プレイングマネジャーに求められる3つの意識改革
2020年5月27日更新
プレイングマネジャーとして、チームを育て成果を出し続けていくために必要な考え方をご紹介します。
「プレイングマネジャー」の課題
例年であれば、新入社員をはじめとする新たなメンバーを職場に迎え、スタートをきる春。しかし今年は、多くの職場が、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため思うように活動することが難しい状況となりました。
とはいえ、企業としては、ステークホルダーへの責任を果たすべく、事業を継続し、収益を上げていかなければなりません。こうした未曾有の事態のなかで結果を出していくには、目標を示し、リーダーシップを発揮して、チームとともに力強くゴールを目指すマネジャーの存在が不可欠です。
現在の日本のビジネス環境では、マネジメント職といっても、「プレイングマネジャー」であることが、もはや“当たり前”となっています。しかし、プレイヤーとして現場で成果を上げつつマネジメントを行うことも求められるため、息つく暇もないような忙しさのなかで疲弊していく人が少なくありません。
マネジャーにシフトチェンジできているか?
そうした疲弊を招く要因として、「プレイヤーとしての活動に時間と労力を割きがちである」ということがあるでしょう。人にさせるより自分でやったほうが早い、目標の達成には自分が数字をフォローするしかないなど、理由はさまざまでしょうが、優秀なプレイヤーがマネジャーに昇進することが多いことも、背景として考えられます。しかし、役割を果たしていくためには、いつまでもプレイヤーに軸足を置いているわけにはいきません。マネジメントのためにいかに時間をつくり、いかに行動するか。そこで真価が問われるということを、肝に銘じておく必要があります。
マネジメントに軸足を置けているかの確認には、仕事を整理してみることが有効です。それぞれの仕事が「マネジャーとしての仕事」なのか「プレイヤーとしての仕事」なのか、整理して時間や労力のバランスを見ることで、プレイヤーからマネジャーにシフトチェンジできているかどうか把握できます。
マネジャーに求められる3つの意識改革
個人として成果を上げていくプレイヤーと、人を動かしてチームの成果を上げていくマネジャーとは、ある意味対極的な存在です。プレイングマネジャーは両方をバランスよくこなすことが求められますが、対極的な存在を兼ねるということには難しさがあります。そもそも、多忙を極めるなかで、「マネジメントとは何か」「マネジャーとはどうあるべきか」について、学ぶ機会をもてずにいる人も少なくないでしょう。
マネジャーへのシフトチェンジには、知識やスキルの習得ももちろん大切ですが、まずは第一歩として、次の3つの意識改革が必要です。
1)「自分でやったほうが早い」を捨てる
残業規制、人手不足、迫る納期など、困難な状況を乗り越える大技が、「自ら作業して終わらせる」です。成果を上げるためには確実な方法ですが、それではチームは育っていきません。マネジャーとしては、メンバーを動かし、メンバーを通じて成果を上げることに習熟していかなければなりません。なお、そのためには、計画的に人材育成を行う「長期的な視点」、そして適切に業務を任せていくための「仕組み化の視点」が不可欠です。
2)「立ち位置が反転する」ことを知っておく
プレイヤーとマネジャーでは、さまざまなことで立ち位置が反転します。例えば、
・上司を見る側から部下に見られる側へ
・上司に期待する側から部下から期待される側へ
・フォロワーの立場からリーダーの立場へ
・自分の成長を喜ぶことからメンバーの成長を喜ぶことへ など
こうしたことについても認識し、意識改革を図ることが必要でしょう。
3)「ずっと成長し続ける」決意をする
マネジャーは、自分自身とチームの成長に責任をもつことが求められます。さらに、チーム全体で激しい環境変化に対応し、成果を出していかなければなりません。力不足を痛感することも多々あるでしょう。その力の差を自分自身の努力で埋め、ずっと成長を続けていくことが、マネジャーの責務です。つまり、マネジャーというキャリアルートを選択するということは、ずっと成長し続けるという選択をするということ。その覚悟が必要です。
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(PHP研究所 産業教育制作部 田中 千)