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ビジネスコーチング研修の内容は? 必要性やメリット、選び方を解説

2022年7月29日更新

ビジネスコーチング研修の内容は? 必要性やメリット、選び方を解説

ビジネスコーチング研修は、主に現場マネージャーやOJT推進者が、部下・後輩を育成するためのコーチングの知識とスキルを習得する研修です。部下との信頼関係を築きながら、可能性とやる気を引き出し、主体的に行動する人材へと成長させるためのスキルを身につけるのが目標です。本記事ではビジネスコーチング研修の内容や必要性、メリットなどを紹介します。

INDEX

ビジネスコーチング研修とは?

ビジネスコーチング研修は、主に部下を指導育成する現場マネージャーや、後輩を指導するOJT推進者が対象になります。ビジネスコーチングの考え方やスキルを、座学やワーク、ロールプレイングなどを通して習得ていくのが、研修内容になります。ここでは、ビジネスコーチング研修とは何かを見ていきましょう。

コーチングの考え方とスキルを身につける

ビジネスコーチングの研修で身につける基本スキルは、「傾聴」「質問」「承認」の3つです。ビジネスコーチングでは、主に部下・後輩を指導育成する現場マネージャーやOJT推進者がコーチとなり、基本スキルを使ったコミュニケーションによって、相手の可能性とやる気を引き出し、彼らの自発的な目標達成をサポートすることによって生産性の向上につなげていきます。

「傾聴」はクライアントがなんでも遠慮なく話せるように耳を傾けるスキルであり、「質問」はクライアントが自ら考えて、答えを導き出せるように工夫して質問するスキルです。「承認」は、クライアントの考え方や今の状態、クライアントが決めた今後の活動を認めることです。

また、ビジネスコーチングの主役は部下・後輩であり、彼らの可能性とやる気を引き出し、成果につなげるというのが基本的な考え方になります。そのため、コーチには「誰にでも無限の可能性がある」「部下を育てることが上司の責務である」といった肯定的な人間観や前向きな考え方が求められます。

このような、人を育てるためのマインドが醸成されず、「部下を動かす道具」としてコーチングを利用してしまうと、期待していた人材育成上の成果は得られないでしょう。上司として人の成長に関わるためには、相手にプラスの影響力を与えるような生き方・働き方、人格、見識、人間力が求められることも忘れてはなりません。

参考記事:ビジネスコーチングとは? その目的、メリット、求められるスキルを紹介

ビジネスコーチング研修の必要性

ビジネスコーチング研修の必要性

近年は、ビジネスコーチングが、業種業態を問わず多くの企業で導入されるようになりました。そのため、コーチとなる現場マネージャーやOJT推進者への教育研修の必要性は、今後ますます高まっていくといえるでしょう。
コーチングはもともとスポーツの分野で広まった手法ですが、企業の人材育成に取り入れられるようになった背景には、社会環境の急激な変化や価値観の多様化があげられます。

ビジネス環境の変化

かつての日本企業は、「金太郎飴」と揶揄されるほどの社員の同質性を前提にして、トップの号令のもとに一つの方向を向いて仕事に取り組むのが強みでした。ところが、経営環境がかつてない速度で変化していくなかで、過去のデータから将来を予測することが難しい状況になっている今、トップの考えや上司の判断で人を動かす上意下達のマネジメント手法だけでは、思うような成果をあげられなくなっています。
マネジメントのあり方は、メンバーの意見を求めるボトムアップ型へと切り替えていく必要に迫られています。そこで今、求められているのが、上からの指示に従うだけではなく、刻々と変わる状況を正しく捉え、自ら考え、自発的に行動できる人材なのです。

働く人の価値観の多様化

かつては「金太郎飴」ともいわれた社員の同質性は、人材の多様化の進展で失われています。年上部下、外国人、非正規社員、等々が増加し、組織としての一体感をつくるのも難しくなってきました。特に、今の若い世代は、組織への帰属意識が以前よりも低く、ハラスメントへ過剰な反応を示す傾向があることから、従来のような一律の指導育成が難しくなっているといわれます。

