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「悪い情報ほど早く報連相」が実践できる部下を育てるために、上司として大切なこと

2018年5月23日更新

「悪い情報ほど早く報連相」が実践できる部下を育てるために、上司として大切なこと

上司が部下に求める報連相において、もっとも重要かつ基本行動のひとつに「悪い情報ほど早く報連相」があげられます。

「なぜここまで状況が悪化する前に一言相談をしてくれなかったのか?」といった、部下からのまずい報連相を改善するために、上司は部下の報連相に対してどのような教育をしていく必要があるのでしょうか。

「悪い情報ほど早く報連相」の大切さは、部下も理解はしている

筆者が定期開催している報連相セミナーで受講者の皆さんに質問をすると、みな「悪い情報ほど早く報連相」すべきであると、その重要性については十分に理解をしています。
ですが、続けてこのように発言する人も少なくありません。

「分かってはいるけど、実際に自分がやるとなるとできないんですよね」
「状況が悪化する前は『自分でもなんとかできる程度』だと思っているので、つい報告するまでもないって判断をしてしまう」
「私の職場の場合、悪い状況を早く報連相すると、結局はその分だけ自分の評価も下がるし、必要以上に上司からも叱られる」

まさに、言うは易く行うは難し、です。人は、大して叱られないような些細なミスは比較的容易に報告ができます。また、大失態で隠し切れない事態を引き起こしたら報告します。悪い情報ほど早く報連相が難しいのは、その中間です。
自分の引き起こした悪い事態は、責任が自分にあるので、言いにくい。他の人が起こした悪い事態は、告げ口になるので言いにくいものです。
悪い情報ほど早く報連相、これほど昔から言われていながら、なかなか実践に移せない基本行動はありません。
悪い情報ほど早く連絡すべきだ、という「べき論」は誰でもできます。しかし、いざ実践となると、部下に求めるだけでなく上司である自分自身にとっても容易なことではありません。

【事例】上司と部下が、悪い情報を共有化できるようになるための工夫

じつは筆者自身も、過去に自分の受け持つチームで部下たちからの「悪い情報ほど早く報連相」が徹底されずに悩んだ経験があります。
私の場合は根気強く、部下たちと「自分たちのチームの報連相のあり方」について相談を重ねることで解決を図りました。そして何より私自身が、どうすれば部下たちが言いにくいような悪い情報でも「早く上司に報連相をしよう」と思ってもらえるかを考え、部下に対する上司としての「報連相のルール」をつくり、実践していきました。
当時、私が考え実践していた「報連相のルール」には、次のようなものがありました。

・どんなに悪い情報の報連相でも、まずは部下に対して最初に「報告ありがとう」と、その労をねぎらう
・部下から悪い情報の報連相が来たら、「ちょっと、この問題と○○くん(または○○さん ← 報告に来てくれた部下の名前)とを切り離して、一緒に解決策を考えてみよう」を口グセにする
・たとえ部下からの報連相が遅いと感じても、その部下にとってはそのタイミングが最善最速であったと自分に言い聞かせる。部下の非を咎めるのではなく、そのタイミングまで悪い情報にたどり着けなかった(または、報告してもらえない関係性を築いていた)自分自身にも問題があると考える

他にもいくつか細かい自分ルールを設けましたが、核となるルールは上記であったと思います。
それらを上司側である自分から率先垂範し、なおかつチームの報連相ルールも部下たちと一緒に実践することで、時間をかけて皆で納得のいく「上司と部下の報連相」を築いていきました。

部下の報連相が悪いのは、上司にも原因があることに気づいているか

もちろん上記は経験のひとつであり、部下の「悪い情報ほど早く報連相」を徹底させるための正解ではありません。仕事によって、上司と部下の関係性によって、そのときの状況によって、できる工夫は無限あると思います。
ただ、意外と意識されていないことが多いのですが「そもそも部下は、上司に対して報連相をしにくいもの」という前提条件があることを、上司の側は理解しておかなければなりません。それは、悪い情報であればなおのこと。そのやりにくい報連相を、やりやすくするのはむしろ上司の側にあるのです。
たしかに、報連相が悪いのには部下本人にも問題があるのは事実です。それは当然なのですが、しかし報連相を受ける側の上司自身も「私は上司として、部下たちから『悪い情報ほど早く報連相しよう』と思い、実践してもらえる上司であるか?」を、繰り返し自問自答したいものです。

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延堂溝壑(えんどう こうがく)
本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

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