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管理職の悩みとは? 中間管理職や女性管理職など立場別に確認

2022年6月27日更新

管理職の悩みとは? 中間管理職や女性管理職など立場別に確認

管理職には、多くの従業員を束ねる「扇の要」の役割が求められます。重責を担う立場であり、多忙でもあるため悩みを抱える方も少なくありません。人事部門としては、特に新任の場合には、管理職が組織における役割を十分に果たせるよう支援する必要があります。そこで今回は、管理職の悩みを立場別にご紹介します。

INDEX

初級管理職が抱える4つの悩み

管理職に任命されて間もない初級管理職は、さまざまな悩みを抱えがちです。現場リーダーとして率先垂範で部下を指導しつつ、自らも成果をあげ、さらに上司を補佐してチームの目標を達成していくという立場にあることから、日々、多忙を極め、思うように業務を進められなくなる人もいるようです。
初級管理職の悩みには、次のようなものがあります。

●ロールモデルとなる管理職がいない
●目標やノルマが達成できない
●部下が指示に従ってくれない
●プライベートの時間が減る

それぞれの悩みを確認していきましょう。

1.ロールモデルとなる管理職がいない

転職市場が活発化し、生涯同じ企業で働き続けるということが当たり前でなくなっている今、積極的に転職しようと考える人も増えてきています。特に、大企業を中心にリモートワークが浸透したことにより拘束時間が短くなり、在職中に転職活動に使える時間が増えていることが、転職の増加に拍車をかけているようです。
また、優秀な人材ほど会社を離れる傾向があるため、ロールモデルとなる管理職が周りにいない状況も少なくありません。
逆に、社内には、今の時代にそぐわないマネジメント手法でうまくいっていない管理職もいて、「管理職になっても将来は......」というような職場環境で、若い初級管理職が悩んでしまうというケースもあるようです。

2.目標やノルマが達成できない

初級管理職は、優秀な業績を評価されて昇進昇格するケースが多いのですが、自分の目標は達成できても、現場リーダーとしてチーム全体の目標を達成するところで壁にぶつかってしまう人もいるようです。
自身の仕事と部下の指導育成、管理業務を並行して行うことに慣れないうちは、予定どおりに仕事を進められないこともあります。
目標やノルマを達成できない場合、上司に報告して叱責を受けるのは初級管理職です。しかし、自身がどのような行動を取ればいいのかが分からず、悩んでしまう人も少なくありません。
早い段階で軌道修正ができるといいのですが、目標やノルマを達成できない状態が続くと、チーム全体のモチベーションも下がり悪循環におちいることもあります。

3.部下が指示に従ってくれない

管理職には、部下をマネジメントしてチームの業務を予定どおりに進める役割があります。しかし、新任の場合は部下との信頼関係を築けていないこともあり、「指示を出しても部下が思いどおりに動いてくれない」といった悩みを抱える人もいます。
上司・部下間のコミュニケーションは初級管理者の悩みになりがちです。人事部門では、スキル習得や、1on1などのコミュニケーション機会の創出などで、積極的に支援していく必要があります。

4.プライベートな時間が減る

管理職になって新たに加わった業務に慣れないうちは、一つ一つをこなすのに時間がかかり、毎日の帰宅時間が遅くなることも増えます。なかには平日だけではなく、休日も休めないといった悩みも起こりがちです。
近年は、価値観の多様化により、仕事への向き合い方も人によって異なります。仕事のためにプライベートを犠牲にしたくないと考える人にとっては、プライベートの時間が大幅に減ったことが大きな悩みになります。

