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トヨタのリーダーはチームを奮い立たせる

2014年11月19日更新

トヨタのリーダーはチームを奮い立たせる

日本最強の企業トヨタ。そこで働くリーダーたちは、現場に何を語りかけ、どう動かしているのか。PHPビジネス新書『トヨタのリーダー 現場を動かしたその言葉』(若松義人著)の転載でご紹介します。

「みんなどうする?」

トヨタのある販売店の店長・須賀正則氏は、オープン以来、販売目標をパーフェクトに達成したという記録の持ち主だ。近くにトヨタ系の販売店が軒を並べる激戦地区だが、須賀さんは9名の営業スタッフを率いて目標を達成し続けている。

強引さはない。しかし、レター作戦などを地道に展開し、「お客さまが『嬉しい』とお感じになることに全力を尽くす」をモットーに成果をあげ続けている。

ある月のこと、月の半分を過ぎても目標台数の半分にまだ届いていなかった。後半の厳しさを考えると、本部に対して「100%達成は無理」と申告するほうが現実的だった。

こんなとき、ほとんどの店長は「何が何でもやれ!」と檄を飛ばすところだが、須賀さんはメンバーにこう問いかけた

「100%やると申告するか、それとも100%は無理と申告するか、みんなどうする?」

須賀さんは、決して「やれ」とは言わない。「どうする?」と聞くことで、みんなの意志を確認する。危機感で脅すのではなく、みんなと危機感を共有したうえで、自分たちがどうするかを問うのだ。この問いかけへの答えは、「みんなでやろう」だった。

「やれ」と言われれば反発も覚えるが、みんなで「やる」と決めれば、全員ががんばるほかはない。チームはいつもこうやってまとまり、目標を達成し続けている。

トヨタのリーダー

『トヨタのリーダー 現場を動かしたその言葉』
若松義人著。日本最強の企業トヨタ。そこで働くリーダーたちは、現場に何を語りかけ、どう動かしているのか。言葉とエピソードで徹底解説する。

著者:若松義人(カルマン株式会社代表、トヨタ式の第一人者)
1937年宮城県生まれ。トヨタ自動車工業に入社後、生産、原価、購買、業務の各部門で、大野耐一氏のもと「トヨタ生産方式」の実践、改善、普及に努める。その後、農業機械メーカーや住宅メーカー、建設会社、電機関連などでもトヨタ式の導入と実践にあたった。91年韓国大宇自動車特別顧問。92年カルマン株式会社設立。現在同社社長。中国西安交通大学客員教授。
著著に『「トヨタ流」自分を伸ばす仕事術』(成美文庫)、『使える! トヨタ式』(PHP研究所)、『なぜトヨタは人を育てるのがうまいのか』『トヨタの上司は現場で何を伝えているのか』(以上PHP新書)、『トヨタ式「改善」の進め方』『トヨタが「現場」でずっとくり返してきた言葉』(以上、PHPビジネス新書)、『トヨタ式ならこう解決する!』(東洋経済新報社)、『トヨタ流「視える化」成功ノート』(大和書房)、『トヨタ式改善力」(ダイヤモンド社)などがある。

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