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リーダーシップ、フォロワーシップ、パートナーシップ~マネジャーに必要な3つのシップをどう発揮するか

2021年11月24日更新

リーダーシップ、フォロワーシップ、パートナーシップ~マネジャーに必要な3つのシップをどう発揮するか

現場を支える中間管理職の方がたは、広範かつ重要な職責を多数担っています。それらの職責を果たすためには、さまざまな利害関係者との交渉や調整を通じて周囲を巻き込まなければいけません。そこで、本稿では人や組織を動かすためにマネジャーが発揮すべき3つのシップ(=力)について解説いたします。

INDEX

第1のシップ「リーダーシップ」

リーダーシップに関しては様々な定義が存在しますが、PHPゼミナールでは「人や組織をある方向に動かす力」と定義づけています。「リーダーシップを発揮する」とは、部長や課長といった地位に与えられた権限を拠り所にして、指示・命令で人や組織を動かすことではありません。米国のコンサルタントであるジム・コリンズは、リーダーシップとは「従わない自由があるにもかかわらず、人々がついてくること(※1)」という絶妙の表現でその状態を説明しています。つまり、地位や権限といった「公式の力」に頼るのでなく、自らの内面から醸し出される何らかの力、すなわち「非公式」の力を使って周囲を動かすことがリーダーシップの発揮なのです。

では、その非公式の力とは具体的にどのようなものなのでしょうか。それは、「仕事力」と「人間力」の2つの構成要素からなります。
仕事力とは、仕事上の成果を上げ続けるために必要な知識やスキルのことです。高い仕事力をもった人は、誰もが認める実績を残すことができるので、周囲から「できる人」という評価を得ます。
一方の人間力は、明確な目的意識や、正しさの追求、人への優しさ、謙虚さ、明るさなどから成るもので「人徳」と表現してもいいかもしれません。豊かな人間力をもった人は、他者から慕われるので、周囲から「できた人」と言われるでしょう。

マネジャーとしてリーダーシップを発揮したいと思うならば、「できる、できた人」を目指して、自らの非公式の力を磨き高め続けることが求められます。

第2のシップ「フォロワーシップ」

フォロワーシップは、上司を補佐し、共同責任者として支える力のことです。上司の補佐といっても、言いなりになることではなく、あるべき状態に向かって時には上司を動かすような積極的な姿勢が求められるものです。

「フォロワーシップを発揮する」とは、具体的には以下の3つの機能を実践することです。

(1)補佐・代行機能
目的・目標・方針を共有し、「上司の分身」として率先して行動する機能
(2)調整・翻訳機能
上司とメンバーのパイプ役として、双方の意思疎通の円滑化を図る機能
(3)軌道修正機能
上司を正しく導くために、提言・諫言(かんげん)・直言を行う機能

松下電器(現・パナソニック)の第四代社長を務めた谷井昭雄氏によると、自身が社長としてリーダーシップを発揮するうえで役に立ったのが、中間管理職時代のフォロワーシップ体験であったそうです。上司を補佐するためには、上司が何を考え、自分に何を求めているかを追求するようになり、その結果、視点の向上、視野の拡大につながったと谷井氏は言います。
フォロワーシップとリーダーシップは表裏一体です。良き指導者になろうと思うなら、良き補佐役に徹することも大切です。

第3のシップ「パートナーシップ」

3つめのシップがパートナーシップ(※2)です。パートナーシップとは、他部門の関係者や社外のステークホルダーとの間に「協働(きょうどう)」を生み出す力のことです。リーダーシップやフォロワーシップが、タテの関係性の中での力の発揮に対し、パートナーシップは、ヨコ(時には斜め)の関係性における力の発揮が特徴です。

パートナーシップの発揮の難しさは、相互の利害が相反することや、コミュニケーション不足に起因することが多いようです。したがって、ヨコの関係において協働状態をつくるためには、以下のポイントを押さえる必要があります。

(1)目的・目標の共有
なぜ、それをするのか。それをすることで相互に得られるメリットは何かを明らかにする
(2)相手に対する要求は妥当か
相手の立場に立って、無理ない要求になっているかを吟味する
(3)相手の状況を理解しているか
主張ばかりするのではなく、相手の言い分にも耳を傾け、理解しようと努力する

従来から、部門間の「タコつぼ化」の進行に伴い、日本企業の協働力が弱体化しているという指摘はありましたが、リモートワークの普及がその状況に拍車をかけた感があります。
今夏のオリンピックでも見られたように、日本人はチームになったとき、その強みが極大化されます。ビジネスにおいても理屈は同じです。組織の至る所にさまざまなチームが発生するよう、現場のマネジャーどうしがパートナーシップを発揮することが、生産性向上や、イノベーションの推進等につながるでしょう。

大切なのは双方向性

リーダーシップ・フォロワーシップ・パートナーシップ

以上、マネジャーに必要な3つのシップについて解説してきましたが、いずれのシップについても、それを発揮する側と、受け止める側の双方が存在するということを忘れてはいけません。したがって、常に双方向の関係性を意識しながら、相手の立場に立って発想するスタンスが人や組織を動かすうえで大切になるのです。

※1 出典:『ビジョナリー・カンパニー ZERO』ジム・コリンズ/ビル・ラジアー著(日経BP)
※2 同性婚に関する「パートナーシップ制度」とは異なる概念です

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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