そういったなかで、一人ひとりの成長を支援する人材育成手法として注目されているのが、ビジネスコーチングなのです。

ビジネスコーチング研修のメリット

ビジネスコーチングのスキルを身につけたマネジャーやOJT推進者は、現場でリーダーシップを発揮し、メンバー全員が自分で意思決定できる組織づくりに取り組むことができるようになります。
ここでは、ビジネスコーチング研修のメリットを具体的にご紹介します。

管理職としてマネジメントを改善できる

ビジネスコーチングの考え方やスキルを習得することによって、管理職としてマネジメントを改善できるというメリットがあります。
働く人の価値観が多様化し、職場を取り巻く環境が大きく変化している今、人材育成のあり方も、答えや指示を「与える」スタイルから、問いかけを通じて「引き出す」スタイルへと変化させていかなければなりません。マネジャーが、現状に即したマネジメントを行えるかどうか、そして組織の求心力を高めていけるかどうか。これは、成果に直結する問題です。

ビジネスコーチング研修によって、マネジャーが、部下・後輩のコミットメントを呼び起こし、彼らの自発的な目標達成をサポートする効果的なマネジメントができるようになれば、組織としての成果も大いに高まってくることでしょう。

上司・先輩としてリーダーシップを発揮できるようになる

ビジネスコーチング研修では、コーチングの土台になるのが指導者としての「あり方」を学びます。複雑化・多様化する職場において人の成長に関わるためには、相手にプラスの影響力を与えるような生き方・働き方、人格、見識、人間力が求められます。
上司・先輩として自分自身を高めるためにはどうしたらいいのか、具体的な課題が明らかになれば、部下や後輩を導く役割を果たせるようになります。彼らとの信頼関係を築くことによって、目標の達成に向けた行動を促進できるようになるでしょう。指導力のある上司のもとで部下のモチベーションは高まり、本来の能力を発揮する効果も期待できます。

メンバーが主体性をもって成果を上げ目標を達成するチームづくりができる

変化が激しく未来の予測が難しい時代には、メンバー全員が主体性をもって行動し、成果を上げて最終的な目標を達成できるチームづくりが必要です。
自ら考える力を育てるビジネスコーチングであれば、一人ひとりの社員が自発的に行動するチームづくりを目指すことができます。その結果、組織としての成長も実現できるでしょう。

ビジネスコーチング研修の内容

ビジネスコーチング研修のカリキュラムはさまざまですが、基本的にはビジネスコーチングの考え方やスキルを習得する内容になります。ただ、初めてコーチングを学ぶ人を対象にするのか、プロのビジネスコーチや社内講師を目指す人を対象にするのかによってレベルが違ってきます。
ここでは、PHP研究所で開催している公開セミナーを例に、その違いをご紹介します。自分がどのレベルを目指すのか、人事担当者であれば、マネージャーやOJT推進者にどのレベルのスキルを身につけてほしいのかを考慮して、受講する研修を決めるといいでしょう。

ビジネスコーチングを初めて学ぶ研修

公開セミナー「PHPコーチング研修」 は、ビジネスコーチングを初めて学ぶ現場マネージャー、OJT推進者を対象とした公開型の研修セミナーで、部下の可能性とやる気を引き出し、成果につなげるための基礎知識と基本スキルを、ロールプレイなどで実践的に学ぶ内容です。

公開セミナー「PHPコーチング研修」のカリキュラム

●コーチングとは何か
コーチングの定義/前提となる考え方と基本スタンス/コミュニケーションの現状チェック
●コーチングの基本スキル
(1)傾聴のスキル/(2)承認のスキル/(3)質問のスキル
・GROWモデル
・演習
●課題解決型コーチング
・課題解決型コーチングの進め方
・現状を明確にするための会話例
●目標達成型コーチング
・目標達成型コーチングの進め方
・目標設定・明確化のための会話例
●完了のコーチング
・今後の自身の課題の整理

公開セミナー「PHPコーチング研修」

企業内ビジネスコーチ、プロコーチを目指す研修

社内研修講師、企業内ビジネスコーチ、プロコーチを目指す方々向けの「PHPビジネスコーチ養成講座・ベーシックコース」のカリキュラムをご紹介します。初心者向け研修内容との違いがご理解いただけると思います。

