できる課長の仕事術 5つの約束を守れ!
2017年6月12日更新
できる課長、仕事が速い課長は、5つの約束を守っています。ここでは、その3つめからご紹介しましょう。
見切り上手になる
これは課長に限りませんが、全ての仕事を均等に、完全にやっていこうとしますと、時間は必然的に足りなくなります。
かといって、じっくりと優先順位をつけるほどの時間の余裕のない課長は多いものです。
私はタイムマネジメントの研修をしていますが、現実に優先順位をつけるほどの時間がまとまってとれないという課長職は少なくありません。実は、優先順位をつけていないからいつまでも忙しいという面もあります。が、ここではそのことを、言いません。
優先順位づけ以前に、「これだけはしておく」ことがあるのです。そしてこれを徹底するだけで、課長の仕事のスピードがあがるという方法があります。課長にはぜひとも実行してほしいものです。
それは“見切り”です。
前述のように、全ての仕事を完璧にこなそうとしますと、当然時間が足りません。そこで、完全にしなくてもよいという仕事を見切り、他の100パーセント仕上げるべき仕事に集中します。これを見切れない仕事といいます。
お金にからまる仕事、社外に出す仕事、課長にしかできない仕事、信用・品質・コンプライアンスが関わる仕事、安全・人名に関わる仕事などのように、少しもあいまいさを許されない仕事です。
逆に見切っていい仕事、ものによりますが、7、8割でもうそれ以上しなくていい仕事は切りのいいところで自分の手を放すのです。
協力してもらったり、任せてしまいます。
このことで、課長は自分の本来するべき仕事に集中できるものです。
見切りはさらに進化しますと、切り捨てになります。つまり、しなくていい仕事、自分の範囲を逸脱していると見越したなら始めからその仕事に時間を割かないのです。これは、究極の時短術といえます。その仕事に時間をとらないのですから。たとえば、会議の効率化はよく話題にのぼります。定刻に始まらないとか、時間通りに終わらないからどうしたらいいか。
しかし切り捨てなら、そもそも課長として会議に参加する必要があるのかと自問します。
必要なしなら、出ない、これなら無駄な時間を費やされない切り捨てです。会議以外にもあるでしょう。
できる課長は「前半主義」
仕事のノルマは極力、前半で全力を出して達成しておくと後が楽です。いわば、後楽の仕事にするためには、前半主義でいきましょう。年内の仕事なら年の上半期に。月のノルマなら中旬をめどに、週間の目標であれば、水曜日までに、一日なら午前中に、達成すべきノルマは前倒しで成し遂げてしまいます。
このことに気付いていれば、御社の課長、さらには御社は安心です。
確かに締切りぎりぎりになると、スパートがかかることは否定しません。しかし毎回それでは、成果に波があり不安定なのと、第一ストレスが蓄積してしまいます。
それよりも、全て前半に達成していく仕事癖を身につけますと、もっと自由な時間も増えて、結果、課長として安定した実績を残せることにもなります。
仕事上のノルマは前半で達成してしまう、この前半主義は、はたして御社の課長に浸透しているでしょうか?
仕事を任せる
できる課長は全部自分でやろうとはしません。任せることができます。あえて自分でした方が速くても任せる。
任せられたほうは責任意識もわきますし、できた時に自信にもなります。何よりも能力が身につきますのでいいことばかりです。
課長が狭量ですと、自分の仕事が奪われるのではないかと心配したり、部下に嫉妬したりするようなことにもなりかねません。あなたの会社の課長は、大丈夫でしょうか? おおらかにヨシ任せたという器量の持ち主でしょうか。
権限委譲のできる組織であってこそ、この時代生き残れます。あなたの会社は、部下に仕事を任せることのできる課長を育てていますか?
以上5つの課長が実践すると、仕事が速くなる技術をお伝えしました。
課長としてするべきことをしているか? 自社では、そういう人材を集めているか、どうでしょうか。
もちろん、ビジネスでものをいうのは、課長職なら課長としての自覚を本人が持つことにつきます。ただし、忙しいビジネスパーソンがその自覚が不十分のままに役職につくというケースも残念ながら少なくはないのです。
そうであれば、課長としての自覚とそれをバックアップする仕組みは、会社サイドで整えるのも考えるべき時代ではないでしょうか。
松本幸夫(まつもと・ゆきお)
人材育成コンサルタント。1958年、東京生まれ。「最短でできる人をつくるプロ」として、最前線を走り続けている。マスコミや流通、通信、製薬、保険、電気、金融、食品といった業界で指導を行い、営業をはじめとするあらゆる職種のプロを育成することに定評がある。年間220回の研修、講演活動を行い、そのリピート率は92%を超える。NHKなどのテレビ出演も精力的にこなす。主な著書に『とにかく短時間で仕事をする!コツ』(スバル舎)、『仕事が10倍速くなるすごい!法』『人を動かす質問力&聞く力』(三笠書房)、『アガリ症を7日間で克服する本』(PHP文庫)などベストセラー多数。「呼吸法で人生が変わる」がモットー。