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新入社員にビジネスマナーの必要性をどう教える?

2022年11月17日更新

新入社員にビジネスマナーの必要性をどう教える?

新入社員に、まずは身につけてもらいたいビジネスマナー。今どきの若者は、必要性について納得しないと進んで学習しないといわれます。人事担当者として、どのように説明するのか、最初に教えたいビジネスマナー6項目とあわせて解説します。

INDEX

新入社員にビジネスマナーやルールの必要性をどう説明する?

自由を求め、自由を喜ぶのが人の本性です。しかし真の自由とは、ルールやマナーを守って初めて獲得できるもの。新入社員のうちから自分の発言・行動に責任をもつことの大切さを教育することが重要です。

なぜルールやマナーを守らなくてはいけないのか

人間には、他人の強制や束縛を受けず、自分の好きなように自由に考え、行動したいという欲求があります。これは誰にでも共通する人間の本性といってもいいでしょう。人は誰でも自由を求め、自由を喜ぶ一面をもっているのです。
しかし、いくら自由を求めているといっても、自分のことだけを考え、勝手気ままにふるまってもかまわない、というわけではありません。例えば行楽地に出かけて、きれいな景色や美味しいお弁当やバーベーキューを楽しんだとします。そのあと、空き缶や弁当の殻その他のゴミを「自由に」散乱して帰ると、あとから来た人に不快感を与えるだけでなく、本来しなくてもいい清掃を他の誰かにさせて迷惑をかけてしまいます。
そのような行動は「自由をはき違えている」といわざるを得ません。経験の少ない新入社員の中には、まだ自由をよく理解できていない人がいる可能性もあるので、なぜルールやマナーを守らなくてはいけないのか、研修などでしっかり教えていく必要があります。

参考記事:ビジネスマナー研修とは? カリキュラムや種類、メリットについて

秩序があってこそ自由が成り立つ

自由というと、つい「自分の自由」ばかりを考えてしまいがちです。そして、他の人にも自分と同じように自由が保障されていることを忘れてしまうのです。そこにトラブルが生じる一因があります。自分の自由が保障されるためには、自分以外の人の自由も尊重しなければなりません。そのようにして初めて、自分自身の自由も人から認められ、保障されることになるのです。
例えば十字路を自動車で通行するとき、各々が勝手に自分の進みたい方向に進んだら、交差点は大混乱になり、交通事故も起こりやすくなるでしょう。そうした事態を避けるために信号機を設置し、青のときだけ進んでいいというルールが設けられています。そのルールをみんなで守ることによって、直進も左折も右折も「自由」にできるようになるのです。
つまり、何らかのルールのもとで、みんなで協力し合って「秩序」を生み出すことによって、初めて自他ともに「自由」が成り立つということです。

道義道徳心を養う

ルールをつくって秩序を生み出すといいましたが、ルールさえあればそれだけで秩序が保たれるわけではありません。例えばいくら法律をつくっても、すべてのケースにあてはまるわけではなく、たいていはくぐり抜けられる「穴」がどこかにあるものです。世の中には悪意をもって法律の網の目をくぐろうとする人もいます。また法律が多ければ多いほど、当然がんじがらめに縛られ、自由が棄損されてしまうでしょう。つまり、できるだけ少ない法律・ルールで社会の秩序が保たれる状態が理想であるといえます。
そこで大切になってくるのが、一人ひとりの「道義道徳心」です。道義道徳心があれば、たとえ人が見ていないところでもルールを厳守するようになります。もっといえば、ルール自体がなくても、あるいは法律に大きな穴があっても、決して道義道徳に反することはしないでしょう。これが「人と人との好ましい心の通い合いの秩序」を生むもとになり、より豊かな自由につながっているのです。

自主独立の精神をもつ

自由を守るためには、みんなで協力して秩序を保つと同時に、それぞれが「自主独立の精神」をもつことも必要になります。他人の力や権威に依存し、甘えている状態では、依存し甘えている相手の都合によって、自分の状態が左右されてしまうからです。つまり自分の自由を自分で維持することができません。そうではなく、他の誰にも依存せず、自分自身の力で歩んでいこうという心構え・態度で生きていくことによって、私たちは真の自由を得ることができるのです。
自主自立といっても、それが「独りよがり」になってはいけません。「一人の知恵」には限界があり、いくら優秀な人でも、一人の知恵は一人だけの知恵にすぎないのです。一人ひとりが自主独立の精神を保ちながら、できるだけ多くの人の知恵を集めることによって、過ちが減り、より好ましい判断ができるようになるでしょう。

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新入社員に最初に教えたいビジネスマナー6項目

あいさつや電話応対、訪問時のマナーなど、新入社員にまず覚えてもらいたいビジネスマナーをご紹介します。

1)あいさつ

企業に就職して働くということは、「その企業の名前を背負って生きる社会人になった」ということです。企業の名前を背負う限り、たとえ新入社員であっても、「自社以外の人たちにとって、自分は会社を代表する存在である」という自覚が求められます。会社の代表である以上、「あいさつ」は最低限の責務です。仮にきちんとしたあいさつができなかったとしたら、出会う人たちから「あの会社の社員はあいさつもできないのか」と評価されてしまうおそれがあるからです。新しく会社に迎えた新社会人の方々には、たとえ相手が知らない人でも、また苦手な人でも、しっかりとあいさつできるように教育していくことが重要です。
また、あいさつとともに、姿勢よくお辞儀ができることも大切です。頭と背中に一本筋が通っているのを意識しながら、頭と背中をまっすぐにして一緒に下げるようにします。そしていちばん深くなったところで一瞬止まることで、より心がこもったお辞儀になります。
お辞儀には、下の図のように「会釈」「敬礼」「最敬礼」の3種類があります。新入社員には、それぞれの意味を伝え、状況に応じて使い分けられるよう指導しましょう。

