プレイングマネジャーのための仕事効率化ノウハウ
2020年10月27日更新
ちょっとした工夫や改善でも、一つひとつ確実に遂行していくことで、仕事の効率や品質を大幅に向上させていくことができます。有効なアイデアやノウハウがあれば、それを仕組み化し、職場全体で継続していくことが大切です。
「関係の質」を高めるヒント
PHP通信ゼミナールのテキスト『プレイングマネジャーの仕事術』から、「仕事の質を高めるヒント」をいくつか抜粋してご紹介します。これらのノウハウをマネジャーが習得・実践することで、労働時間の短縮も同時に図られるはずです。
1)自分の動きを見える化する
例えばデスクの決まった場所に目印を掲げて、「〇時までは話しかけてもOK」あるいは「〇時までは緊急の用事以外は避けてほしい」といった具合に自分の状況を「見える化」する。これによりマネジャーは仕事に集中しやすくなり、部下はマネジャーに声をかけるタイミングがわかりやすくなる。
2)在席時間を決める
「社内にいる日の〇時から〇時までは部下からの話を聴く時間」といった具合に、あらかじめ決めてしまう方法もある。ある会社では、管理職層に、昼休憩後の13時から30分間は在席し、会議・来客・外出を控えるよう指示が出されたケースがある。その結果、「昼一番なら上司に話ができる」という習慣が定着し、上司と部下との信頼関係が育まれた。
3)Eメールのタイトルを工夫する
社内の連絡でも多用する「Eメールのタイトル」を工夫すれば、連絡の効率を高めることができる。案件名に加えて、例えば資料を送付するなら「資料送付」、締め切りがあるなら「〇日までにご返信願います」といった言葉を添えれば、受け取った人は、メールを開く前にどう対処すればいいのか瞬時に判断できる。
「思考の質」を高めるヒント
プレイングマネジャーにはたくさんの役割があり、それにともなって考える事柄も多くなります。そのため限られた時間を最大限活用し、「思考の質」を高めていく工夫も必要です。1)考える時間と場所をつくる
例えばオフィスのどこかに「一人で集中して考え事ができるスペース」をつくり、そこにいる間は誰も話しかけないようにする、といったルールをつくる。「途中で思考が中断されない状態」をつくることで、より短い時間で考えを深めることができるはずだ。
2)フレームワークを活用する
情報を整理するためのテンプレート(=フレームワーク)を使うことで、状況を的確に判断し、仕事の効率を高めることができる。例えば担当している仕事を、「顧客向け(Customer)」「競合企業対策(Competitor)」「自社内向け(Company)」「協力企業向け(Co-operator)」の4種類に分類する「4C」というフレームワークで管理すれば、優先順位や進め方が決めやすくなる。
3)脳内デトックスを行う
頭の中にある「やるべきこと」を(仕事もプライベートも含めて)すべて紙かノートに書き出すことで、「覚えておかなくてもよい状態」をつくる。これによりストレスが軽減されるとともに、「脳の記憶容量」をより重要な仕事に振り分けることができる。
「行動の質」を高めるヒント
日々の行動にちょっとした工夫を加えるだけで、仕事の効率は大きく変わってくるものです。職場全体で行動の質を高めていけば、一人ひとりの負担が軽減し、マネジャーもメンバーも働きやすい環境がつくれるでしょう。
1)「アイビー・リー・メソッド」を活用する
「アイビー・リー・メソッド(アメリカのアイビー・リーが考案)」というスケジュール管理方法を導入することで、行動の質を高めることができる。手順は以下の通り。
●明日中に完了したい仕事を6つ書き出す。
●6つの仕事の重要度を決めて順位を記入する。
●翌日、重要度1位の仕事から始める。
●その日中に全部処理できなかったとしても、いったん終了する。
●終了後に再び最初の「6つ書き出す」を行い、次の日も重要度1位の仕事から行う。
前日にするべきことを決めておくことで、朝すぐに仕事に取り掛かることができる。一度決めた「To Doリスト」を完遂するまで続ける方法もあるが、1日6つに限定して日々更新することで、そのときの状況に最適な優先順位を決められるメリットがある。
2)ショートカットキーやテンプレートを活用する
特にパソコンを長時間使う仕事では、操作時間を短縮する「ショートカットキー」を使いこなせるようにしたい。一つひとつの短縮時間はわずかでも、複数のショートカットキーを常に使い続ければ、パソコンの操作スピードをかなり上げることができる。同様に文書のテンプレート等も有効に活用し、短時間で書類をまとめられるようにすれば、確実に仕事の効率は向上する。
3)オフィスの備品等の定位置を決める
オフィスに常備する備品や書類などは、置く場所や並べる順番まで細かく決めて、全員が置き場所を守るよう徹底する。これによりオフィスで「物を探す時間」を限りなくゼロに近づけることができる。もちろん備品の数量がいくつ以下になったら補充する、といったルールも決めておく。「取り出しやすく」「戻しやすい」収納場所を工夫することも大事。
企業が着実に実績を上げていくうえで、チームリーダーの役割と現場の仕事とを掛け持ちするプレイングマネジャーの働きは非常に重要です。そのためにも、社員教育を通じてリーダーとしての考え方を身につけさせるとともに、さまざまなノウハウを習得してもらい、総合的にスキルアップを図っていかなければなりません。各部署で能力の高いプレイングマネジャーが育てば、業績もおのずと向上していくでしょう。
※本記事は、PHP通信ゼミナール『プレイングマネジャーの仕事術』のテキストを抜粋・編集して制作しました。
森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。