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営業マネジャーの仕事と役割とは? 研修、再教育をどうする?

2023年6月 1日更新

営業マネジャーの仕事と役割とは? 研修、再教育をどうする?

営業マネジャーの役割とは何か。もはや目標数字の管理をしているだけのマネージャーでは責任を果たすことはできません。組織と部下の目標達成をどうマネジメントしていけばよいのか。その使命、仕事内容、スキルを確認し、具体的な再教育、研修プログラムについても紹介します。

INDEX

貴社の営業現場は疲弊していませんか?

営業マネジャーには、目標売上・利益を達成するという役割があります。そのためには、部下の成果や営業活動を把握し、目標達成に向けてマネジメントしていくことが欠かせません。しかし、求められるマネジメントスタイルは、市場の成熟やITの進歩、メンバーの仕事観の変化などにともない、従来とは大きく変わってきています。

営業ノルマ達成に向けて日々数字を管理し、部下のやる気を高めるために叱咤激励する。部下もまた、がむしゃらに行動量を増やし、商談をつくりあげていく。

経済が右肩上がりで、成果を出すための課題も明確であった時代には、こうした営業マネジメントがある程度まで有効でした。しかし、そうしたスタイル一辺倒ではすでに通用しなくなってきているという事実に、多くの人はすでにお気づきのことでしょう。

営業マネジャーの中には、今なお、そうした叱咤激励型のリーダーシップで営業成績を上げようと躍起になっている人はたくさんいます。右肩上がりの時代の上司先輩、自分自身の成功体験がそうさせているのかもしれません。特に、目標達成に強い責任感と情熱をもっている営業マネージャーほど、部下にふがいなさを感じ、そうした傾向が色濃く出ているようです。

しかし、そうした営業マネジメントが続くとどうなるでしょうか。数字が上がっているうちはまだよいかもしれません。しかし、思うような成果が上がらなくなれば、メンバーは萎縮します。アイデアも出せず、実力を発揮できなくなります。心理的安全性も損なわれ、やりがいも感じず嫌気がさし、突然の離職といったケースも珍しくありません。

そのような組織はやがて疲弊し、パフォーマンスも下がっていきます。組織の不活性は、営業マネジャーのスタイルが旧態依然のままであることに原因があるのかもしれません。

現代の営業マネージャーの役割とは?

営業マネジメントのスタイルはいま、大きく変わりつつあります。あらためて、現代の営業マネージャーの役割を再定義してみましょう。

営業戦略の立案

営業マネジャーの大切な役割に、営業戦略の立案があります。一般的に営業戦略を立てるには、市場調査、競合調査により自社(商品やサービス)の現状を把握し、バリュープロポジションを明確にする必要があります。そのうえで「〇〇までに売上◯◯億円、利益率〇%」など、具体的な目標数字の設定がなされます。営業戦略は企業ビジョンや中期計画、年度予算と関連して立案されるものです。そうしたことから、企業によっては現場第一線の営業マネジャーが直接関与することは少ないかもしれません。

ただし、そうした営業戦略をふまえて、現場の実行レベルである「戦術」に落とし込むのは営業マネージャーの役割です。人材や予算など必要なリソースの確保はもちろん、メンバーの力量や経験に応じて個々に目標を設定し、具体的な施策を検討していかねばなりません。

現場レベルに落とし込むときに大切なことは、目標を単なるノルマとして部下に押し付けないことです。目標はメンバーだけの責任数字ではありません。それなのにきちんと説明をせず、進捗が遅れれば一方的な指示命令を出したり、詰問叱責といった高圧的な関わり方をすれば、部下はやる気を失い、職場の人間関係性は悪化します。パワーハラスメント問題に発展していくことすらあり、そうなったときの組織のダメージは計り知れません。

