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1on1をオンラインで成功させるポイントとは?~人事部は要チェック!

2021年4月 1日更新

1on1をオンラインで成功させるポイントとは?~人事部は要チェック!

上司と部下が、日々の業務の振り返りや相談を定期的に面談形式で行う「1on1ミーティング」。部下の成長支援や組織活性化の手法として注目を集め、多くの職場でとりいれられています。 昨今、コロナ禍を契機にテレワークが普及したことで、1on1をオンラインで実施する機会も増えてきています。そこで今回は、オンラインで1on1を実施する際に、特に気を付けたいポイントを紹介していきます。

本稿はDVD『上司と部下がペアで進める「1on1」』の内容を参考に作成いたしました。本ページ末尾にデモムービーをご用意していますので、あわせてご覧ください。

INDEX

オンライン1on1を準備する上でのポイント

オンラインでの1on1は、会社のミーティングルームとは異なり、準備の段階からチェックしておくべきポイントがあります。忙しいなかでせっかく機会を設けたにもかかわらず、準備不足がたたって上司部下どちらにも不満が残ったというようなことにならないために、準備のポイントを整理しておきます。

1on1の目的を上司部下ともに理解する

オンラインでの1on1を考える前に、あらためて1on1の目的を確認しておきましょう。1on1の目的としては、以下のようなものがあげられます。

  • 部下と上司がお互いの考えを共有する
  • 部下に業務の振り返りを促し、成長を支援する
  • 部下が設置した目標と進捗を確認し、取り組みを確認する
  • 部下の仕事上の課題や悩み、不安などの相談に応える など

こうした1on1の目的を上司部下ともにしっかりと認識してもらうことで、短い時間でも質の高いコミュニケーションを実現することにつながります。そして、1on1の目的を現場に浸透させるのは人事の役割となります。

特に強調しておきたいことは、「1on1の主役はあくまでも部下であり、部下が話したいことを話す」ということです。対面であれオンラインであれ、このことを現場が理解していないと、1on1はどんどん形骸化していきます。

人事部としては、1on1を導入すること自体が目的になってしまわないよう留意する必要があります。人材開発・組織開発の第一人者である中原淳氏(立教大学経営学部教授)は、1on1を戦略的に導入するための「MAOモデル」を提唱しています。

参照:PHP人材開発「失敗から学ぶ「1on1」の成功法~中原淳」

インターネット環境を整備する

オンラインで1on1を実施するためには、当たり前のことですがネット環境の整備は欠かせません。面談中に画面がフリーズしたり、音声がとぎれとぎれになったりすれば話に集中できませんし、大事なところでとつぜん接続が切れて中断ともなれば、ストレスもたまります。

ですから、オンラインでの1on1を導入する前に、社員に自宅やサテライトオフィスで試験的に実施してもらい、ネット環境を確認しておくことは最低限の条件です。もし、ネット環境が十分でない場合はモバイル型Wi-Fiの貸与なども検討してください。
また、静かな場所からアクセスする、イヤホンやマイクを準備するといった確認事項をあらかじめリストアップしたり、Zoomなどのツールの活用マニュアルを配布するといったことも実施しておきましょう。

話す内容・ルールを事前に決めておく

1on1の実施にあたっては、事前に話す内容を決めておくことが重要です。行き当たりばったりで話をするというスタイルでは、「単なる時間の無駄だった」ということにもなりかねません。1on1の主役は部下ですから、原則的に事前に部下から何を話したいのか「アジェンダ」を出してもらい、上司は必ず準備をしてからミーティングに臨むようにします。職場で気軽に声をかけられる環境と違って、再び機会を設けるハードルが高いオンラインコミュニケーションですから、後で「あ、しまった!」というようなことにならないようにしたいものです。

1on1をオンラインで実施するにあたっては、基本的なルールも決めておきましょう。「定刻の2、3分前には入室する」「ビデオ機能はオンにする」「ミュートにしない」など、人事部が一定のガイドラインを示しておけば、現場での導入はスムーズに進むでしょう。

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オンライン1on1実施のポイント

事前準備ができたら、いよいよ面談です。オンラインでの1on1は、リアルな面談とは異なり、いくつか留意すべきポイントがあります。順にご紹介しましょう。

まずはアイスブレイクから

いきなり本題から話し始めるのではなく、まずはアイスブレイクから入りましょう。アイスブレイクとは、参加者の緊張感をほぐし、話しやすい雰囲気をつくること。もちろんたわいもない雑談で構いませんが、フリーハンドで話しづらいようなら「近況トピック」「最近食べた美味しかったもの」「イチオシの本や趣味のもの」などテーマを事前に決めてお互いに話してみるのもよいでしょう。

テレワークが続くと、どうしてもお互いのコミュニケーション機会は限られ、関係性は薄れてしまうものです。特にフルリモートで働く場合、職場の仲間と雑談する機会がなくなり、孤立感を深めてしまうというケースもあるようです。オンラインというと生産性や効率が重視されがちですが、1on1でも話しやすい雰囲気をつくってから始めるほうが、お互いの信頼関係の醸成につながります。1on1は、単なる業務連絡や進捗確認の面談ではありませんから、適度な雑談やアイスブレイクで、本音で話し合える雰囲気づくりが不可欠といえます。

