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新入社員を育てるための「教育」と「学習」

2022年2月 2日更新

新入社員を育てるための「教育」と「学習」

自律的な新入社員を育てるために、導入研修やOJTはどうあるべきか、「教育」と「学習」という二つの観点から考察したいと思います。

INDEX

教育と学習の違い

人材育成の場面でよく使われることばに、「教育」と「学習」があります。広辞苑によると、両者はそれぞれ以下のように定義づけられています。

教育
教えて知能をつけること。人の心身両面にわたって、またある技能について、その才能を伸ばすために教えること

学習
まなびならうこと。経験によって新しい知識・技能・態度・行動傾向・認知様式などを習得すること、およびそのための活動

二つの定義を比較すると、人材育成における視点の違いが浮き彫りになります。つまり、育てる側の視点に立っているのが教育であり、育つ側の視点に立っているのが学習です。
人材育成の具体的な手段であるOJTや研修を行う際、実施主体者が、どちらの視点に立っているかで、成果に大きな違いが生まれます。

レイブとウェンガーの主張

米国の教育・学習の研究者であるジーン・レイブとエティエンヌ・ウェンガーは、共著の中で教育と学習について次のような主張をしています。

学習のカリキュラムは新しい実践の即興的展開のための状況に埋め込まれた機会からなっている。つまり学習のカリキュラムは、学習者の視点から見た日常実践における学習の資源がおかれている場である。それに対し、教育のカリキュラムは、これとは対照的に、新参者を教育するために構成されている。教育のカリキュラムが学習の構造化のための資源を供給する-したがって制限を加える-とき、学習されるべきことの意味は、教え手の参加を通して、知るとはどういうことかについての外側からの視点で媒介されるのである。

『状況に埋め込まれた学習』ジーン・レイブ、エティエンヌ・ウェンガー著(産業図書)

やや難解な表現になっていますが、簡単に言えば、
新参者(新入社員)に対して、知っておくべき知識や情報を与え(=教育)、それを実践させ、そこから起きてくる結果を通じて気づきを得て(=学習)、人が成長する ということなのです。

学習者視点に立った新入社員研修・OJT

教育と学習という観点に立てば、新入社員の育成はどのようにあるべきでしょうか。
今年も多くの企業・組織で、4月に新入社員の導入研修が実施されるでしょう。組織人として行動した経験の少ない新入社員に対して、教えるべき知識・情報はたくさんあるはずです。限られた研修時間の中で、それらを伝えなければならないので、ともすると講義主体の詰め込み型の研修になりがちです。
でも、短くてもいいので問いかけや振り返りの時間をとって、得た知識や情報をどのように実践するか、考えさせる時間を取ることをおすすめします。そして理想を言えば、考えた内容を書かせて、自分のことばで語ってもらうと、意識変容・行動変容が促進します(※1)。

研修後の配属先は、まさに学習の資源が埋め込まれた場所です。ここで、どのような経験を積むかが、今後の成長を左右すると言っても過言ではありません。
指導者である上司、先輩、指導員の方がたに求められるのは、新入社員が日々経験していることを傾聴すると同時に、その経験から何を学んだかを質問によって引き出すことです。そして、こまめに承認することで、彼らの自己肯定感を高め、チャレンジすることへの恐れを取り除いてあげてください。

※1 自分のことばで語ることで気づきが促進することを「オートクライン効果」と言います

まとめ-時間をかけて主体的な成長を

ここまで、教育と学習という二つの概念の比較から、新入社員の育成方法について述べてきましたが、大切なことは「主体的な成長」です。
人材育成の基本は、「育てる」のではなく、「育つ環境」を提供することなのです。したがって、教え過ぎにならないよう、問いかけを多用しながら「自ら考え、気づき、行動できる人材」へと新入社員が育つような環境を整えてあげることです。
また、育成には相応の時間が必要となることも理解する必要があります。多少の雨風に負けない樹木は、しっかりした根が張っています。同じように、困難に負けない人材を育てるためには、時間をかけて強い根っこを育むことが大切です。
指導者も新入社員も共に、あせらず一歩一歩確実に前進することを心がけていただきたいと思います。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部兼人材開発普及部部長
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士

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