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課長のための質問の技術~部下の本音を聞き出す3つの鉄則

2017年5月 8日更新

課長のための質問の技術~部下の本音を聞き出す3つの鉄則

部下の本音を聞き出すことができれば、コミュニケーションが深まり成長を促せます。そのためには質問にも工夫が必要です。松本幸夫氏に、質問の技術を学びます。

「以心伝心」は過去のコミュニケーション

部下が心の奥底ではどう思っているのか? イエスと答えているが、本音は? 課長についての率直な評価や、日頃、会社の方針・方向性をどのように感じているのか? それがわかれば、課長職としての大きなストレス要因から“部下とのコミュニケーション”は取り去られ、本来の優先度の高い業務に集中できるでしょう。
以心伝心、言わなくてもわかる、などというのは過去のコミュニケーション、誤った伝統なのです。仮に理想はそうであっても、ますます多様化する人間関係においては、「言わなくてはわからない」のです。貴社の課長が部下の本音を知りたければ、「聞かなくてはわからない」。つまり、質問の仕方を工夫することが急務です。

課長が覚えておくべき質問の3つの鉄則

まずは注意点を含めて、覚えておくべき3つの鉄則を述べておきます。

(1)尋問調で聞かない

本音がどこにあるのか絶対探ると考えがちです。ヨシ「探り出してやる」などと力が入ってしまうと、すぐに本題に入るという間違いを犯します。
それはあたかも、刑事の取り調べ、尋問のようになりかねないのです。高圧的に「お前がやっただろう」、「いつ、誰と、どこで?」という感じでは、質問ではなく尋問、詰問でしょう。それでは本音は話せません。思っていても、聞くときの態度や口調は大切です。時には質問の中身そのものよりも。
具体的には、“質問を連発しないこと”を心がけましょう。貴社の課長にそんなタイプはいませんか? 次々に矢継ぎ早に質問を投げかけるようなタイプの課長が。
質問は受ける時には緊張することも多いのです。部下の立場に立ってみたなら、むしろペースを緩やかに、ポイントをしぼって、一つ一つ丁寧に質問を進めることが基本なのです。
会話はキャッチボールというのは、課長であっても変わらない基本です。その自覚が欠かせないのです。

(2)自分のことを話してから聞く

実際に、これは対部下に限らず使えます。その質問の仕方をお伝えしましょう。私が、研修講師を30年行う中で、発見した相手が答えやすい質問の話法です。
それは“自分のことを話してから質問する”ということです。自分の意見を軽く口にしてから聞きます。
たとえば新しいプロジェクトについて、本音ではどう思っているか知りたいとしましょう。そのままストレートに「このプロジェクトのこと、どう思う?」というようでは本音は出ません。仮に彼女からいきなり「わたしのことどう思う?」と質問されるようなもので、相手はとまどいます。自分の意見といっても、結論をそのまま突きつけるのではないのです。
「私は絶対反対だと信じているが君の意見は?」という言い方では本音は言えないでしょう。軽く触れるのがポイントです。
「このプロジェクト改善する点もあると思ったけれど、君はどう思う?」といった感じにします。英語の表現でシュガーコート、つまりオブラートにくるんだ自分の意見を軽く言ってから聞くのです。これなら、課長の意見にしばられず、本音が言いやすいでしょう。
日常でも、いきなりの質問は唐突になり、自然なコミュニケーションになりにくい。あくまでも自然な流れの中で受け答えることで、本音が出やすくなるものです。
「花粉の時期ですけど花粉症ですか?」「趣味は何ですか?」
いきなりはいけません。まずは自分の情報を出しましょう。
「私は花粉の時期がつらいんですが、花粉は大丈夫ですか?」「私はオセロゲームにハマっていまして。最近なにかハマっていますか?」
声に出して読めば、どちらが答えやすいかわかりますね。そのあたりは、課長の知っておくべき鉄則です。

(3)TPOを判断する

どこで聞けば本音が出やすいか? 時間帯は? どんな場合に? というTPOを考えませんと、質問の中身をいくら練りこんでも効果は半減します。
昼休みに世間話の合間なら本音が聞けても、会議室で改まったら自然に話せない人もいます。午前中の頭がさえている時に聞くのと、疲れがたまってきた夕方とは、同じことを聞いても全く同じ答えにはならないでしょう。
質問上手になり本音を聞き出すには、相手が答えやすいTPOを考えて、極力自然にリラックスできる雰囲気の中で質問することです。
以上の3つの鉄則は、知らないのと、知っていて実践するのとでは、本音を聞き出すということでは雲泥の差がついてしまいます。貴社の課長は、はたして大丈夫でしょうか?

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松本幸夫(まつもと・ゆきお)
人材育成コンサルタント。1958年、東京生まれ。「最短でできる人をつくるプロ」として、最前線を走り続けている。マスコミや流通、通信、製薬、保険、電気、金融、食品といった業界で指導を行い、営業をはじめとするあらゆる職種のプロを育成することに定評がある。年間220回の研修、講演活動を行い、そのリピート率は92%を超える。NHKなどのテレビ出演も精力的にこなす。主な著書に『とにかく短時間で仕事をする!コツ』(スバル舎)、『仕事が10倍速くなるすごい!法』『人を動かす質問力&聞く力』(三笠書房)、『アガリ症を7日間で克服する本』(PHP文庫)などベストセラー多数。「呼吸法で人生が変わる」がモットー。

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