階層別教育のご提案

公開セミナー・講師派遣

通信教育・オンライン

DVD・テキスト他

若手社員が自ら成長するための4つの条件とは?

2021年3月 5日更新

若手社員が自ら成長するための4つの条件とは?

若手社員の方がたに知っておいてほしい「自らを成長させるための4つの条件」をご紹介します。

INDEX

人材育成の3本柱は、OJTOff-JT(職務現場を一時的に離れて行う教育訓練)、自己啓発と言われてきました。しかし、リモートワークの普及によって、[上司-部下]間、[組織-社員]間のコミュニケーションの質と量が低下し、OJTOff-JTがやりにくい状況になりつつあります。

今後、若手社員の方がたには、上司や会社に育ててもらうことを期待するのではなく、日々の業務を通じて自らを成長させるという積極的なスタンスに立つことが必要とされます。そこで本稿では、若手社員の方がたに知っておいてほしい「自らを成長させるための4つの条件」をご紹介します。

第1の条件「自分を知ること」

最近のリーダーシップ研究によると、個人の成長と自己認知力は相関関係にあると言われています。代表的な意見には、コーネル大学の研究者による「能力の低い人が自らを高く評価する傾向がある」という主張(※1)や、「成果を上げる人ほど、自己認知能力が高い」という研究成果(※2)などがあります。これらの研究が示唆しているように、自己認知力は重要ですが、自分を知るという行為は簡単なことではありません。

自分を知るための手段として効果があると言われているのが、「内省」と「フィードバック」です。内省とは自分と向き合って過去を振り返り、良かったこと、改善すべきことを明確にする営みです。誰にでもできる、簡単な取り組みですが、効果を発揮するためには、やり続ける努力が求められます。一方、フィードバックは第三者から、自身の良い点、改善点に関する客観的な情報をもらうことです。時には耳の痛い内容もあるかもしれませんが、それを素直に受け入れる姿勢をもつことが大切です。

このように、内省とフィードバックは、「必ずやる」と腹を固めないと実践し続けることは難しいものです。でもそれができると、主観・客観両面から自分を見られるようになり、自己認知力は高まっていきます。

第2の条件「主体性をもつこと」

主体性とは、自分の意志・判断で行動しようとする態度のことを指します。主体性をもっている人は、常に問題意識をもって深く考えるので思考力が鍛えられますし、多くの気づきが得られます。また、自分の意志で行動しているという実感があるので、「やらされ感」から解放され、仕事や人生に対するエネルギーが高まります。ことほど左様に、主体性をもつことは個人の成長に大きな影響を及ぼすのです。

主体性をもつためには、以下のような取り組みを習慣づけることが大切です。

意識的に、ポジティブな口癖、独り言を言う

「面白い」「楽しい」「大丈夫」「必ずできる」「よし、やるぞ」......。できるだけ、ポジティブなことばづかいを習慣づけることです。ポジティブなことばを使うと、それが自身の潜在意識に刷りこまれ、態度・行動もポジティブに変わっていくことは脳科学の分野でも明かにされています。(※3

仕事の意味を考える

自分の担当業務が誰に、どのような価値を提供しているかを、時々考えてみることです。どんな仕事にも必ず存在意義(パーパス)があります。それを考え、自分のことばで言語化しているうちに、仕事のとらえ方が変わり、「これは私の仕事なのだ」という所有感が高まっていくでしょう。

自分の軸を定める

「人生の主役は自分である」という感覚をもつために、自らのキャリアアンカーを明確にするという方法があります。キャリアアンカーとは、個人がキャリアを選択していく上で絶対に譲れない軸となる要素を人生の錨(アンカー)に捉えた概念です。具体的には、「やりたいこと」(Want)、「得意なこと」(Can)、「やるべきこと」(Must)の3つからなりますが、それぞれに対して自分の現状を書き出すことで自分の内なる軸が少しずつ見えてきます。そして軸がしっかり定まれば、主体性をもって生きていく姿勢が育まれるのです。

第3の条件「つながること」

どんなに有能な人でも一人でできることには限界があり、他者と協働し、他者からの支援を受けることで達成できることがたくさんあります。逆に言えば、自分の力だけでは達成が困難な課題に直面したら、能動的に周囲にはたらきかけ、支援を求めることが大切であるということです。仕事ができる人ほど、何でも自分でやってしまおうと思いがちですが、その思考パターンが固まってしまうと、成長がある時点で頭打ちになり、それ以降、能力開発が止まってしまうことが間々あります。そうなると周囲から、「彼(彼女)は、入社時は優秀だったのに、最近は伸び悩んでいるな」という評価につながってしまうのです。

したがって、大切なのは「他者からの支援を求める積極性」をもつことと、「他者から支援をしてもらえるような日ごろからの言動」を心がけることです。他者から支援を受けるためには、常に相手の立場にたって発想し行動する「利他の精神」が必須条件になります。その精神をもって、周囲の人たちのためにどのようなお役立ちができるかを考えながら仕事をすることです。このような努力を地道に続けていけば、周囲の人たちとのつながりが強固になり、協働を通じた成長が後押しされるでしょう。

第4の条件「素直さを維持すること」

経営コンサルタントの小宮一慶氏は、経営指導を通じて数多くの人を見てきた経験から、成長する人に共通しているのは「素直な心」をもっていることだと述べています。素直な心をもっている人は、新しい情報や知識を吸収することにどん欲なので、さまざまな気づきを得て成長が促進されます。また、自分の考えや過去の成功体験にとらわれることなく、目の前に起きている現実を直視するので的確な判断ができ、仕事や人生で成功する確率が高まります。

このように、素直な心になれば、成長と成功の両方を手に入れやすくなりますが、その状態を維持するのは簡単ではありません。成功体験を重ね、地位や肩書きを得るようになると、往々にして謙虚さを失い、傲慢さや慢心が生じて、ものごとを見たり聞いたりする際に自分に都合の良いように解釈してしまいます。こうなると、判断を誤ったり、気づく力が弱まり、結果として自身の成長にブレーキをかけてしまうことになります。

そうならないためには、「素直な心であり続けよう」と日々、自分に言い聞かせると同時に、周囲からの助言・忠告に耳を傾ける、そして一日の終わりに自分のあり方を振り返る、などを実践することが大切になります。

変化の時代を生き抜くために

変化の時代を生きる上で大切なことは、「必要度」を上げることです。社会が大きく変化して、既存事業が市場から必要とされる度合いが低下した企業は業績を落としています。今、大切なことは自らの必要度を上げること。これは企業だけではなく、個人にもあてはまります。一人ひとりが、所属する組織や社会から必要とされる度合いを高めていくことが大切であり、そのためには成長し続けないといけません。

次代の産業界を担う若手社員の方がたには、日々の仕事を通じて成長し、自らの「必要度」を上げながら、より良い社会づくりに貢献していただきたいと思います。

1 ダニングクルーガー効果
2 Church AH (1997)Managerial self-awareness in high-performing individuals in organizations.
3 浜松医科大学名誉教授 高田明和氏などの主張

PHP公開セミナー「若手社員研修」はこちら

中堅/若手社員研修・教育TOPへ

的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

新着記事中堅/若手社員研修・教育

  • 中堅社員研修 意識革新コース(公開セミナー)
  • 若手社員研修 仕事力アップコース(公開セミナー)
  • 舘野泰一監修 若手社員のリーダーシップ開発研修
  • 若手・中堅社員研修DVDビデオ教材
  • 若手・中堅社員向け通信教育

×