健康状態をチェック

アイスブレイクで雰囲気づくりをしながら、部下の体調やメンタル面も確認するようにしましょう。職場で仕事をしているときと違って、テレワークでは、上司が部下の健康状態を把握するのが難しいものです。2020年3~5月に、オンラインエクササイズサービスを提供するアイ・タップが実施した調査によると「リモートワーク前と後での健康面の変化はありましたか」という質問に対して、「悪い」と回答した人が半数以上にものぼっています。特にフルリモートでほとんど顔を合わせない部下の場合、上司が気づかないうちにタスクを抱えすぎてストレス過多になっていた、というのはよくある話です。健康面、メンタルヘルス面にも気を配るようにしたいものです。

相手の話を遮らない

オンラインの1on1では、上司が部下の話を最後まで「聴く」ということが何より重要です。部下の発言を遮って話すのは論外ですが、ふたり同時に話し始めてしまい「あ、すみません、課長から先にどうぞ」「いや、〇〇さんから話してください」と会話が渋滞するのはよくあることで、度重なるとストレスになります。ですから、オンラインの1on1では、対面時以上に最後まで「聴く」という姿勢が求められるのです。

また、オンラインでは相手の反応を把握するのが難しく、どこまで伝わっているのか不安になることが多々あります。ですから、部下に「ちゃんと聴いているよ」「理解しているよ」ということが伝わるように、大きめのリアクションを心がけるといいでしょう。無言でうなずくだけでなく、「なるほど」「そうなんだ」とタイミングよく相槌をいれるようにしましょう。

こうした「聴く」姿勢は、反対意見があったり、話し好きの上司にはなかなか難しいものです。しかし、1on1は「部下が話すため」の時間ですから、途中で口をはさまず、とにかく最後まで「聴く」という姿勢が大切です。

お互いのメモを最後に共有

1on1の締めくくりには、上司と部下がお互いのメモを共有することをルールにするのもおすすめです。これは、ミーティングで合意した内容を共有、確認することになり、その後の部下の自発的な行動を促すうえで、とても有効です。せっかく合意したことも実行しなければ意味がありません。特にテレワークがメインの部下の場合、上司の目が届きにくく、日常的なフォロー、サポートがしにくくなります。ですから、1on1の最後にしっかりコミットメントを得ておくことが重要なのです。そのためにもミーティング中にはメモを取り、相手に見せられるような内容にしておくことが欠かせません。

また、面談後は必ず内容を振り返り、うまくいったこと、いかなかったことを整理し、次回に生かすようにします。そうすることで、上司のコミュニケーションスキルは確実にレベルアップしていきます。

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オンライン1on1では顔を出すべき?

最後に、オンラインでの1on1でよく話題になる「面談中に顔を出すかどうか」です。まずはそれぞれの利点を考えてみましょう。

顔を出す場合の利点

顔を出す利点は、相手の表情がわかりやすくなることです。表情がわかれば会話もしやすくなりますし、自分の意図が相手に伝わっているかをお互いに確認しながらミーティングをすすめることができます。もちろん、顔を出すことで恥ずかしさや緊張が生じるかもしれませんが、アイスブレイクで雰囲気づくりはできますし、そもそもこれは「慣れ」の問題でもあるといえます。

顔を出さない場合の利点

顔を出さない利点として、過度の緊張がないということがあげられます。また、音声だけのほうがかえって会話に集中できるという人もいます。メイクや服装などの準備に時間を割かずにすむということもあるでしょう。「今、仕事をしているのは、どういう場所?」という質問で、アイスブレイクができるという点もメリットかもしれません。

オンライン1on1では顔を出すほうが望ましいが......

1on1の目的からすれば、やはりビデオ通話でお互いの顔を見せ合いながら話すほうが望ましいといえます。特に上司の側は、部下に「きちんと話を聴いている」「理解している」ということを伝えるためにも顔を出すメリットが大きいことは確かです。 しかし、ネット環境に不安があり、ぶつぶつと途切れたりするなら、音声通話にしたほうがかえってよいかもしれません。また、髪がボサボサで今日は顔を見られたくない、部屋に洗濯物が干してある、家族や子どもが後ろを通るのをみられたくないなど、ビデオ通話にしたくない日もあるかもしれません。そんなときにビデオ通話を無理強いすれば、かえって気が散ったり話しにくくなります。「顔を見せないなんて失礼だ!」などと考えず、そこは臨機応変に切り替えていきましょう。

まとめ

今回は、オンラインで1on1ミーティングを実施する際のポイントについて紹介しました。

  • 上司部下ともに1on1の目的を理解する(1on1の主役は部下である)
  • インターネット環境を整備する
  • 話す内容・ルールは事前に決めておく
  • まずはアイスブレイクから(本音で話しやすい雰囲気づくり)
  • 健康状態をチェックする
  • 相手の話を最後まで聴く
  • お互いのメモを最後に共有する(合意事項をお互いに確認する)
  • 顔出しが望ましい(特に上司)

コロナ禍の影響でリモートワークが増えたこともあり、1on1をオンラインで実施するケースは今後ますます増えてくると思われます。今回ご紹介した内容を、ぜひ参考にしてみてください。

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