中堅社員の能力開発 3つのポイント
2017年9月19日更新
視野を広げる、スキルを磨く、継続的にやる気を出させるーー中堅社員の能力開発、3つのポイントをご紹介します。
視野を広げ、業界全体を俯瞰する
自己啓発は、どんな階層であっても欠かせません。自分の仕事の能力を磨き高めること。さらに、生き方までも常に考慮して仕事をすること。
そのために、中堅社員に望まれるのは、会社全体、業界全体を展望することです。こうした発想は、ステージが上がっていくほどに欠かせなくなります。
たとえば、次の3つの課題を抱えているのは、どの業界でしょうか?
・後継の人材不足
・指導者の高齢化
・若者の伝統文化離れ
はじめにこの3つを聞いたとき、私は自分の仕事である研修業界か、出版業界のことかなと思いました。
後継者の不足、講師・作家の高齢化、勉強会に出ない・本を読まないという自己啓発の伝統から離れた若者の生活パターン。ところがこれは、華道の池坊次期家元・池坊専好氏の華道業界での悩みでした。ためしに知人に尋ねてみたところ、何人もが「これは自分の業界の悩みだ」と言います。つまり、共通しているのですね。
では、中堅社員が視野を広げて、業界の悩みを考えたときに、どのような対応をしていくべきでしょうか? また、彼らがそんな意識をもつために、どのような心構えを植え付ければよいでしょうか。
自らのスキルを棚卸して磨く
たとえば先ほどのように、業界としての悩み・問題が「高齢化」や「後継者不足」であったとしましょう。だからといって、今すぐに中堅社員がその問題に対処することはできません。ただ、目先の仕事に忙殺されずに、常に業界全体を眺める視野の広さ、発想の枠を広げることを忘れないようにしたいものです。全体を俯瞰しつつ自分が解決できる課題に愚直に取り組むくせをつけることが大切です。
その上で、自らの地位に安住することなく、ベテランになりつつあることにも奢らず、地道な仕事上のスキルを磨いておくことです。
それは言葉を変えますと、今の時点での個人スキルの棚卸しをしてみることでもあります。その上で、自分の強みと弱みをしっかりと把握すること。そして、弱みは強化して、強みをスキルアップするのです。そのためには、上司が環境を整備していく必要もあるでしょう。直接OJTで指導するだけでなく、研修や勉強会などに参加する機会を与えることもいいでしょう。異業種交流の機会があればさらに視野が広がります。
やる気を出し続ける
究極は、個人が意識を高めて学んでいくことです。が、そのために欠かせないことがあります。牛を水飲み場まで連れて行くことはできても(中堅社員を牛にたとえるのは失礼ですけれども、わかりやすいので)実際に水を飲むのは牛自身です。
いくら教育の環境を整えて便宜をはかっても、本人が学びたいと思わなければ始まりません。
ですので、これは何も中堅社員に限ったことではなく、どの階層にも共通する土台ともいえるのが「やる気を出すこと」です。それも、一回限りのものではなく継続的に出てくるやる気です。基本は三つ。
一つは、他からではなく、自分からの、セルフモチベーションが強力かつ継続的だということ。
二つ目は、形として、アメとムチ、つまりご褒美を達成時に自分に出すというのと、達成できなかったときに罰を与える二種類の形があるということです。この二パターンを組み合わせて、やる気を高めます。たとえば、ほしかったスマホを買い替えるというのはアメ。上司に事前の報告しておいてダメなら叱ってもらうとか、貼り出しておいて失敗だと周囲に見られて恥をかくなどというのは罰に当たります。
三つ目は、ライバルを持たせることです。中堅社員として実力が拮抗しているのが条件です。あの人には負けたくないと思わせ、当人の仕事のばねにするわけです。始めはライバルを意識しているのが、やがては自分でやる気が出せるようになります。
1 業界に目を向け
2 自分のスキルを棚卸しして
3 やる気を出し続ける
中堅社員は、視野が広がり大きく成長する時期でもあります。中堅社員が自ら伸びていく環境が、御社にはできていますか?