これだけは新入社員に教えたい! 仕事の進め方5つの基本
2017年11月17日更新
新入社員を、仕事を一人でしっかり回せる人に育てるために、最初に教えておきたい仕事の進め方の基本を、5つのポイントに絞ってお伝えします。
まじめで、言ったことはきちんとやってくれる最近の若者
新入社員を受け入れる頃になると、世間は「最近の若者」の話題で持ちきりになります。「最近の若者」はとても「まじめ」で、社会に出る楽しみも感じていますが、一方で自分が入社してから仕事に適応できるか、人間関係はどうなるのかなど、まだ起こっていないことを考え、不安に思う人たちも多いようです。最近の若者は「言われたことしかやらない」と言われることが多いのですが、反対に捉えれば「言ったことはきちんとやってくれる」のです。最初から多くのことを望まずに、まずは新しい世界でしっかりと自信をつけてもらい、自律する方向を示すことが大切です。
新入社員を「仕事を一人でしっかり回せる人」に育てる
新入社員を受け入れる側としては「仕事を一人でしっかり回せる人」に育ててあげることを意識するといいでしょう。つまり、正しい仕事の進め方を早い段階で教え、自信をもたせることだと思うのです。そのためには、教える側にも、できるようになるまで徹底的にやり続けさせる覚悟が求められます。
その「仕事の進め方の5つの基本」を順に解説しましょう。
(1)PDCAサイクル
多くの企業の仕事の基本にもなっていると思いますが、「マネジメントサイクル」とも言われ、指示を受けたら、計画(Plan)→ 実行(Do)→ 確認(Check)→ 再施行(Act)の流れで仕事を行い、つねによりよい仕事を意識し、実践することを意味しています。言われたことをすぐに実行(Do)するのではなく、自分の目の前の状況を自分で把握し、まずは計画を立てる。そして実行後に自分の仕事をしっかり確認(Check)させ、自分の行なったこと=自分ゴトとさせる。そして、自分で行なったことと最初の計画との比較を行なわせて、もっと良い方法はなかったかを考えさせ、再度PDCAを回させる。これを徹底的に繰り返させることで、「言われたことしかやらない」ことからの脱却をさせることができるのではないでしょうか。
(2)3ムの排除
3ムとは「ムダ、ムラ、ムリ」のことです。自分の仕事や周りの状況で「ムダ」が起こっていないかを意識させることが、「コスト意識」の醸成につながります。また、自分の仕事のやり方や意識に「ムラ」がないかを確認することが、「品質意識」の醸成につながります。最後に、チャレンジは大切ですが「ムリ」な行動が周りに迷惑をかけてしまうことなどを意識させることで、「協調意識」や「安全意識」を醸成することができます。
(3)5W3H と(4)指示・命令の受け方
仕事で自信をもたせるためには、指示をしっかりと受け、正しく判断し、行動することです。その仕事の始まりである指示を明確にするために、仕事の基本の要素である5W3Hを意識して行動させることが必要です。いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、何のために(Why)、どのように(How)、いくつ(How Many)、いくら(How much)は、仕事をうまく進めるために重要な要素であることを早い段階で認識させます。それらを基にして仕事が動いていることを理解させることで、次の「報告・連絡・相談」等の周りとの円滑なコミュニケーションにもつながります。人との関係性づくりの大切さを実感すると、仕事に対しての主体性、積極性が生まれてくるのです。
(5)報告・連絡・相談の基本
仕事の進め方で重要なコミュニケーションである「報告・連絡・相談」が確実にできるようになると、組織全体の動きや仕事の流れを学べ、周りと良い人間関係を作ることができます。報告は過去について、相談は現在、連絡は未来の事象、と時間軸を自分で止めてしまわないためにもとても重要なコミュニケーションです。
周りへの信頼感や本人の自信を醸成する仕事の基本
「仕事の進め方の5つの基本」、いかがでしたでしょうか。PDCAサイクル、3ムの排除、5W3H、指示・命令の受け方、報告・連絡・相談。御社では、しっかり指導できていますでしょうか。
この5つ基本は仕事の成果につながり、周りへの信頼感や本人の自信を醸成することにもなっていくのではないかと思います。これらを早い段階で、しっかりと徹底的に身につけさせることが、新入社員を迷わせず、自信をもって主体的に仕事に取り組む「人財」にするための秘訣です。
私自身も、長く仕事を続けるなかで、この5つが自分を支えてくれていることを最近改めて痛感しています。仕事の進め方の基本の大切さを、指導する上司の皆さんにも改めて考えていただければと思います。
杉本美晴(すぎもと・みはる)
大手コンピューターシステム会社を経て独立。メーカー、商社、金融機関、全国の自治体や商工会議所、大学なども多数担当。各方面で女性創業塾の講師も務める。キャリアデザインをはじめ、ビジネススキル、コミュニケーション、CS、クレーム対応、モチベーション、エネルギー回復トレーニングなど、幅広いテーマの研修経験が豊富で指名が絶えない。PHPゼミナール講師。