企業ビジョン、営業戦略・戦術を浸透させ、チーム一丸となって目標達成に取り組んでいく組織をつくる。これが営業マネジャーにとって最も大切な役割です。

目標管理と部下のマネジメント

営業マネジャーは、メンバーの目標達成にコミットし、必要な支援を行います。目標管理(MBO)はそのための制度です。

会議や1on1の場で適切なフィードバックを行い、ときには同行出張するなど、目標達成に向けた部下支援は欠かせません。明らかな力量、経験不足がみられる場合はトレーニングを行い、成功事例を共有するなどして、バックアップします。

IT化が進む現在では、営業の施策、ツールにはさまざまなものが生まれています。従来型の広告やチラシ、テレアポ、展示会、紹介営業の外にも、WEB広告、SNS、メール、ウェビナー、オンライン商談など、さまざまな手法があります。また、SFAやCRMといった営業支援ツールを活用していれば、そこには貴重な顧客情報が蓄積されているでしょう。そうしたデータも活用しながら、部下を支援していくのです。

営業マネジャーが目標数字を管理するだけであれば、その仕事はいずれAIやITツールにとってかわられてしまうでしょう。部下の目標達成意欲を高め、その行動を変えていく。営業マネージャーの手腕が問われるのはこの点にあるのです。

営業マネジメントにおける悩み、課題

営業マネジャーの役割について紹介しました。しかし、日々多忙な営業マネジャーはさまざまな課題と悩みを抱えています。どこの組織にもある課題、悩みは次のようなものでしょう。

忙しすぎて部下指導の時間がとれない

営業マネジャーの悩みとしてよくあるものが、「部下指導・育成の時間がとれない」ということです。産業能率大学が2021年に実施した課長に関する調査によると、現場の業務遂行とマネジメント業務を並行して行うプレイングマネージャーの割合は、99.5%に上ることがわかりました。

参考:学校法人産業能率大学 総合研究所「第6回上場企業の課長に関する実態調査」
https://www.sanno.ac.jp/admin/research/kachou2021.html

営業マネジャーは自身の目標数字を追いかけながら、メンバーの目標管理を行うことになります。当然、それは激務であり、時間はいくらあっても足りないかもしれません。部下の指導、育成がどうしても後回しになることもうなずけます。しかし、いつまでもそのままでいては、組織としての成果は上がらず、人も育ちません。

部下指導の時間を捻出するためには、営業マネジャー自身がタイムマネジメントを徹底し、ムダな仕事をやめるなど、生産性を上げるのは当然のことです。営業支援ツールも積極的に活用したいものです。エクセルでの集計業務や進捗確認を自動化するだけでも、マネジメント効率は格段に上がるでしょう。

しかし、それ以上に大事なことは部下に「任せる」ことです。リーダー的存在の部下にサポートしてもらうというのもよいでしょう。「任せる」ことは、もっとも有効な部下の育成方法です。「自分がやったほうが早いしうまい」という営業マネジャーの下では人は育ちません。

部下が育てば組織の成績も上がります。営業マネジャーも戦略立案やプロセス改善などに、より時間を費やすことができます。使えるリソースを再点検して、部下指導に充てる時間を捻出しましょう。

なかなか部下の成績が上がらない

「部下の数字が上がらない」という悩みもよく聞きます。これは商品の競争力や営業スキルなど、さまざまな原因が考えられますが、営業マネジャーが「営業プロセスを管理できていない」という問題も大きいようです。

営業プロセスはB to CなのかB to Bなのか、扱う商品やサービスによっても変わりますが、「セールスリード(見込み客)獲得」→「アポイントメント」→「商談・提案」→「クロージング」→「受注・契約」とすすんでいくのが一般的です。この営業プロセスをメンバーに任せきりにしている営業マネジャーは少なくありません。しかし、それでは目標管理はうまくいかず、適切な部下指導もできません。

昨今では営業プロセスを標準化し、要所要所にKPIを設定してマネジメントを行う組織が増えてきています。営業プロセスを標準化し、メンバーがどこでつまずいているのか、行動の質と量は適切が、打ち手は十分かなどが可視化できれば、効果的な指導・支援につながるからです。

