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管理職に求められる役割~「考える力」を高める2つのポイントとは?

2024年6月10日更新

管理職に求められる役割~「考える力」を高める2つのポイントとは?

経営環境の変化とともに、管理職に求められる役割も変わってきました。求められる役割を果たすために管理職はどのような力を習得しておく必要があるか、人材開発の観点から考察します。

INDEX

変化が求められる仕事の進め方~PDCAサイクルからOODAループへ

VUCAと言われる激変の時代、個人の業務遂行も組織のマネジメントも、いずれも従来のやり方の見直しが迫られています。 今までは、PDCAサイクルをきっちり回して成果を上げることがビジネスの基本とされていましたが、状況が目まぐるしく変化する環境のもとでは、これが通用しにくくなってきました。代わって注目を集めるのが、OODA(Observe(観察)、Orient(判断)、Decide(意思決定)、Action(実行))ループというフレームワークです。PDCAサイクルとOODAループ、両者の決定的な違いは変化対応への柔軟性の有無と言えます。

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今、管理職に必要な力

こうした変化を背景に、管理職にはこれまでとは異なる力が必要とされるようになってきました。(株)ラーニングエージェンシーの調査によると、管理職に求められる力がここ10年で大きく変化していることが明らかになりました。(下図表) この調査が示唆しているのは、現在の管理職には「今、何が起きているのか」「その状況下で、何をするべきか」「それを実行するとどのような影響があるか」等々を自分の頭で考える力が求められているということです。

【図表】「10年前求められていた管理職像」と「現在求められている管理職像」(※1)

「10年前求められていた管理職像」と「現在求められている管理職像」

※1 引用:(株)ラーニングエージェンシー「組織・チームのあり方の変化に関する意識調査」(2021年10/11~12/13の期間、ビジネスパーソン5,099人を対象に調査)

重要性を増す「考える力」

実際、企業研修の現場でも、管理職を対象にした「考える力」を磨き高めることを目的とした研修が実施されることが多くなってきました。 前述の通り、現代は変化の時代です。その変化を敏感に感じ取り、今後の課題を自ら設定し、実行するスタンスが管理職には求められています。しかしながら、長年指示待ちのスタンスで育ってきた管理職の人たちには考える力が備わっていないし、そもそも考えるという習慣が身についていません。そこで、改めて研修という場で、管理職の「考える力」を鍛え直そうということなのでしょう。

考える力を高めるポイント(1)抽象化

「考える」という行為は、誰もが常に行っています。しかし、その質と量(深さと幅)において大きな差があるのです。例えば、少し考えて、一つ答えが見つかると、そこで考えることをストップする人と、他にないかと考え続ける人。その差が、成果・成長・優秀さの差となって現れます。いわゆる"頭が良い"人も、理解力や記憶力、あるいはヒラメキなどだけでは不十分で、"よく考える頭"がなければならないのです。
知識や経験は、「考える」という過程を経て初めて智慧となり力となります。そして、最も重要なのは、「本質」を見抜く考え方です。これが「抽象化力」と言われる力。そしてそれを的確に整理し表現する力として、「論理的思考力」と「表現力」がリーダーには必須です。

考える力を高めるポイント(2)定義づけ

考える力を高めるために、仕事や人生における重要なキーワードを10個ぐらい選び、それぞれについて自分のことばで定義づけすることをお勧めいたします。ここでいう定義づけとは、国語辞典に書いてあるような「そのことばの意味」を客観的に説明することではなく、このことばの本質的意味合いを自分はこう理解している、ということを最も的確に表現する営みです。そのためには、自身の知識と体験を総動員し、多面的に、深く掘り下げて考えなければ、的確な表現にはたどり着きません。また、あることばの定義づけができても、それがベストであるとは限らないので、機会を見つけてブラッシュアップしていく作業が必要になります。
定義は自身の主観的表現であっていいのですが、独りよがりで身勝手な定義づけでは意味がありません。「なるほど」と多くの人に共感される表現が大切です。このようにして作り上げていくプロセスが、考える力を高める上で非常に効果的な訓練となるのです。そして、出来上がった定義は、単なる「意味の説明」ではなく、「自分は固くこう信じている」という自らの「信念の表現」です。したがって、仕事や人生における判断基準・行動基準のベースとなるべきものであり、その人の「哲学」とも言えるものなのです。

信頼されるリーダーになるために

目の前に次々に現れる仕事上のテーマには、これまで積み重ねた知識・経験をもとにして少し考えるだけで答えが見つかる、あるいは判断がつくことが多いものです。しかし、時にはこれまでの経験・知識では対応できないテーマにぶつかることがあります。そういうときに、何を基準に判断するか。その都度考えていては間に合いません。少なくとも、最終的な基準というものは予めもっていて、それに基づいてその都度の判断の根拠を明確にすることが望ましいでしょう。
この最終的な基準がはっきりしていることによって、その人の判断にはブレがない、あるいは一貫している、という信頼が生まれるのです。そのためには、考える訓練を日々積み重ねることによって、「最終的な基準」というものを、時間をかけてじっくりと練り上げておきたいものです。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 経営共創事業本部 本部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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