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学びを分かち合い、仲間と共に成長する

2019年1月22日更新

学びを分かち合い、仲間と共に成長する

過去5回にわたりお伝えしてきた【成長し続けるチームが共有している6つの項目】。今回は最後の項目となる「互恵(ごけい)学習」についてです。学びを分かち合い、仲間と共に成長する意味を考えてみましょう。

【成長し続けるチームが共有している6つの項目】
1.逆境
2.感謝・愛
3.感動・感激
4.目標・目的
5.達成感・追求感
6.互恵学習

「6.互恵学習」とは

成長し続けるチームが共有している6つの項目、最後の項目は「互恵学習」です。互恵という言葉は、日常あまり見聞きしない日本語かもしれませんが、実は古くからある言葉です。お互いに恵むと書くとおり、「恵み合う・分かち合う・与え合う」といった意味を持った言葉です。

互恵学習とはつまり、「個々人の専門性、仕事のやり方の勘どころ、人間性、などをメンバー同士で分かち合い、共に学び成長できる機会や風土を持つ」ということです。

チームには、なぜ互恵の姿勢が必要なのか

では、そもそもなぜチームには互恵学習(共に学び成長する機会や風土)が必要なのでしょうか。それは簡単です。チームの仲間同士に「共に学ぶ」という心の姿勢がなければ、助け合いのない、一匹オオカミの群れのような組織になってしまうからです。それはもはや、チームと呼べるものではありません。

チームで働くということは、互いに助け合い、一人では成しえないような仕事の成果を上げるということです。共に学び成長しようという互恵学習の意識がないチーム(助け合いのない一匹オオカミの群れ)では、ともに働く仲間に対して助け合うどころか、逆に無関心、ひどければ足の引っ張り合いが起こります。もし仮に、そのようなチームで一時的な成功や成果があったとしても、未来に向けて成長を続け、仕事の成果を上げ続けていくことはできないのです。

成長し続けるチームが持つ、互恵学習の機会

成長を続けるチームの互恵学習の機会は大きく分けると3つあります。それは、「専門性を高める機会」「仕事の進め方を高める機会」「人間性を高める機会」の3つです。

1.専門性を高める機会
2.仕事の進め方を高める機会
3.人間性を高める機会

1つめの「専門性を高める機会」とは、自分たちの働く業界に必要な知識や技術の習得や向上を図るための機会(例えば、技術講習)です。2つめの「仕事の進め方を高める機会」とは、専門技術ではなく、どのような業界であっても必要とされる、日頃のコミュニケーション能力や報連相力や行動力といったポータブルスキルを見直し高めるための機会(例えば、仕事の進め方の振り返りミーティング)です。そして、3つめの「人間性を高める機会」とは、感性や心の態度姿勢(あり方)を高めるための機会(例えば、ゴミ拾いやボランティア活動や交流会などの自主的なプロジェクトやイベント)です。

成長し続けるチームでは、それらを仲間と共に学ぶ機会がたくさんあります。そして、それらを大切と感じている風土があります。日頃のOJTや、会社主体で実施している講習会・研修会(OFF-JT)だけではなく、メンバーの自主的な勉強会・ミーティング・プロジェクト・分科会・視察・イベントといった具合に、チームの中でメンバーが率先して学びの機会をつくり出しているのです。

チームワークが高まるためには、専門性も、コミュニケーションや報連相も、人間性も大切です。どれかが欠けていると、やはり「助け合いのないチーム」や「口だけのチーム」になってしまいます。

互恵は自立の先にあるステージ

筆者が20代の頃、ある尊敬する方から次のようなことを言われたことがあります。

「延堂さん、世間では自立自立と、まるで自立が最終目標かのように言われていますが、自立とは単に依存を脱しただけのことですよ」

私はそれを聴いて、目からうろこが落ちました。「ああ、そうか。僕は今まで自立をすればそれでいい、と思っていた。でも実際は違うんだ。自分が自立できたのも、これまでに多くの人の支えがあったからだ。僕も、自分の自立で満足するだけなく、身近な人の自立の役に立てる、そんな人間でありたい」そう思えました。

 

人は最初から自立して生きていくことはできません。誰かや何かに依存して生きています。子供の頃であれば親に、社会に出てからも、やはり最初は会社の上司や先輩に依存をしなれば仕事になりません。依存をするということは、誰かの助けを受けて生きているということです。

自立に至った人が、その先も自分のために、もっともっと得たいとなると、そこから先に成長はありません。物事への執着が増し、得たものを手放さないようにと、恐怖心も芽生えます。そうして、どんどんと利己的になっていきます。

それはチームの成長にも大きな影響を与えることになります。一人前に仕事ができるようになった人は、その後二通りに分かれます。一方は、自分の持っている専門知識や技術を後輩などに伝え、人を育て、仲間と共に成長しようとする人々。もう一方は、自分が得ることだけに執着して、相手(たとえば、職場の仲間)を「自分の立場を脅かす対象」と捉え、相手の成長の芽を摘み、競い勝負する人々。

助け合いのないチーム、共に働く仲間たちに関心を寄せることのないチーム、成長の喜びを分かち合えないチーム。なんと無機質で寂しいことでしょう。

「私たちはなぜ、チームで働いているのか」という、チームの本質的な意味をしっかりと皆で考え、共に働くだけでなく、共に学び、共に成長できる人間関係を築きましょう。


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延堂溝壑(えんどう こうがく)

本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

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