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「部下の手柄を横取り課長」に役割意識を植えつけるには?

2017年4月 4日更新

「部下の手柄を横取り課長」に役割意識を植えつけるには?

部下の手柄を、あたかも自分の仕事の成果のように吹聴し、なぜか上から評価される「手柄横取り課長」は、どこの職場にもいるものです。部下から嫌われる、こうした課長の意識を変えるには、どう教育すればいいのでしょうか。

「手柄横取り課長」の巧妙な手口

「最後は俺がやっておくから……」「上には俺から報告しておく」と言って、部長や経営者に、あたかも自分の仕事の成果のように報告する。部下が一生懸命に結果を出したのに、それを自分の指導が行き届いたおかげだと言う。部下がとってきた売上げを、勝手に自分に付け替える。部下が徹夜して作成した企画書を、自分のアイデアのように部長や役員の前でプレゼンする。そして、下からは嫌われているのに、なぜか上からは評価されている――こんな課長はいませんか?
こうした「手柄横取り課長」は、部下の仕事の成果を自分のものにすりかえ、悪意をもって手柄の一番おいしいところを持っていくのです。
「手柄横取り課長」がいる職場では、社員のモチベーションが下がりがちで、若手が早期退職したり、ギスギスした空気が蔓延したり、メンバーが十分に能力を発揮できなかったりといったことが起こります。

そこで今回は、「手柄横取り課長」を「手柄支援課長」に育成するために、どのように教育すればいいかお話します。

「手柄横取り課長」は管理職失格!

「手柄横取り課長」は、たいてい実力がない上、仕事もしていません。とても暇なのです。部下の仕事を横目で伺いながら、一瞬のスキを狙って仕事の成果を横取りします。たとえば提案書の名前を自分の名前に書き換えたり、自分の実績にして数字を報告したりといった具合です。それを知った部下は、「課長は全く仕事に関与していないのに……」「おいしいところだけもっていってムカつく」と激怒します。
一方、保身のために手柄を横取りしているケースもあります。部下の手柄を部長に報告する際、とっさに自分がアドバイスしたかのように、自分が手伝ったから上手くいったかのように報告する課長。このケースは、横取りしているという自覚はありません。上司として面目を保ちたい、上司として仕事をしているという報告をしたいだけなのです。部下の手柄に便乗した手口です。
課長がこのような報告をしていると部下は気づかないため、上司が評価され、自分が評価されないことに悶々としてしまいます。

部下の手柄を横取りするのは、仕事のできない課長の典型的な手口です。ハッキリ言って、こんな課長は管理職失格、人の上に立つ人として失格です。そのうち淘汰されます。一時期は部長や役員をごまかせても、そのうち嘘は見破られて降格になるか、飛ばされる羽目になります。それが世の中の原則です。
むしろ、手柄を横取りされた部下は自分の仕事に自信をもつべきです。課長から横取りされるくらい素晴らしい仕事をしたと自負すれば、少しは救われると思います。

「手柄横取り課長」を「手柄支援課長」に変える

仕事ができない課長に話を戻しますと、たとえ仕事ができなくても「部下を信頼して、仕事を任せて、部下を支援する」「部下をヒーローにする」という課長であれば、部下から人望を得てチームの業績を上げることができます。
部下は課長のために存在するのではありません。部下が働きやすい環境をつくり、部下の仕事を支援しながら、部下に最大限の能力を発揮してもらうことでチーム目標を達成するのが課長の役割です。経営者、あるいは人材開発担当者は、「手柄横取り課長」を「手柄支援課長」に育成していかなければいけません。

研修のご相談で経営者とお話していますと、ほとんどの経営者は「管理職の育成」を最優先課題と位置付けています。いつの時代も管理職、特に課長の成長が会社の発展の鍵を握っているといえます。
しかし、課長の育成は簡単にはできません。なぜなら、今の時代、課長はプレイングマネージャーであるため、プレイヤーとして仕事を担当しながら、チーム管理や部下指導を求められる難しい立場であるからです。部長、経営者がいなければ何もできない課長は、いらないどころか、組織にとって害でしかありません。課長が機能しなければ、チームも機能しません。課長が自分の役割と責任をきちんと理解していないのであれば、徹底的に教え込む必要があります。

課長の役割意識と責任感を植え付ける研修

課長の育成は通り一遍の研修でできるものではありませんから、計画的に教育していかなければ成功しません。中長期的な視点で、体系的な研修プログラムを組んで育成していく必要があります。

教える方法として、まずは課長研修で役割意識と責任感を植え付けて、現場で実践してもらうことです。研修内容として重要なのは、マネジメントの知識やスキルを習得させることよりも、プレイヤーとして部下のロールモデルになると同時に、マネージャー、リーダーになるという意識改革です。まずは、リーダーとしての自覚を高め、メンバーとともに成果を上げることを強く意識させることで、課長として成長する第一歩を踏み出してもらいたいものです。

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茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。
慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。
著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会) 

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