新入社員の教育係の役割とは? 教育係が抱える悩みや解決策
2022年1月11日更新
新入社員を支援しながら教育するのは、企業にとって重要な業務です。ただし新入社員によって仕事の覚え方や成長スピードが異なるため、さまざまな悩みを抱える教育係もいるでしょう。そこで今回は、新入社員の教育係が抱える悩みや解決策をご紹介します。
新入社員の教育係の役割
新入社員の教育係に求められる主な役割には、次のようなものがあります。
・業務への理解度の確認
・精神面のサポート
・新入社員の時間管理
・研修のフォローアップ
教育係自身がどのような役割を担っているかを正しく理解することで、新入社員への接し方も変わるはずです。新入社員の教育係の役割について、それぞれを詳しく確認していきましょう。
1.業務の理解度の確認
教育係には、新入社員がどのくらい業務を理解しているかを確認する役割があります。新入社員がきちんと業務の目的を理解できているのか、業務に対して疑問を持っていることはないかなど、細かく確認しながら指導しなければいけません。
新入社員に理解度の低い部分があれば教育係が素早くフォローし、新入社員がよく理解して納得した状態で業務に向き合えるようにすることが必要です。業務の理解度を確認する方法には、テストや課題の実施、一人ひとりの新入社員から話を聞く面談などがあります。
2.精神面のサポート
新入社員によって覚え方や成長スピードが異なるため、なかには理解度が低く、実施されたテストや課題が合格点に達しない場合もあるでしょう。このような場合、新入社員の仕事に対するモチベーションが下がることもあります。
そこで必要になるのが教育係によるメンタルサポートです。教育係が新入社員のメンタルをうまくサポートできないと、早期退職といった問題が起こる可能性もあります。新入社員の様子を観察して不調があるようならば、しっかりと対処することが必要です。
3.新入社員の時間管理
新入社員の時間管理を行うのも教育係の役割です。就業開始や退社時間の管理はもちろんですが、各業務にかける時間についても管理しながら指導を行っていきます。企業では、どのような仕事にも納期があります。新入社員のうちに、限られた時間内で成果を挙げるという意識づけや、処理能力向上についてサポートしていくことが大切です。
業務が遅れる新入社員がいるとすれば、たとえば無駄な作業をしていたり、業務の手順、段取りを正しく理解できていなかったりする可能性があります。このような場合は、教育係が当該社員に声をかけて業務の理解度を確認し、仕事の進め方を振り返って、正しい理解を促すといいでしょう。
4.研修のフォローアップ
教育係には、導入研修で学んだことを新入社員が正しく理解して実践できているかをフォローアップする役割があります。また、配属された部署で困ったことはないかを確認することも必要です。
新入社員のフォローアップを行うには、悩みや不安なことを聞くための面談を設けるといいでしょう。面談で新入社員の悩みを理解し、それらの悩みに応じたフォローアップを行うことが必要です。
新入社員の教育係に必要な心得
新入社員の教育係がおさえておきたい心得には、次のようなものがあります。それぞれの項目を確認していきましょう。
・【精神面】個性はそれぞれ異なる
・【精神面】新人との交流を蔑ろにしない
・【精神面】失敗しても自分を責めない
・【スキル面】指示は具体的に伝える
・【スキル面】新入社員の内省を促す
・【スキル面】人間関係の構築を支援する
【精神面】個性はそれぞれ異なる
教育係が新入社員を教育するときは、彼らを同一視しないようにしなければいけません。繰り返しになりますが、業務の覚え方や成長スピードは、新入社員によって異なります。人によって得意不得意があるため、すべての新入社員が同じように業務を行えるわけではありません。教育係は、新入社員がほかの社員と同じようにできないことを責めるのではなく、個々の特性を理解し、良いところを伸ばすような指導を心がけることが大切です。この点を踏まえて教育や指導を行えば、新入社員の見え方が変わります。
【精神面】新人との交流を蔑ろにしない