公開セミナー「PHPビジネスコーチ養成講座・ベーシックコース」のカリキュラム

●コーチングとは何か(背景と定義、特徴、前提)
●コーチングのベーシック・スキル(言語的要素と非言語的要素、観察測定、ラポール、バックトラックフレーム、リスニングスキル、フィードバック、質問、承認、支持、アドバイス、エンパワーメント、メタポジション・プロセス・モデル)
●部下との良好な人間関係の築き方
●ビジネスコーチングのプロセス(GROWモデル)
●心理的成長段階
●開発レベルに応じたコーチングのポイント
●適格な目標の条件
●SMARTモデルの質問事例
●目標計画設定
●行動傾向&対人関係スタイル(行動科学的分析、自己評価、基本的な4つのスタイルの理解、コーチング戦略、4つのマネジャー・スタイルへの応用)
●ビジネスリーダーの一般的コンピテンシーの自己評価
●ビジネス・コーチングのアドバンス・スキル(メッセージ、勇気づけのメッセージ、メタ成果、メタモデル)
●制限を排し、柔軟性を開発する5つの鍵
●アイデンティティと価値・信念について
●セルフコーチングの基本
●ミッション、ビジョン、バリューズ(パワフル・ワード、ミッション・マネジメント、個人的なミッション、ビジョン、バリューズ)
●アラインメント・モデル(ミッション・マネジメントとアラインメント、実習)
●モチベーションの理論(チョイス・セオリー、マズローの五段階欲求説)
●リフレーミング(状況のリフレーミング、意味のリフレーミング)
●ビジネスコーチに必要な論理的思考(3つの基本スキル、2つの基本ツール)
●クォリティ・マネジメントサイクル(QMサイクル)
●コーチングのアドバンス・スキル(GAPSグリッド、設問のスキル、コーチングの指向性、ビジョンと中長期目標、部下のブレイクスルーを支援するスキル)
●コンプリーション(目標計画の完了、まとめ)
●認定試験(筆記試験)

「PHPビジネスコーチ養成講座【ベーシックコース】」

ビジネスコーチング研修の選び方

ビジネスコーチング研修はさまざまな団体が開催しているため、選ぶ際は比較検討が必要です。これまで開催してきた実績や講師のスキル、利用者の声などをしっかりチェックしましょう。また、自社の目的に合い、課題を解決できるプログラムかどうかの確認も大切です。
ビジネスコーチング研修の選び方を2つ紹介しましょう。

研修会社の実績や講師のスキルは十分か

研修を主催する会社によって得意とする領域は異なります。まず、これまでの実績を確認しましょう。
どのような業界で多く利用されているか、自社と類似する企業が利用しているかをチェックします。講師のスキルや講義の実績、得意分野なども確認してください。
実際に導入した事例や利用した企業の声も参考にするとよいでしょう。

自社の目的・課題に合っているか

研修のプログラムが自社の目的や課題に合っているかの確認も必要です。プログラムの種類は大きく以下の3つに分類されます。

1.成果を明確にして目標達成に着目する
2.1on1ミーティングにフォーカスする
3.信頼関係の構築に着目する

1のプログラムは部下の成長や若手社員の戦力化などの課題をもつ企業に向いています。
2は、社内で1on1ミーティングを導入しているものの、上司に対話のスキルが足りないと言った課題の解決に役立ちます。
3は部下とのコミュニケーションが足りない、社員のモチベーションが低いなどの課題をもつ企業におすすめです。
自社の課題を明確にして、解決できるプログラムを選びましょう。

PHP公開セミナー「1on1研修」はこちら

講師派遣研修のプログラム例はこちら

ビジネスコーチング研修の注意点

ビジネスコーチング研修には、時間とコストがかかることを把握しておきましょう。社員を研修に派遣し、コーチングのスキルを身につけて認定資格をとることを想定する場合、一般的に研修期間は6ヵ月以上必要です。
研修費用については100万円以上になるケースもあり、ある程度の予算も確保しなければなりません。
また、研修でスキルを身につけ、それを駆使できるようになるには、職場での経験の積み重ねが欠かせません。
人事教育担当者は、ビジネスコーチングを導入して成果を得るには、中長期的な展望をもって取り組む必要があるということを認識しておきたいものです。

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