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中間管理職が抱える4つの悩み

中間管理職が抱える悩み

中間管理職になると、初級管理職とは異なる悩みが出てきます。主な悩みには、次のようなものがあります。それぞれの悩みを確認していきましょう。

●部下と上司との板挟みになる
●部下へのハラスメントに気を使う
●部下のミスが自分の責任になる
●上司に提案しても意見が通らない

1.部下と上司との板挟みになる

管理職にはチームの目的や目標を明確にして、チームとして何をしなければならないかを決める、という役割があります。そのため管理職は、会社や部門の方針を部下に伝え、チーム内で意思疎通を図って業務を円滑に進めていけるようマネジメントします。
しかし、必ずしも上司と部下の橋渡しがうまくいくとは限らず、板挟み状態になることもあります。

たとえば、部下から要求された待遇改善を上司に相談しても、良い結果を得られないことがあります。上司から達成困難な数字を示され、それを部下と共有した際に反感を買うこともあるでしょう。
このように、上司・部下との関係で悩みを持つ人も多いようです。

2.ハラスメントに気を使う

仕事でのミスやトラブルに関して、部下指導を行うのは上司として当然のことです。ときには、叱責をともなうこともあるでしょう。
しかし、近年はハラスメントが社会問題となっており、ハラスメントと指摘されることを恐れて部下に必要な指導を行えない管理職もいるようです。こういう状態では、部下育成もままなりません。
上司・部下間のパワハラだけでなく、セクハラやマタハラ、パタハラなど、職場のハラスメント防止には、会社として取り組んでいく必要があります。人事部門が中心となって、管理職だけでなく部下側にも教育・研修を実施し、正しい知識の定着を促していきたいものです。

3.部下のミスが自分の責任になる

中間管理職に昇進したことにより、初級管理職では許されていたような部下のミスや業務問題の責任を負わなければいけない場面が多く出てきます。特に、中間管理職が責任を問われるような場合、大きなミスや問題であることも多いでしょう。これは自身の評価にも影響するため、ストレスを抱える中間管理職も多いようです。

4.上司に提案しても意見が通らない

現場の状況や、メンバーの声を上司に伝えて、仕事のやり方や方向性を変えようとしても、承認を得られずに物事が進まないこともあるでしょう。そうなると部下からも不満が出るため、もどかしさを感じる中間管理職もいるようです。
また、仕事上の部下の成果を上司に伝えても、思うように評価してもらえず、なかなか職制や給与を上げられないといった悩みを抱える中間管理職もいます。

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上位管理職が抱える4つの悩み

上位管理職が抱える悩み

上位管理職になると責任がさらに重くなり、マネジメントの範囲も広がるため、抱える悩みも深刻です。上位管理職が抱える主な悩みには、次のようなものがあります。

●早期離職で次世代マネジャー育成が進まない
●業務量が多く時間が足りない
●部下の人事評価が難しくなっている
●働き方が多様化し、組織の求心力が低下している

1.早期離職で次世代マネジャー育成が進まない

近年は転職市場が活発化しており、マネジャー層でも転職に抵抗を感じない人が増えてきています。長い時間をかけて部下を育成し、次はリーダーにと考えていても、そこで転職されてしまうと、また長い時間をかけて部下を育てなければいけません。
特に中小企業では人手不足が課題になっているため、人材育成に時間をかける余裕がないことも事実です。
有用な人材の離職を防止するのは、管理職自身の取り組みだけでは難しいものです。人事部門では、職場風土の改善を含めたリテンション施策に、会社全体として取り組んでいく必要があるでしょう。

2.業務量が多く時間が足りない

上位管理職は、マネジメントの範囲が広がるため業務量が多くなります。コンプライアンス問題への対応など、これまでになかった要素に加え、経営環境の変化の激しさも、上位管理職の仕事を難しくする要因になっています。
また、働き方改革への取り組みで、部下の業務時間が制限されている職場では、残業代を計上しなくていい管理職が、時間外や休日に代行するといったことも行われているようです。仕事時間が足りないことが、上位管理職の悩みの一つになっています。

