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トヨタのリーダー 現場を動かす本気の言葉

2014年11月21日更新

トヨタのリーダー 現場を動かす本気の言葉

「熱意は人から人に伝わる」という言い方があるが、リーダー自身の本気こそが人を動かし、現場を動かす最大の原動力になります。トヨタのリーダーはいかにしてチームを奮い立たせているのか、PHPビジネス新書『トヨタのリーダー 現場を動かしたその言葉』(若松義人著)の転載でご紹介します。

「これからはできない理由は一切言わないで、どうしたらできるかという条件を出してください」

1960年代半ば、トヨタと業務提携をしたダイハツは、京都工場にトヨタ式を取り入れながらトヨタの「パプリカ」の受託生産を行い、数年後には「スターレット」の生産も行うことになる。今でこそ1ラインで複数の車種をつくることは珍しくないが、当時のダイハツでは1ラインでは1車種しかつくれないというのが常識であった。

大野耐一氏の指導を受けたことがある当時工場次長だった田中通和氏は、部課長を集めて「スターレットをつくることにした。問題点があったら出してくれ」と宣言した。これに対して、2時間にわたって山のように「できない理由」が挙がってきた。

「みなさんのできない理由はよくわかりました。しかし、私はつくることを決心しています。これからはできない理由は一切言わないで、どうしたらできるかという条件を出してください。それを一緒に考えながら、その条件を満足させていきましょう」

「できない」からスタートすると、「できない言い訳」しか生まれない。だが、「やる」と決めてしまえば、「どうすればできるか」を考えるほかはない。乱暴な言い方ではあったが、田中さんのこの発言をきっかけに、社内は「これは反対してもしょうがない」と1つにまとまり、みんなで一生懸命に対策案を考えるようになった。

リーダーが決断し、その本気さが伝われば、メンバーもついてくるということだ。

トヨタのリーダー

『トヨタのリーダー 現場を動かしたその言葉』
若松義人著。日本最強の企業トヨタ。そこで働くリーダーたちは、現場に何を語りかけ、どう動かしているのか。言葉とエピソードで徹底解説する。

著者:若松義人(カルマン株式会社代表、トヨタ式の第一人者)
1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大宇自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著著に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『使える! トヨタ式』(PHP研究所)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』(以上PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタが「現場」でずっとくり返してきた言葉』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和書房)、『トヨタ式改善力」(ダイヤモンド社)などがある。

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