お辞儀の種類

2)電話の受け方

さまざまな連絡にEメールが多用される時代となりましたが、相手と同じ時間を共有し、相手の反応を感じ取りながら会話が進められる電話にも多くのメリットがあります。その一方で、電話は相手の時間を奪うものでもあり、かけたときに「今、お時間をいただいてもよろしいでしょうか」と尋ねる心遣いも必要です。
電話を受けるときの手順は以下のように説明し、実践しながらポイントをつかんでもらうといいでしょう。

(1)呼出音が鳴ったらすぐに出る
→3回以上呼出音が鳴ったときは「お待たせいたしました」のひと言を添える。

(2)会社名を名乗る
→内線電話の場合は「〇〇課の△△です」と、部署名と氏名を名乗る。

(3)相手を確認する
→相手が名乗らないときは「失礼ですがどちら様でしょうか」と尋ねる。

(4)あいさつをする
→「いつもお世話になっております」

(5)名指し人に取り次ぐ
→「〇〇と代わりますので、少々お待ちくださいませ」と答えてから取り次ぐ。外出している場合は「〇〇は外出しております。〇時頃戻る予定になっております」などと答える。

(6)用件を聞く
→用件を聞くときは必ずメモを取る。相手の社名・氏名・電話番号を確認し、伝言の内容は「5W2H(※)」でモレがないように聞く。最後に内容を再確認する。

(7)終わりのあいさつをする
→「失礼いたします」「よろしくお願いいたします」といったあと、ひと呼吸おいてから静かに電話を切る。

※5W2H=When、Who、What、Why、Where、How、How much

3)電話のかけ方

続いて電話をかけるときの手順です。

(1)電話をかける
→事前に相手の電話番号、部署、氏名を確認し、伝える用件をメモしておく。

(2)自分を名乗る
→「〇〇会社の△△でございます」と、社名・氏名を名乗る。

(3)あいさつをする
→「いつもお世話になります」

(4)取り次ぎをお願いする
→「〇〇課の〇〇様、いらっしゃいますか(お願いいたします)」

(5)用件を伝える
→メモを見ながら「5W2H」でモレのないように伝える。不在の場合は改めてかけ直すか、伝言を依頼する。

(6)終わりのあいさつをする
→「失礼いたします」「よろしくお願いいたします」といったあと、ひと呼吸おいてから静かに電話を切る。

4)来客対応のマナー

通常、自社に来客がある場合は事前にアポイントが入っているものです。その前提で、新入社員には次のような来客応対の流れを理解してもらいましょう。

(1)事前の準備
・会社に受付がある場合、どこの会社の誰が何時に来社し、どの部署の誰と面会するかを連絡しておく
・来訪の目的に応じて面会に使用する部屋を決めておく
・受付で待っていただく場合、誰が受付まで迎えに行って部屋まで案内するのかを決めておく
・来客人数に合わせて湯飲みやお茶菓子などを用意し、すぐにお茶が淹れられるようにしておく

(2)来客応対の流れ
・受付担当者が出迎えてあいさつをし、自社の面会相手に取り次ぐ
・受付まで迎えに行き、決めておいた部屋に案内する。エレベータを使う場合、案内者が先に乗ってボタンを操作し、降りるときはお客様に先に降りていただく
・部屋にお通ししたら、上座に座っていただくよう促す
・部屋に案内したあと、すぐにお茶やお茶菓子などをお出しする
・お茶を出す順番は、お客様が先で社内の人間が後。上座が先で下座が後
・帰られたら、茶器などを片づける

5)訪問時のマナー

多くの場合、新入社員は上司や先輩に同行して他社を訪ねるところから始まると思います。まずは上司や先輩がどのようにしているかをよく観察するとともに、いかに上司や先輩のサポートをしていくかを考えることが大切です。その経験が、その後一人で他社を訪問する際に役立つはずです。一人で訪問する際には、「自分は会社の代表選手」であることを自覚し、社命を果たせるよう精一杯努めなければなりません。こうした意識づけをしていくことも、新入社員の教育には欠かせない要素だといえます。
訪問時のマナーのポイントとして以下のような項目を伝えると良いでしょう。

  • 事前にアポイントを取る
  • 用件に応じて必要な資料等をすべて準備しておく
  • 訪問前には身だしなみを確認。名刺を必ず携帯する
  • 訪問時間は必ず守る。5分前の到着を心がける
  • 順序だてて用件を説明し、しっかりと話し合い、結論を整理して確認する
  • 最後に訪問のお礼を述べ、あいさつをして帰る

6)名刺交換の仕方

社会人として必ず身につけなければいけないのが、名刺の渡し方と受け取り方です。学生時代にはまず経験しない所作なので、他社を訪問するようになる前によく練習してもらいましょう。いただいた名刺は大切な財産であり、名刺ホルダーに整理し、きちんと保管することも重要です。

  • 名刺は立って渡すのが原則。すぐに出せるように胸ポケットなどに入れておく
  • 訪問者が先に渡すのが原則。「私、〇〇会社の△△と申します」と名乗りながら、名前を相手のほうに向けて両手で渡す
  • 相手に先に出されてしまった場合、いただいたあとで「申し遅れましたが」といって渡す
  • 相手から名刺を受け取るときも両手で受け取る。指が名刺の文字に触れないよう注意
  • 名前が読めない場合、「失礼ですが、お名前はなんとお読みすればよいのでしょうか」と尋ねる

※本記事は、PHP通信ゼミナール『<新版>めざせ!プロ社会人。』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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