに要望していく。そういうことがまず基本だと思うのです。

会社全体についても、社長が「会社はこういう方針でやるんだ。だから皆さんは、この方針に沿って腕を磨いてほしい。みずからを養ってほしい」と要望すれば、社員は必ずそれぞれに努力するものです。会社に何も方針がない、あるいはあってもそれが強く訴えられないということだと、社員は何をどうしていったらいいか分かりません。ただなんとはなしに日を送るということになって、なかなか力を高めるところまではいきません。

これは、国の場合も同じです。国としての目標がはっきりしていれば、その目標に向かって教育が始まり、国民もまたその目標に向かって努力します。そうすればその国は発展する。また、個人の場合でも、やはり自分自身で目標、方針をキッチリ定めてこそ、その達成をめざす努力に力がこもり、力を伸ばしていくことができるのだと思います。

一つの部や課の場合、その方針、目標は、会社全体のそれに沿ったものでなければならないことはいうまでもありませんが、そういう方針を責任者として明確に示しているかどうか。「うちの部員はどうも勉強が足りない」と嘆く前に、まずみずからの姿勢をふり返ってみる必要がありはしないでしょうか。

【出典】 PHPビジネス新書『人生心得帖/社員心得帖』(松下幸之助著)

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