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フィードバックは「ほらよ、と結果を通知すること」?

2017年12月21日更新

フィードバックは「ほらよ、と結果を通知すること」?

フィードバックは「情報通知」と「立て直し」の2つの要素から成り立ちます。パフォーマンスに対する結果の通知を行うことに焦点が当たりがちですが、実は「立て直すための対話」が本丸なのです。中原淳氏の解説をご紹介します。

フィードバックは「傷口に塩を塗り込むこと」?

「フィードバック」という言葉を耳にしたら、頭に何を思い浮かべますか?
あるビジネスパーソンは、「フィードバックって聞いたら、“結果を通知されること”かなぁ……」とおっしゃっておられました。たとえば、この場合、成績・評価などを一方向的に通知されるのがフィードバックということになるのでしょう。
あるところでお逢いした方は「フィードバックと聞けば、ダメ出しのことじゃないですか?」とおっしゃっていました。言葉をかえれば、「詰めミーティング(略して“つめみ”)」こそがフィードバック。ほかにも「ほらよ、と結果を通知すること」とか「傷口に塩を塗り込むこと」という方までいらっしゃいます。
このイメージのズレが大変興味深いですね。皆さんはいかがでしょうか。

フィードバックの2つの要素

フィードバックとは、さまざまな定義がありますが、要素にわけますと下記の2点です。

1.パフォーマンスに対する結果の通知を行うこと(スパイシーメッセージング)
2.パフォーマンスの立て直し、学び直しを支援すること(ラーニングサポート)

世の中では「フィードバック」ときくと、1の要素、たとえば期末の「評価面談」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。「あのさー、中原君ね、今期はさ、こうで、こうで、こうで、こうだったから、君、Cね」というようなことです。
しかし、学問的には、フィードバックは「こうで、こうで、こうだったから今期はCね」という「結果の通知」だけ「ではなく」、そこからの「立て直し」をふくむ概念です。「Cね……で、どうする?」からフィードバックの後半ははじまり、立て直そうとする人々に「寄り添うこと」がフィードバックの本質です。
だから僕は、フィードバックは、もっと「学び直し」の側面が注目されてもいいと思っています。フィードバックが何かという定義すら浸透せず、フィードバックの2要素のうち1が何となく行われている、というのが現状のようにも感じます。

「いかに伴走するのか?」に焦点をあてる

僕は「学習」という観点から「企業・組織のひとにまつわる問題」を研究していますので、注目していきたいのは2です。
要するに、「いかに立て直すか?」「いかに学び直してもらうか?」。それに対して「いかに伴走するのか?」に焦点をあてるということです。そう考えるのならば、フィードバックとは「立て直すための対話」と考えられるのではないでしょうか。
冒頭、フィードバックとは、「ほらよ、と結果を通知すること」とか「傷口に塩を塗り込むこと」だと思っている方がいらっしゃると書きましたが、これは、研究会である方がもらした一言であり、同様の物言いを、僕もこれまで多くの方々からうかがってきました。おそらく、今後必要なことは、この支配的なこの見方を変えていくことでしょう。
場合によってはフィードバックという言葉を再定義するか、ないしはフィードバックという概念にかわる「何か」を自らつくりだすことが求められるのかもしれません。そう考えると、なんだか楽しくなってきました。

参考:NAKAHARA-LAB.net「中原淳研究室」

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中原 淳(なかはら・じゅん)
立教大学 経営学部 教授。立教大学リーダーシップ研究所 副所長(兼)。大阪大学博士(人間科学)。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学准教授等をへて、2018年より現職。
「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・コミュニケーション・リーダーシップについて研究している。専門は人的資源開発論・経営学習論。
単著(専門書)に「職場学習論」(東京大学出版会)、「経営学習論」(東京大学出版会)。一般書に「研修開発入門」「駆け出しマネジャーの成長戦略」「アルバイトパート採用育成入門」など、他共編著多数。働く大人の学びに関する公開研究会 Learning bar を含め、各種のワークショップをプロデュース。
民間企業の人材育成を研究活動の中心におきつつも、近年は、最高検察庁(参与)、横浜市教育委員会など、公共領域の人材育成についても、活動を広げている。一般社団法人 経営学習研究所 代表理事、特定非営利活動法人 Educe Technologies副代表理事、特定非営利活動法人カタリバ理事。

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