3.部下の人事評価が難しくなっている

在宅勤務やリモートワークなど働き方が多様化するなかで、部下の人事評価が難しくなったと感じる上位管理職も多くいます。
職場で机を並べて仕事をしているのであれば、コミュニケーションも取りやすく、部下の働きぶりを把握することが今よりも容易であったかもしれません。しかし、リモートワークや在宅勤務が定着してくる中で、仕事のプロセスを評価するのが、これまで以上に難しくなっているといえるでしょう。
上位管理職のなかには、部下を評価することに自信を持てない人もいます。人事部門では、新しい働き方に対応した人事評価基準を明確にするなどの対応が急務になっています。

4.働き方が多様化し、組織の求心力が低下している

在宅ワークやリモートワークといったように働き方が多様化するなか、上司と部下の関係性が希薄になる傾向があります。希薄な関係のまま放置すると、組織の求心力が低下し、部下の離職などにつながる可能性があります。
コミュニケーションの量や質をどのように高め、組織の求心力やメンバーのモチベーションをどのように上げていくのか。そこに課題を感じる上位管理職も多いようです。

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女性管理職が抱える4つの悩み

女性管理職の悩み

日本における女性管理職の割合は、まだまだ高いとはいえません。そのため、悩みを誰にも相談できずにいる人も多いようです。女性管理職の登用を前向きに検討する企業は増えています。人事部門としては、まずは女性管理職がどのような悩みを抱えがちなのかを、おさえておく必要があるでしょう。

●仕事とプライベートが両立できない
●女性管理職が少なくて相談できない
●部下と人間関係を構築できない
●男性管理職の輪に入りづらい

それぞれの悩みを確認していきましょう。

1.仕事とプライベートが両立できない

管理職の業務は広範囲に及ぶため、プライベートよりも仕事に比重が傾きがちです。しかし、家事や育児をしながら働く女性管理職が仕事を優先すると、ワークライフバランスをとることが難しい状況も生まれてきます。
特に子どもが小さい時期には、決まった時間に幼稚園や保育園に迎えに行かなければいけません。また子どもが体調を崩したときには、勤務中であっても対応が必要になります。

家族でどのように育児や家事を協力し合えるのか話し合うことも大切ですが、企業として女性管理職をフォローする態勢をつくることが、女性活躍を支援する上で大切になってきます。

2.女性管理職が少なくて相談できない

男性管理職に比べると女性管理職の割合は多くないため、さまざまな悩みがあるのに誰にも相談できずにいることも少なくありません。ひとりで問題を抱え続けていると精神的な負担が大きくなり、最終的には退職を考えてしまうこともあります。
人事部門では、メンター制度の導入など、女性管理職の悩みを解消する対策を具体的に考えることが必要です。

3.部下と人間関係を構築できない

「管理職=男性」といったイメージを抱く社員は少なくありません。直属の上司が女性ということで、本音を話してくれなかったり距離を縮められなかったりなど、男性部下との人間関係をうまく構築できないといった悩みを抱える女性管理職も多いようです。

4.男性管理職の輪に入りづらい

日本の企業では現状、女性よりも男性の管理職が圧倒的に多いため、男性管理職の輪に入りづらいといった悩みを抱える方も多いようです。管理職同士で情報交換できる機会があったとしても、男性の輪に入れずに疎外感を覚えることも少なくありません。なかには、女性管理職に対して良い印象を持っておらず、あえてコミュニケーションを取ろうとしない男性管理職もいます。
そういう状況で働きづらさを感じて管理職から退く女性がいると、管理職を目指す女性社員も増えません。人事部門として職場風土を改善する取り組みも必要になってくるでしょう。

まとめ

管理職になると、自身の業務に加えて部下を育成したり、チームをマネジメントしたりなど、仕事の領域が大きく広がります。また、近年は在宅ワークやリモートワークなど働き方が多様化しているため、コミュニケーションや人事評価に悩みを抱える管理職も少なくありません。
人事部門としては、まずは立場ごとの管理職の悩みを把握し、会社全体として、できるところから対策を講じていきたいものです。

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