新入社員に業務スキルを指導することだけが、教育係の仕事ではありません。新入社員に社会人としての成長を促すには、一人ひとりの価値観や性格、そのときの気持ちを理解する必要があります。そのため、職場での業務指導だけでなく、新入社員とのさまざまな場面での交流が重要になってきます。
たとえば、新入社員のなかには、新しい環境に馴染めずに不安を感じている人がいるかもしれません。そういった状況の新入社員に「この会社で働き続けたい!」と感じてもらうためには、まずは、新入社員の話を聴くこと。そして、自分の仕事への熱意や将来の夢を共有することも大切です。新入社員の人となりを理解し、彼らのほうでも指導員の考え方や価値観を理解したならば、新入社員と教育係の関係の質が向上します。「新入社員に成長してもらいたい」という指導係の気持ちが伝われば、彼らもそれに応えようと必死に業務に向き合うでしょう。
【精神面】失敗しても自分を責めない
新入社員を育てるのは、決して簡単なことではありません。経験者でもない限り、はじめからすべてうまくいく人は、ほとんどいないと言ってもいいでしょう。思うように彼らが成長しなくても、「自分が悪い」と過度に落ち込む必要はありません。
改善点を探して教育や指導方法を変えれば、状況が変わることもあります。自分の教育や指導方法に迷ったならば、新人教育の経験値がある先輩や上司に相談してみるのがいいでしょう。新人教育を円滑に行ううえでのヒントを得られるかもしれません。
【スキル面】指示は具体的に伝える
業務における新入社員の知識量は、教育係と同じではありません。曖昧な説明で業務の指示を出すと、新人社員が混乱してしまう恐れもあります。「こんなことは知っていて当たり前」といった考えを捨て、具体的かつ端的な説明を心がけましょう。
複雑な業務については、具体例を交えて説明すると新入社員の理解が進みます。理解度が深まれば、作業スピードも向上するはずです。教育係のほうでも、新入社員から何度も質問されることがなくなり、負担が軽減するでしょう。
【スキル面】新入社員の内省を促す
内省とは、自分と向き合って過去を振り返り、良かったこと、改善すべきことを明確にする営みです。誰にでもできる、簡単な取り組みですが、効果を発揮するためには、やり続ける努力が求められます。
新入社員は覚えることも多いため、一日一日をあわただしく過ごしてしまいがちです。教育係から「今日一日、うまくいったことは何か、うまくいかなかったことは何か」「明日をどんな一日にしたいか」といった問いかけによって振り返りを促してあげるといいでしょう。また、指導係が気づいた点についてはフィードバックすることも必要です。日々の振り返りが成長につながります。
【スキル面】人間関係の構築を支援する
職場の人間関係がうまく構築できずに悩む新入社員は少なくありません。人間関係を築けないことが早期退職の理由になることもあります。教育係は誰よりも近い距離で新人に接するため、人間関係の構築を支援することが大切です。たとえば、新入社員を他部門の人に紹介したり、職場のメンバーと話をする機会をつくったりすると、人間関係の構築がスムーズにできるようになることがあります。困っているときに、話を聴いてあげるだけでも、新入社員には大きな力になるでしょう。新入社員が職場で良好な人間関係を築けるように、教育係が中心になって支援していくことが大切です。
新入社員の教育係が抱える悩み
新入社員を教育するのは決して簡単なことではないため、さまざまな悩みを抱える教育係も少なくありません。教育係の悩みでよくあるのは、次のようなものです。一つずつ確認していきます。
・自分の仕事をする時間がない
・指導すべき内容が多すぎる
・うまくコミュニケーションが取れない
1.自分の仕事をする時間がない
教育係が抱える悩みで多いのは、自分の仕事をする時間を確保できなくなることです。新入社員に対して徹底した新人教育を行うとなると、多くの時間や手間がかかってしまいます。
また、新人教育を優先にすると就業時間内で自分の業務を終わらせることが困難になり、毎日夜遅くまで残業が続くこともあるでしょう。このような働き方では、精神的にも体力的にもつらくなってしまい、教育係を辞退したいと考える社員もいるようです。
2.指導すべき内容が多すぎる
教育係が新入社員に教えることは、業務に関することだけではありません。お客様や取引先に対する言葉遣いや態度といった、ビジネスマナーの基本を教育しなければならない場合もあるでしょう。
