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組織の方針やルールが徹底されない5つの理由

組織の方針やルールが徹底されない5つの理由

(2018年1月24日更新)

 
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組織の方針・ルールが徹底されない理由は、どこにあるのでしょうか。どうすれば現場の社員にまで浸透させることができるのか、コミュニケーションのあり方を、組織開発の視点から考えてみましょう。

 

なぜ組織の方針やルールが徹底されないのか?

組織の方針・ルールを、部下にわかりやすく伝えるのは上司の仕事です。部下が方針を理解していないなら、それは上司の伝え方に問題があります。ルールが徹底されていないなら、上司の管理責任能力が問われます。上司には、何度も繰り返して、時間をかけて、部下が理解するまで説明する義務があります。

「この前言った方針を忘れたのか!」「ルールをしっかり守れ!」と怒っている上司はいませんか? そう言われた部下は、「そんなの聞いてない」「そんな方針に納得できない」「上司も言ったことをやってない」などと不平不満を漏らしていることでしょう。そして、多くの社員が2、3日経つと忘れてしまいます。上司の方に、部下を責める前に、自らの行動をチェックしてもらう必要があります。

では、どうしたら組織の方針やルールを浸透させることができるのか。まずは伝え方の問題、そして人によって言葉のとらえ方に違いがあるという問題について解説していきます。

 

伝言ゲームのように、どんどん伝わらなくなっていく

組織の方針やルール、あなたの会社ではどのように伝えていますか?

多くの企業で、社長が幹部に伝え、幹部が管理職に伝え、管理職が現場リーダーに伝え、現場リーダーが一般社員に伝え……というふうに、伝言ゲームのように伝えているのではないでしょうか。仮に一回あたりの伝達率が70%とすると、社長から現場の社員までに7階層あるため、現場に伝わるのはせいぜい10%程度ということになります。

さらに、社長としては自分の思いや意図をしっかりと伝えたつもりでも、複数の人が介在してバイアスがかかり、少しずつ理解がずれてしまうこともよくあります。

社員は聴いたつもりでいますが、社長から見ると「全然わかっていない」となるのはそのためです。

 

「理解している」部下VS「浸透していない」上司

日本生産性本部が行なった第4回「職場のコミュニケーションに関する意識調査」(2017年6月20日)には、「会社(組織)の経営方針や理念を理解していますか?」という質問項目がありました。「理解している」と回答した一般社員は全体の78.2%だったのに対し、部下に「浸透している」と回答した課長職は43.2%。この結果からもわかるように、上司と部下の認識には、大きなギャップがあるのです。

社長が「今年は働き方改革を徹底推進する!」と宣言しても、社員の行動は一向に変わらない――そうした状況も、このギャップを考えるとよくわかります。

 

方針やルールの浸透を阻害する5つ条件

事務的なことであれば、朝礼や通達で伝えることができます。しかし、組織の方針やルールをしっかりと伝え、浸透させるのは、とても難しいことです。ましてや次の5つの条件があれば、ますます困難になります。

1)日頃から上司が部下の話に耳を傾けていないので、部下も上司の話を積極的に聴こうとしない

2)伝える上司は「情熱的に」話していても、聞いている部下は上司の言葉を聞くだけで、ほとんど忘れる

3)強要されること、都合の悪いことに対しては、部下のほうで「聴きたくない」という潜在意識が働く

4)部下の興味や関心を理解しないで、上司が自分本位の話し方をしている

5)抽象的な言葉を使い、具体例やデータを用いていない

 

5つのなかでも、社員の抵抗を感じる(3)のケースは深刻です。

人には「コンフォートゾーン」と呼ばれるものがあります。ストレスや不安などを感じずに過ごせる状態のことです。コンフォートゾーンから外のことになると、ストレスや不安を感じます。上司の方針や理念は、部下にとってコンフォートゾーンの外にあることが多いため、無意識に「聴きたくない」という潜在意識が働くのです。

この場合、上司の利害と部下の利害が一致しない限り、方針やルールはただのお題目になってしまいます。

 

人によって認識のしかたや言葉の定義、基準が違う

コミュニケーションを学ぶ研修で、「山を描いてください」という演習をしてもらうことがあります。受講生に紙をわたすと、連山を描く人、富士山を描く人、阿蘇山を描く人、漢字で「山」と書く人などがいて、人によってさまざまなものが出来上がってきます。

また、職場においても「机の上を片付けてから帰ってください」と指示すると、書類を積み重ねてまとめるだけの人、引き出しの中にしまう人、机の上も机の中も整理整頓する人など、大きく差が出るものです。

このように、人によって認識のしかたや言葉の定義、基準は異なるもので、それを意識して伝えることが重要です。特に、上司と部下のイメージを一致させるためには、手を変え品を変えて、具体的なイメージを何度も伝えていくしかありません。さらに大切なのが、行動する部下に「ワクワク感」を促すこと。部下の価値観に合うように、興味や関心を促す言葉で伝えることがポイントになります。

 

人事担当者は、方針やルールが浸透する仕組みづくりを!

これまでお話ししてきましたように、方針やルールは一回伝えただけではほとんど伝わりません。わかりやすい言葉を使って、全社員が納得するまで何度も何度も繰り返し伝える必要があります。

そこで、人事を担当する方が、方針やルールを伝える機会、考える機会、そして評価する制度を、どうつくるかを考えてみました。

・期初や月初に方針発表会、ルール説明会を開催する

・方針やルールの概要、思い、ビジョン、社員への期待を「ガイドブック」にまとめる

・毎日朝礼で方針やルールを唱和する

・方針やルールを順守した社員を毎月表彰し、優秀行動を共有する

・みんなで話し合う会議を開く

(「そもそも」論や「ビフォア・アフター」論、「天国と地獄」論など)

・社長と若手社員、上司と部下の食事会を開催する

・上司が部下に仕事を任せる際、方針からの意義や目的を伝える

・イントラネット、Facebookページ、SNSなど複数の媒体を用いて継続的に発信する

さまざまな方法が考えられます。

人事を担当する方は、全社員を巻き込み、みんなが働きやすい、行きたい、おもしろいと感じる職場になるような仕組みづくり・環境づくりを、ぜひ推進してください。

 

松下幸之助に学ぶ5つの原則

 

 


 

茅切伸明(かやきり・のぶあき)

株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。 
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

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