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部下育成に求められるマネジャーの姿勢と役割~なぜ部下が動いてくれないのか

2022年1月20日更新

部下育成に求められるマネジャーの姿勢と役割~なぜ部下が動いてくれないのか

「なぜ部下が思い通りに動いてくれないのか」。部下育成に悩むマネジャーは多いものです。ここでは、部下育成において求められるマネジャーの姿勢と役割、「部下に動いてもらうための方法論」についてご紹介します。

INDEX

「部下育成がうまくいかない」はマネジャー共通の悩み

多くのマネジャーが最初に感じる大きな悩みが、「部下が自分の思うように動いてくれないこと」ではないでしょうか。自分さえ動けばよかったプレイヤー時代にはなかった重い課題が、チームとしての結果を求められるプレイングマネジャーを苦しめます。企業の人事担当者にとっては、マネジャーにこの壁を何とか乗り越えてもらいたいものです。

部下が動かない3つの理由

部下が動かないのには、次のような3つの理由が考えられます。

(1)実は動いているが、マネジャーに認識されていない

報連相の不徹底やコミュニケーションの不足によって、マネジャーが部下の動きを把握できていないケース。

(2)部下がマネジャーの指示を理解していない

メンバーそれぞれのレベルや習熟度に合わせた指示ができていないため、部下が指示内容を把握できず、それに応える動きができていないケース。

(3)指示は理解しているが、何らかの理由で動かない

メンバーの力や知識が不足していて指示通りに動けないケース、メンバーが指示に納得していないケース、メンバーが心に思うことがあって指示を実行する気持ちになれないケース。

部下は思い通りには動かないもの

部下は思い通りには動かないもの

マネジャーは「人を動かすこと」が仕事だといわれます。そして「上司と部下」は上下関係と考えられてきました。この考え方からすれば、指示によって部下を思い通りに動かすのが上司の仕事であり、それこそマネジャーの力だ、ということになります。
でも、本当に「部下を思い通りに動かすことができる」と考えてよいでしょうか。上司から「私の思い通りに動くのが君の仕事だ」と言われて、「はい」と、素直に聞けるかどうかを考えてみれば、すぐにわかることです。ただ、部下が指示通りにやらなかった、あるいは、指示したのにやろうとしない、ということがあると、内心では「どうして私の言う通りにやらないのだ」と、まるで部下を思い通りに動かすことができるかのような気持ちになることがあるのではないでしょうか。
なかには、いつも「部下が思うように動かない」と、嘆いている人がいます。そんな人は、指示通り動かないのは部下が悪い。動けないのは部下に能力がないからだと考えてしまうのでしょう。その結果、もっと強く命令するか、「ああしろ、こうしろ」と、細かく指示したり、「期待通りの成果を上げない」「言ったことしかやらない」「指示待ち人間になっている」などと、不満を言うのです。挙句のはてには、「なんて私は部下に恵まれない上司なんだ」と嘆くことになります。

部下育成において求められるマネジャーの姿勢

たしかに部下は思い通りに動かないものですが、仕事である以上、職場として決定したことは、その線にそって動いてもらう必要があります。だからといって、部下は思い通りに動くものと、考えてはならないのです。そんな思いが強く出れば出るほど、部下はますます思い通りに動かなくなります。仕事である以上、結果として動いてもらうにしても、「動くのが当然だ」ではなく、部下が指示にそって動こうと思えるように導き、仕向けていくのがリーダーシップと考えるべきです。

部下の力を活かすのがマネジャーの役割

マネジャーが部下を自分の思い通りに動かし、さらに間違いない成果を上げるには、優れた知識・見識、的確な判断力や行動力など高度な能力・スキルが求められます。
すなわち、「部下は思い通りに動くべき」という考え方は、「上司は知識・情報・技能など、すべての面で部下より優れていなければならない」という点に行きつくことになります。そうでないと、リーダーシップを発揮できないからです。
しかし、本当に「すべての面で優れている」などということが可能でしょうか。もしそんなことが求められるなら、「自分より商品知識を持った部下は指導できない」「自分より経験豊富な部下には指示できない」という悩みを抱え込むことになります。
でも、重要なことは、すべての面で優れていることより、ある面において自分より優れている部下の力を活かすことではないでしょうか。
部下が知識や情報を持っていることも多い時代です。マネジャーは、自分の知識・技能・経験などの範囲を超えるものを切り捨てるのではなく、会社の目標と結びつけて価値を生み出すことが本来の仕事だと考えればよいのです。

部下育成のための「動機づけ」2つのパターン

部下を動かすためには、しっかりした「動機づけ」が必要です。そこでマネジャーには、どうすればメンバーからやる気を引き出し、動いてもらえるようになるのかについて、考え方と方法を学んでもらうことが重要です。

「動機づけ」には次の2つのパターンがあります。

1)内発的動機づけ
仕事が面白いと感じたり、仕事に対して達成感や貢献感、使命感があれば、それらはメンバーの「内発的動機づけ」となり得る。

2)外発的動機づけ
一言でいえば「アメとムチ」による動機づけ。報酬や賞賛といった「アメ」や、競争や恐怖といった「ムチ」がこれにあたる。

それぞれメリットとデメリットがありますが、自ら考えて行動する「自律型のメンバー」を育てていくためには、「内発的動機づけ」を重視して部下を導いていくほうが得策でしょう。