またトップセールスやハイパフォーマーの営業コンピテンシーを明確化したり、成功事例を共有することで、組織全体のレベルアップも期待できるでしょう。

そうした現場の課題や悩みをふまえて、人的リソースを再配分したり、必要な研修教育を計画するなど、人事部としてもバックアップをしていかねばなりません。

営業マネジャーに求められる要件、スキル

営業マネジャーには必須とされる要件やスキルがいくつかあります。教育計画、研修プログラム策定の参考に整理しておきます。

リーダーシップ

まずはリーダーシップです。営業マネジャーがリーダーシップを発揮するためには、商品や業界に関する知識、目標設定やコミュニケーションのスキル、セールストークのノウハウなど、さまざまな知識やスキルが必要です。だからといって、営業マネジャーがすべてにおいて完璧である、部下より優秀であるという必要などありません。

市場ニーズが高度化・多様化する現代に商品やサービスを売るためには、顧客と直接接点のあるメンバー担当者の情報が必要不可欠です。むしろ部下の知恵を借り、いっしょに具体的な打ち手を検討・実行し、「協働」していくことこそが、成果獲得の近道です。上司としてすべての「答え」をもっていなければいけないということはないのです。

ただし、営業マネジャーが絶対にメンバーより優れていなければいけないものもあります。それは、使命感、熱意、自責の姿勢です。企業ビジョンや営業戦略をメンバーに理解させ、目標達成へとリーダーシップを発揮するためには、営業マネジャーの強い使命感がすべての出発点になります。

マネジメント・スキル

営業マネジャーには、マネジメント・スキルも求められます。先ほども述べましたが「指示命令」を与えるマネジメントではなく、部下のアイデアや情報を引き出すマネジメントをすべきでしょう。

目標管理にあたっては、数字、結果だけをみるのではなく、必ずプロセスにフォーカスします。改善すべき点は改善するよう助言し、必要な支援を行うプロセスマネジメントが重要です。

さらにメンバーのモチベーションのマネジメントも重要です。モチベーションが低いメンバーで目標達成できるほど楽な時代ではありません。現代のリーダーには、メンバーのやる気と自信を高めるようなマネジメントが強く求められています。

コミュニケーション・スキル

営業マネージャーがリーダーシップを発揮し、適切なマネジメントを実行するうえで欠かせないのがコミュニケーション力です。メンバーの個性や強み、弱みを把握し、やる気を引き出すコミュニケーションスキルを伸ばしていかねばなりません。具体的には、ティーチング、コーチング、フィードバックのスキルです。

これらは心がけとトレーニングで十分に修得できるものですので、人事部としてはそうした研修、教育機会を積極的につくっていきたいものです。

営業マネジャーの再教育と意識改革をどうする?

市場の変化、ITの進歩、働く人の価値観の多様化を背景に、営業のあり方はすでに大きく変わりました。営業マネジャーも「考え方」を変えねばなりません。管理職への昇格研修とは別に、営業マネジャーのフォローアップ、再教育を検討してみてはいかがでしょうか。

研修のポイントとしては、次のような点があげられます。

  • 営業マネジャーとしての役割、責任(使命感)への自覚
  • 自社のバリュープロポジションの再確認
  • 自身のリーダーシップの振り返り(現状及び課題の認識)
  • 与えるマネジメントから引き出すマネジメントへ意識改革
  • メンバーのやる気やアイデアを引き出すコミュニケーションスキル(ティーチング/コーチング/フィードバック)

まずは、こうした視点で貴社に合った研修プログラムを策定していくことをお薦めします。

「営業マネジメント強化研修」プログラム

営業マネジャーは、営業戦略を実行する現場を束ねる扇の要であり、企業の業績を大きく左右します。その強化研修の効果は、部下、メンバーに波及しますから、もっとも効率の良い教育研修テーマと言えるでしょう。

※PHP研究所では、営業マネージャーの再教育のプログラムをご用意しております。

「営業マネジメント力強化研修」プログラムはこちら

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