また、新入社員によって仕事の理解度や作業スピードも大きく異なります。仕事の理解度が低かったり作業スピードが遅かったりする場合は、その新入社員と話をして改善策を考える時間も必要でしょう。教育係は指導すべきことが多すぎると負担に感じるようです。
3.うまくコミュニケーションが取れない
新入社員と教育係の相性が悪いと、コミュニケーションがうまく取れないことがあります。年齢差や価値観の違いによるものもありますが、お互いに人間ですから性格が合う・合わないがあります。意思疎通を図ることさえ難しくなると、教育係は指導を行いづらくなってしまいます。
このような状態では新入社員をサポートするのも難しくなり、教育係という立場から逃げ出したいと考える社員もいるようです。
教育係の悩みを解消する方法
新入社員の教育係が抱える悩みを解消する方法には、次のようなものがあります。教育係はやることが多いため、悩みを解消して自分が働きやすい環境を整えることが大切です。悩みを解消する方法を確認していきましょう。
・業務に関するマニュアルを作成する
・新入社員に対して過干渉にならない
・指導しやすいように席を配置する
・解決できない悩みは上司に相談する
1.業務に関するマニュアルを作成する
新入社員は覚えることが多いため、一度説明しただけでは頭に残らないこともあります。このような場合は、新入社員に覚えてほしい業務や社内システムをマニュアル化するのが有効です。マニュアルがあれば、新入社員が自分自身で振り返って確認することができます。
新入社員からの質問の回数も減るため、教育係は自分の時間を確保できるようになります。マニュアルの作成には時間と手間がかかりますので、準備の時間や手間を省きたいのならば、既存マニュアルを新入社員用にアレンジして用意するのがいいでしょう。
2.新入社員に対して過干渉にならない
新入社員に一度業務を任せたならば、過干渉にならないようにするべきです。業務のやり方で間違っている部分があれば指導が必要ですが、常に監視する必要はありません。必要以上に教育係がフォローすると、新入社員に甘えが出てしまうおそれがありますから、その点、注意が必要です。
リモートワークなどの影響で、昨今は、新入社員であっても頼れる人が周りにいない状況で仕事をする機会が増えています。また、いずれは自分で業務を行わなければいけません。問題に直面したときに自分で解決できる能力を身につけてもらうためにも、助けを求めて来ない限りは口出しをせず、まずは新入社員を信じて任せてみましょう。
3.指導しやすいように席を配置する
新入社員とのコミュニケーションを取りにくいと感じるのであれば、席の配置を工夫してみましょう。新入社員と教育係の席が近いと、業務の進捗状況を確認したり、指示を出したりするのが、楽にできるようになります。
新入社員も教育係に質問しやすくなり、業務への理解度や作業スピードも上がるでしょう。教育係は自分の業務をしながら新入社員の状況を把握できるため、新人教育の負担も少しは軽くなるはずです。新人を迎える前に、職場の席の配置を、上司に相談してみましょう。
4.解決できない悩みは上司に相談する
はじめて教育係に任命された場合、うまくいかないこともあるかもしれません。その悩みを自分で解決できないときは、上司に相談するのが一番です。どのように対処すればいいかを上司に話してみましょう。
教育係の経験がある先輩や同僚に話を聞いてみるのも有効です。人に相談することで自分も気持ちが楽になれますし、場合によっては課題を解決する具体的な方法が見つかるかもしれません。悩みはひとりで抱え込まず、周囲を頼りましょう。
まとめ:新入社員教育の悩みを一人で抱え込まない!
新入社員の教育や指導は、決して簡単なことではありません。特にはじめて教育係に任命された場合、問題に直面することも多いでしょう。とはいえ、うまくいかないからといって過度に自分を責める必要はありません。
新入社員の指導育成は、職場全体で行うものです。ここで紹介した対策を実践して問題が解決することもありますが、自分で解決できなかった場合は、悩みをひとりで抱え込まず、上司や先輩、同僚などに相談し、周囲にサポートしてもらいましょう。