部下の「自己効力感」を高める方法とは

マネジャーがメンバーの「内発的動機づけ」を促していくうえで、各メンバーの「自己効力感」を高めていくことが非常に重要です。「自己効力感」とは、ある課題に対して「自分はこの課題を解決できる」と感じられる気持ちのことです。「自分にはできる」という自信があれば、「失敗を恐れずチャレンジする」「物事にすぐに着手できる」「すぐに諦めない」「できない理由ではなく、どうすればできるのかを考える」といった行動につながります。

メンバーの「自己効力感」を高めるには、次のような方法が効果的です。

1)成功体験をさせる
それぞれのメンバーに「がんばれば達成できるレベル」の課題を与え、課題をクリアする成功体験をさせる。一度成功すれば、同レベルの課題に自信をもって取り組めるようになり、積極性が生まれる。

2)代理的体験を活用する
メンバーに対して、例えば年齢が近い先輩の成功事例を聞かせると、それは代理的経験として認識され、「あの人ができるのなら自分にもできる」という気持ちが生まれる。これにより、課題に前向きにチャレンジするようになる。

3)言語的説得を試みる
マネジャーからメンバーにポジティブな声かけをして、自己効力感を高めていく。「この間〇〇をうまくやってくれたから、次はこの仕事を任せてみたいんだ」と具体的な例をあげて説得することで、やる気を引き出していく。

部下の経験を成長につなげる「経験学習モデル」

上記のような働きかけによって部下に仕事の経験を積ませたら、その経験を生かしてさらに大きく成長してもらえるように、「経験から学ぶ習慣」を身につけてもらいましょう。もちろんマネジャー自身も新たな経験から学び、さらに進化していくことが重要です。

経験を成長に結びつける方法として、コルブの「経験学習モデル」がとても参考になります。

経験学習モデル

ステップ1:具体的経験
内容やレベルに関わらず、そのメンバーが仕事で初めて経験したり挑戦したりすることは、すべて「具体的経験」となる。経験学習モデルのサイクルはここから始まる。

ステップ2:内省的観察
個々の業務にしても、チームで取り組んだプロジェクトにしても、何らかの経験を積んだあとは、その経験を振り返り、反省点や収穫、学んだ点などを整理しておくことが不可欠。振り返りは、個人レベルで行うのはもちろん、チームで反省会を開いて話し合う機会を設けるのもよい。

ステップ3:抽象的概念化
経験を通して得た学びは、「抽象的概念」に落とし込むことで、普遍的なルールや経験則として応用できるようにする。他社に先んじて受注に成功したら「先手必勝」、報連相を怠って失敗したら「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」といった具合に一般論に置き換えると、他の同様なケースでよりよい対応ができるようになる。

ステップ4:能動的実験
経験に基づいて反省し、そこから得た教訓を新しい業務、新しい状況で試していく。

部下育成におけるプロセス管理

「評価されたい」「認めてもらいたい」という気持ちは、誰もが持っています。それは、頑張るエネルギーの源であり、多くの人にとって行動へのモチベーション(動機づけ)になるものです。「苦しくても頑張って業績を上げたい」という言葉の裏側にあるものは、このような気持ちなのかもしれません。特にマネジャーは「職場の目標達成への責任を果たしたい」という気持ちと、誰もが持っている前向きな競争心が絡みあい、「認めてもらいたい」という気持ちがいっそう高まるのかもしれません。
厳しい時代であり、成果を急ぐ気持ちはわかります。ただ、そのことによって「結果主義への偏重」になっては、真の業績達成ができる職場をつくることはできません。また、部下だけでなく、マネジャー自身の成長にもマイナスになります。
良い成果は、的確な仕事のプロセスからもたらされることを忘れてはなりません。マネジャーは「プロセスはどうでもよい。結果がすべてだ」とは、口が裂けても言ってはならないのです。それでは、マネジメント放棄と同じことになってしまうからです。

プロセス管理とは?

では、プロセス管理とは何でしょうか。次に示す点から現状を振り返ってみましょう。

□成果が上がっていない部下は、どんなプロセスで仕事をしているのか。
□そのプロセスを十分に把握し、プロセスを改善するための指示や支援を行っているか。マネジメントプロセスに不適切なことや不十分なことがないか。
□仕事のプロセスにおける問題を上司と共有し、上司からの支援を引き出しているか。すなわち「上司を動かすリーダーシップ」を発揮できているか。

もちろん、仕事のプロセス管理さえしっかりできていれば、必ず結果がついくる、部下が成長するとはいえないことが、商売や仕事の難しさです。だからといって「仕事は結果だ。だからプロセスはどうでもよい」といえないのも、商売や仕事なのです。問題点を分析し、仕事の進め方を見直し、確実な手順を踏んだはずなのに、うまくいかないことも当然あります。でも、うまくいかないことを、プロセスのどこかに問題があると考え、プロセスの改善を追求することがマネジメントです。成果を急ぐあまり「プロセス軽視」に陥ってはならないのです。
人材開発を担当する部門では、マネジャーの部下育成をサポートするために、こうした方法論を学んでもらい、マネジメント能力を高めるよう促していくことが重要です。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『プレイングマネジャーの仕事術』 ならびに『リーダーシップ開発プログラム』 のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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