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新入社員教育は、新社会人としての基礎の基礎からスタート

2019年3月22日更新

新入社員教育は、新社会人としての基礎の基礎からスタート

新入社員が「社会人として最低限の常識も身につけていない」と困っている上司の立場の方の話をよく耳にします。「何か仕事を頼んでも返事をしない」「誰にでもくだけた話し方をする」「始業時間ギリギリに出社する」……。では、どのような教育が効果的なのでしょうか。

社会人としての常識が身についていない若者たち

「近頃の若い人たちは、こんなことも知らないのか?」という台詞は、実は古典的な表現であるといえます。個人差や社会的背景による差はもちろんありますが、いつの時代も上司の立場の人は、経験の少ない若い人たちが、社会人としての常識を十分に身につけていないことを嘆くものです。
とはいえ、いつまでも最低限の常識すら身につけられないのであれば、その社員に仕事を任せられないのはもちろん、会社内の人間関係や組織の運営にも問題が出てくる可能性があります。そして今の時代、忙しい毎日の中で、受け入れ側の上司や先輩社員が、そうした常識まで一つひとつ丁寧に指導するのも、なかなか難しいのが現実です。
そこで、入社内定者を対象にしたPHP通信ゼミナールの『社会人、やっていいこと・悪いこと』のテキストから、どんな常識を身につけてもらえばいいのかをピックアップしてご紹介します。

新社会人として働き始める前に知っておいてもらいたいこと

この通信ゼミナールのテキストには、新入社員の男女、中堅の先輩社員の男女、そして課長の5名が登場します。職場でよく見かける事例が登場人物のマンガで表現され、問題となる事柄がそこで浮き彫りにされます。さらに、その問題に対して、どう考えるべきか、どうあるべきか、どう行動するべきかなどが、そのあとの文章で説明されているのです。
例えば、第1章では、新社会人の出社1日目の様子が描かれています。新入社員2人が出社し、会議室で課長から言葉をかけられます。あいさつのあと、課長が「会社で働くということについて、君たちにはしっかり考えてほしい!」と話すと、2人は驚いた表情を見せます。そのあと、「会社は何のために存在するのか」「給料をもらうということ」「世代の違う人たちと仕事をする」といった事柄を解説する文章が続きます。
一部抜粋してみましょう。

「会社は何のために存在するのか――経営理念とは」

会社で働くために理解しておきたいことがあります。それは、何のために会社が存在するのかということです。その答えを考えていきましょう。
経営理念という言葉があります。これはどこの会社にもあり、「自分たちの会社は何のために存在するのか」という会社の存在意義や「自分たちの会社はどういう目的で、どういう形で活動を行なっていけばいいのか」という会社の活動の根本的な考え方が文章としてまとめられたものです。そして経営理念は、会社や社員一人ひとりの日々の仕事の精神的な支えとして、どこの会社でも非常に大切にされています。
多くの若者は、「経営理念」とは何かについて、おそらくまだ深く考えたことがないと思われます。しかし、企業で働く大前提として、ぜひ理解してもらう必要があります。こうした基礎の基礎といわれるところから、新入社員教育で伝えていくことが重要といえます。

服装や言葉遣いなど、仕事に向かうときの姿勢を学ばせる

第2章では、新社会人の多くがまだ十分に身につけていない「仕事の姿勢」について、さまざまな重要ポイントが取り上げられています。具体的には「あいさつの大切さ」「会社とプライベートとの区別」「社会人らしい言葉づかい」「感情のコントロール」「周囲への気配り」「会社の規則」などについての解説があります。
例えば「会社とプライベートとの区別」については、仕事場にふさわしくない派手な服装とメークで出社してきた女性新入社員に、先輩女性社員が注意する場面が描かれ、続いて次のように解説されています。

「個性を勘違いしていませんか?」

宮沢さんは、「なにその格好? アクセサリーもジャラジャラつけて」と藤井さんから注意されました。それに対し宮沢さんは、「どうしてダメなんですか? 個性を大切にっていってくれたの藤井さんじゃないですか!」とムッとして、なぜ怒られているのかわからないといった様子です。藤井さんは、宮沢さんの態度にあきれかえってしまいました。
なぜ、宮沢さんが藤井さんに注意されたのか考えてみましょう。それは宮沢さんが、プライベート感覚の身だしなみで会社に来たからです。つまり、会社が求める身だしなみを理解していなかったのです。
今どきの若い人たちは、中高年の世代よりもそれぞれの個性を尊重して育てられてきた傾向があります。しかし、外見を着飾って個性を発揮することが、会社によっては必ずしもふさわしくない場合も多いはずです。そうしたことを「社会人の常識」として社員教育を通して理解してもらうことも大切だといえるでしょう。

感情に流されやすい若い社員をどう育成するか

誰にとっても「感情のコントロール」は難しいことです。特に経験が少ない若い人の場合、ささいなことでも必要以上に気に病んで、ひどく落ち込んでしまうこともあります。しかし、何かあるたびに、いちいち感情に流されていたら、しっかりと仕事に取り組むことができませんし、周囲に悪影響を与えてしまいます。テキストでは、男性新入社員が課長に叱られて落ち込んだ場面がマンガで描かれ、さらに解説が続きます。

「感情のコントロールをしよう」

人には感情があります。体調がよくないときや、苦手な取引先に行かなければならない、ミスが続いて落ち込んでいるときなどに、やる気が出なくなったりするように、その日の体調や気分によって感情が変わるのは当然のことです。
その日の感情によっては、「会社に行きたくない」「仕事をしたくない」と思うかもしれません。もしくは、それが会社で態度に出てしまうこともあるでしょう。しかし、そういう考え方や態度は、会社では許されません。
たとえば、予約していたレストランが、「今日はやる気が出ないから、味があまりよくありません」といってきたとしたら、みなさんはどう思いますか? 「なんだ、その理由は!」と怒るのではないでしょうか。そして、そのレストランには二度と行こうとは思わないでしょう。
このように、その日の感情で仕事への態度を変えているようでは、「あいつは、感情でやる気や態度がコロコロ変わる人だ」と社会人としての信頼を失い、仕事を任せてもらえなくなってしまいます。

「なぜ感情をコントロールしなければいけないか」が若い人にも理解してもらえるように解説されています。新入社員の導入研修においても、このように説明し、彼らが素直に受け止められたら、少なくとも感情をコントロールしようと努力するようになるでしょう。
ポイントは、若い人たちの育ってきた環境を知り、彼らが理解し納得できるように解説すること。素直に話を聞くことができる新入社員のうちに、社会人の常識を身につけさせたいものです。

※本記事はPHP通信ゼミナール『社会人、やっていいこと・悪いこと』を抜粋・編集して制作しました。

通信教育『社会人、やっていいこと・悪いこと』はこちら


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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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