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マネジャーの信頼を損なう5つの言動とは?

2020年9月24日更新

マネジャーの信頼を損なう5つの言動とは?

チームを率いて結果を出すことが求められるマネジャーには、メンバーとの適切なコミュニケーションを通して、信頼関係を築いていく役割が課せられています。その信頼を損なうのは、マネジャーのどのような言動でしょうか。


コミュニケーションの重要性

厚生労働省が行った「平成28年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、現在の仕事や職業生活に関する「強いストレス」の内容として、30.5パーセントの人が「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」だと答えています。つまりおよそ3人に1人が職場での対人関係にストレスを感じているのです。
対人関係でストレスを感じる原因は、ひとつにはコミュニケーションに齟齬が生じているためであると考えられます。マネジャーには、メンバーとの適切なコミュニケーションを通して、信頼関係を築いていく役割も課せられています。


4つのコミュニケーションギャップ

そこでまず、コミュニケーションに齟齬が生じる原因を整理しておきましょう。キャリアも属性も異なるマネジャーとメンバーとのコミュニケーションには、次のようなギャップが生まれやすいものです。

・距離的ギャップ
メンバーが客先に常駐したり、長期出張したりするなどして物理的に距離が離れると、コミュニケーションが減ってしまい、お互いに考えていることがわかりにくくなる。メンバーのモチベーション低下にもつながる。

・技術的ギャップ
マネジャー自身が専門知識を持たない部署を率いることになったとき、専門知識をもつ部下とのコミュニケーションがうまくいかなくなることがある。

・言語学的ギャップ
グローバル化が進んだことで、日本語を母国語としない外国人がメンバーに加わる機会が増え、言葉や文化の違いによるギャップが生じることがある。

・人的ギャップ
世代の違い、立場の違い、価値観の違い、仕事の手法の違いなどから相互理解が進まず、コミュニケーションにギャップが生じることがある。

職場ではこうしたコミュニケーションギャップが生まれやすいものですが、仕事である限り、たとえ苦手な相手でも避けて通るわけにはいきません。これらのギャップを乗り越え、チーム全体で成果を出せるマネジャーを育てていくことが重要です。


情報伝達の4つの視点

コミュニケーションという言葉には「意思疎通」のイメージがありますが、ビジネスの現場においては、「情報伝達」という側面に着目する必要があります。単独行動ではなくチームとして仕事をしていくうえで、メンバー間の情報伝達がうまくいかなくなると、チームが十分に機能しなくなります。当然、チームとして出すべき成果も出なくなるでしょう。適切に情報伝達するために、次の4つの視点を持つことが大切です。

1)情報の内容が適切であること
本当に必要かつ重要な情報を伝達することはもちろん、その一方で、「開示した情報は拡散してしまう可能性があり、一度拡散すると制御不能になる」ことも忘れてはならない。情報を伝達する前に、開示すべき内容かどうかを適切に判断する。

2)情報の量が適切であること
集まった情報をすべて伝えたり共有したりしていると、多すぎる情報がメンバーを圧迫していくことがある。そのため伝達する情報は、重要度に応じて優先順位をつけ、重要度の低いものは削除したり伝えないようにしたりするほうがいい。その際、情報の捨て方のルールも検討する。

3)伝達のタイミングが適切であること
情報は賞味期限が切れないうちに、早めに伝達するのが基本。ただしメンバーが多忙なときにメールで伝えると、確認が遅れたり放置されたりする危険性もある。マネジャーはメンバーの動きを把握し、適切なタイミングで伝達するよう心掛ける。


4)伝達の方法が適切であること
同じ情報でも、マネジャーがメンバーに会って直接口頭で伝える場合と、一斉送信メールで伝える場合とでは、メンバーへの伝わり方が変わってくる。伝える情報の内容や目的に応じて、最適な伝達方法を選択する。

マネジャーの信頼を損なう行動とは

マネジャーは日頃からメンバーとのコミュニケーションを積み重ねて、信頼関係を築いていかなければなりません。しかし、コミュニケーションの仕方を間違うと、かえって信頼を損なう結果を招いてしまうこともあります。具体的には、次のような言動を避けるようにしなければならないでしょう。

1)誤ったメッセージを届ける
上司であるマネジャーは、部下であるメンバーから「常に見られている存在」であり、どのような自分を見せるかは、マネジャーからメンバーへのメッセージとなる。マネジャーの役割が十分果たせていなければ、それ自体が部下への誤ったメッセージになってしまう。

2)公平さを欠いている
同じ行動をした複数のメンバーへの対応が、相手によって異なっていると、メンバーからは「公平に扱われていない」と感じられ、信頼を失ってしまう。

3)一貫性がなく言動がブレる
何をほめて何を叱るのか、その基準に一貫性がなかったり、設定したはずの目的・目標がそのときによってブレたりすると、メンバーからは信頼できない上司だと感じられる。

4)自分のエゴを優先している
マネジャー個人の都合や欲求や嫌悪に基づいて行動したり、メンバーに指示したりすると、メンバーから「自分勝手な上司」だと思われ、信頼されなくなる。

5)品位に欠ける
いくら能力が高くても、言葉遣いや服装や態度、所作に品位が感じられないと、人として尊敬されず、心から信頼されなくなる。

コーチングはマネジャー必須のコミュニケーションスキル

現代のマネジャーにとって、「コーチング」は必須のコミュニケーションスキルと考えられています。コーチングとは、「対象者のパフォーマンス向上のために、対象者を勇気づけ、質問により気づきを起こさせ、結果、本人が主体的に取り組むことにより、問題解決を図る」手法です。コーチングは通常、「傾聴→質問→承認→フィードバック」というサイクルで行います。特に重要な「傾聴」には、次の7つのポイントがあります。

・相手の話をきちんと聴ける環境を整える。
・相手の話は決して他言せず、安心感を与える。
・話を聴きながらうなずき、きちんと聴き届ける態度を示す。
・話し手の感情をつかめるよう努力する。
・相手がうまく表現できなくても、口をはさまず沈黙して待つ。
・相手の感情に流されて「同情」したりせず、内容を客観的に受け止めて「共感」する。
・相手を理解しようとする態度を示す。

こうしてしっかりと傾聴したうえで、相手に「気づき」が与えられるような質問をしたり、よい点を認めてほめたり、悪い点を指摘して叱ったり、現状を客観的に伝えるフィードバックを行うなどして、メンバーの成長を図っていくのです。人事担当者としては、マネジャーの育成において、こうしたコミュニケーション能力の向上を図っていくことが肝要です。


※本記事は、PHP通信ゼミナール『プレイングマネジャーの仕事術』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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