新入社員にとって最初の上司の影響は大きい
2013年9月 5日更新
部下は上司を見て育ちます。したがって、その仕事ぶりや態度、自己成長への意欲は、最初の上司から大きな影響を受けます。OJTをすすめるうえで、上司はその責任とやりがいを自覚する必要があります。
【ポイント】
・「今どきの若者」を育てたのは「今どきの大人」。次世代の育成は年長者の使命である
・誰もが最初は「未経験者」。経験者たる自分と若者を比べても仕方がない
・部下は上司を見て育つ。その責任とやりがいを自覚するところから始めよう
今どきの若者は本当に“仕方がない”のか
1980年代後半に話題となった「新人類」。その特徴はおよそ次のようなものであった。
これらの特徴は、現在の「今どきの若者」像と言うこともできるのではないだろうか。もちろん、当時、新人類と呼ばれた若者たちは、今、立派に育っている。
「今どきの若者は……」――このセリフは、実は有史以来、何千年も繰り返されているものである。エジプトのピラミッドの石に、「今の若者は仕方がない」という意味の落書きがあるという。もし、その当時から、世代を追うごとに若者のレベルが下がり続けているとすれば、とっくの昔に人類は滅びているに違いない。いつの時代でも「経験者」から見れば、「未経験者」は「仕方がない」と思えるものなのである。
市場は多様化している。時代の移り変わりに対応していくためにも、多様化を受け入れられる組織でありたい。それぞれの時代背景に育まれ、さまざまな価値観や考え方をもった多様な社員の存在が、組織をより強くするのである。
自分を操縦(コントロール)できるのは唯一自分のみである。自分の人生を自ら律し(コントロール)て生きようとすること。それが自律型人材の心のありようではないだろうか。
部下の姿は上司の鏡
部下は、上司を「見て」育つ。それだけに、上司が部下に与える影響は大きいものである。「仕事ができる人材」の「優秀さの源泉」はさまざまだが、ただひとつ共通するのが、「最初の上司が育成上手であったこと」だとする調査もある。
実際、部下としても、仕事で何かあったときに相談する相手は上司である。頼らざるを得ない立場にいる人を上司と呼ぶのかもしれないが、そうであるならば、まずは「頼りがいのある上司」を育てようというものではないだろうか。
※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
【著者プロフィール】
茅切伸明 かやきり のぶあき
慶應義塾大学 商学部卒業後、(株)三貴入社。その後、(株)日本エル・シー・エー入社。平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計3,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)
松下直子 まつしたなおこ
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。人事部門では、採用、育成、人事制度設計と運用、労務管理と幅広く人事業務に携わる。独立後は学習塾の経営や大学講師の経験を経て、現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修依頼は年間200本を超える(2011年実績)。人材育成を生涯のライフワークと決意し、社会人教育に意欲的に向き合うかたわら、士業家の独立支援事業、文化教育事業にも取り組み、幅広く人材育成に携わっている。