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部長のための事業を成長させる目標設定のあり方

2016年11月30日更新

部長のための事業を成長させる目標設定のあり方

事業を持続的に成長させることが求められる部長職。部門の目標設定は、どのように考えればいいでしょうか。
経営者にとって、部長の経営力向上が最重要課題の一つであるのは間違いありません。経営者が部長に望んでいることは、経営理念やビジョン、部門目標を自分の言葉で語り、メンバーを引っ張っていくことです。そうすることで、事業を持続的に成長させていくことを期待しています。
事業を持続的に成長させるために最も重要なことは何でしょうか? 実は、最初の目標設定が、部門マネジメントの重要な仕事なのです。目標設定がいい加減では、期待する成果を上げることはできません。目標設定を疎かにすることは、カーナビに目的地を適当に入れて目的地に到達しようとするのと同じです。
今回は、部長が事業を成長させるための目標設定のあり方についてお話します。

部門の目標設定の正しい考え方

あなたの会社の部長は、部門の目標をどのように設定していますか? 前年度から単純に20%アップなど、根拠のない目標設定をしていませんでしょうか。それでは目標達成が成り行きになってしまいます。
まず、上位概念である会社のビジョンを実現する部門ビジョンをしっかりと構想します。次に、部門ビジョンを実現する部門目標を設定し、その後、経営理念に合致した行動計画を立てなければなりません。つまり、部門ビジョン、部門目標から社員一人ひとりの行動までブレイクダウンします。
会社のビジョンや経営目標を達成するためには正しい戦略・戦術・戦闘が必要です。たとえば、社長が「来期30億円の売上、利益3億円!」という目標を立てたとします。社長は「そのために何をするか?」という戦略を構想します。それを受けて、部長は「部門として何をどのようにするのか?」など部門の戦略と計画(戦術)を練ります。それを課長にブレイクダウンします。
課長は、計画(戦術)を日々の仕事(戦闘)に落とし込み、社員と共有します。社員が現場で仕事(戦闘)を積み重ねることによって、売上・利益が上がり、会社は成長していくのです。

具体的には、以下の流れで進めていくといいでしょう。

(1)会社のビジョンをしっかりと理解する
(2)ビジョンを達成するために、自分の部門は3‐5年後のどうなっていたらいいのか、ビジョンを明確にする
(3)逆算して1年ごとの計画を具体的に施策に落とし込み、役割分担する。
(4)施策を推進する社員一人ひとりに具体的な行動レベルで考えさせる
(5)課長や社員と意見調整して部門目標と個人目標をすり合わせる。

この時、社長の受け売りでビジョンや目標を伝えたり、一方的な指示・命令になったりしないことが大切です。部長は自分の言葉で部門のビジョンや部門目標を語らなくてはいけません。さらに、社員一人ひとりのモチベーションを上げて、目標設定に参画させなければなりません。

目標設定の後の仕掛け(種まき)が達成の可否を決める

一度、目標を設定したら、あとは成り行き任せではなく、達成するためにいろいろと準備することがあります。つまり、目標達成する仕掛け(種まき)が必要になってきます。部長のマネジメントで大切なことは、やりがいや働きやすい環境づくり。そこでは「ワークライフバランス」と「チームビルディング」の2点を重視することになります。
現在、国家レベルで「働き方革命」が推進されています。制度づくりや環境づくりは、部長の日々の運用が成否に大きく影響します。
特に、社員は一気に成長するものではありません。そのため、私が推奨するプロジェクト型研修では、人材育成と環境づくり、問題解決を同時に実現する仕組みにしています。学んだ知識に基づいてしっかりと行動してもらうため、人材育成と環境づくり、問題解決の3つのPDCAサイクルがしっかりかみ合って回り、確実に成果に結びつきます。
いつまでに、いくらの売上を上げ、どのように育ってほしいのか、そのためにどのような環境が必要か、それらを明確に目標設定できれば、人材教育はこれまで以上に投資効果が高いものになります。
部長は目標達成のために、ヒト・モノ・カネの経営資源を使い、最大限の成果を上げなければなりません。変化のスピードが早い時代だからこそ、しっかりと人材育成をすると同時に働きやすい環境をつくり、確実に目標を達成していくことが求められるのです。

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【著者プロフィール】
茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)

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