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優れた会社の条件とは?

2017年5月 7日更新

優れた会社の条件とは?

数々のグローバルカンパニーで経営を担い、「伝説のトップ」の異名をもつ新将命氏が語る「優れた会社の条件」とは何か。オーディオ教材『伸びる会社は社長がつくる』からの再録記事です。

売上が伸び、収益が高ければ「優れた会社」なのか?

「優れた会社」とは、どういう会社か。もしかしたら誤解を招きかねないことを申し上げますと、私はなんと言っても、優れた会社であるためには、売上高が傾向としてコンスタントに伸びているという点を押さえる必要があると思います。
私が勤めていた、ジョンソン・エンド・ジョンソンで考えますと、売上が7兆円とか8兆円と巨大な会社ではありますが、売上がそれだけありましても、毎年コンスタントに、着実に5%ずつ減るというのでは、いずれは海の藻屑として消えてしまいます。
やはり、売上が伸びていて、それが業界平均よりも、競合相手よりも高いという点を、まず押さえておくべきだと思います。
そして2番目としては、やはり収益性ということがあげられます。
収益性が高くて、しかも傾向として伸びている、ということだと思います。
いくら、収益性が高くても、去年よりは今年が低く、今年よりは来年が落ちそうだというのでは困るわけです。
つまり「売上が伸び、収益性が高く、どちらも改善傾向にある」ということなのですが、では、そういう会社であれば優れた会社と言えるかというと、必ずしもそうでもありません。
これは「高業績会社」とは言えると思いますが、「優れた会社」とまでは言えません。
何が欠落しているのか。
これはやはり、顧客満足と社会貢献という点をあげなければならないと思います。
つまり、会社の社長、重役陣はもちろん、一般の若い社員に至るまで、「わが社がやっていることは、こういう点で社会に役立っているんだ!」「お客様に良い商品・サービスを提供して、喜んでいただいているんだ!」「取引先にもプラスをもたらしているんだ!」など、世のため人のためになっているという気持ちを、本心からしみじみと全社員が実感できる。
こういう会社こそが優秀な会社であり、ほんとうの社会貢献になるのだと思います。

社員は幸せか?

そして「優れた会社」の4番目の条件は、「社員が幸せである」ということだと思います。
社員が幸せになるためには、職場の環境や労働時間、給与など、さまざまな課題があるでしょう。なにより、社員が仕事をおもしろい、張合いがある、チャレンジを感じる、ちょっと大きく言いますと、自己実現につながるということが重要だと思います。
会社に行くのが楽しみだというような感じの仕事が、社員に与えられている会社。これはやはり、素晴らしい会社であるというふうに思います。
そうでなければ、長期的にわたって、社員は良い仕事をしようという気持ちにはならないはずだと思います。
もちろん、これらの点については必ずしも、今日ただいま全部実現していなくてもよいと思います。
といいますのも、人間は目先にいろんな不平や不満の種があったとしても、トンネルの先に希望や期待の光が見えていると、ある程度は収まるものだからです。
ですから、現在はさまざまな問題があるかもしれませんが、近い将来には「こういうふうにしよう!」ということを社長が明確に打ち出し、努力を積み重ねている姿勢を社員に見せられれば、まずはそれでよいのではないかとも思います。

以上の4つ、売上、利益、社会貢献、それから社員の幸せ。この4つが、「優れた会社」が持っている条件であります。
この点は、みなさまの会社が現在、どういう状況にあるのか、将来の予測をふまえて、今後はどのようにしていくのかどういうことを、つねに考えておく必要があると思います。

新 将命あたらし・まさみ)

株式会社国際ビジネスブレイン代表取締役社長 シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。2003年から2011年3月まで住友商事のアドバイザリー・ボード・メンバーを務める。グローバルな経験と実績をベースに、国内外で「リーダー人材育成」の使命に取り組んでいる。著書に『経営の教科書』(ダイヤモンド社)、『[新版]自分を高め会社を動かす99の鉄則』(PHP研究所) ほか多数。

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