なぜ新入社員に自己啓発が必要なのか~意義やポイントを解説
2022年6月 2日更新
向上心を持ち、自分を成長させ続けられる人は、仕事でも成果を出し続けることができる人です。ここでは新入社員の方がたに知っておいてほしい自己啓発の意義やポイントについてご紹介します。
今、新入社員の自己啓発が見直されている
人材育成の手法といえば、OJT、Off-JT、自己啓発の大きく3つに分けられますが、新入社員教育については、導入研修などのOff-JT 、職場に配属されてからのOJTを軸に実施されてきました。
しかし、コロナ禍によってリモートワークが浸透してきた今、新入社員といえども、これまでのように、席を並べる先輩や上司がいつでも手取り足取り教えてくれる、という環境は望めなくなりました。従来型のOJTは、難しくなりつつあるといえるでしょう。
企業を取り巻く環境が激しく変化し、先行き不透明と言われる今の時代、社会や企業に必要とされる存在になるためには、新入社員といえども「自分自身を自律的に成長させ続ける」という考え方をもたなければいけません。そこで見直されているのが「自己啓発」です。
新入社員が取り組む自己啓発
自己啓発とは、一言でいえば自分で自分を成長させることです。それは何も、職場以外の場所で行うものとは限りません。入社して間もない新入社員には、むしろ、与えられた仕事を行うための基礎知識・技能の習得に全力投球してもらうほうがいいでしょう。
日々の仕事は取り組み方によって、成果や成長に差が出ることになります。教えられたこと、間違えたことなどをきちんとノートに整理する。そして、その関連知識を学ぶ。わからないことがあれば、調べて覚えるようにする。たったこれだけのことでも、1年間続けるのは大変なことです。小さなことを続けられるかどうかから違いが生まれます。
そして、仕事や社会人としての生活に少し慣れて余裕が出てくれば、仕事と直接関係のない分野にも学ぶ範囲を広げることができます。趣味、習い事、資格取得など、一見、仕事とは関係がないと思われることであっても、好奇心を持って積極的に取り組んでみることで、人間としての成長が期待できるかもしれません。
自己啓発は社会に対する義務でもある
松下電器(現パナソニック)の創設者である松下幸之助は、著書『社員心得帖』の中で、次のように述べています。
私たちが社員として、みずから進んで常識を豊かにしていくとか、あるいは仕事の力をさらに高めていくということは、もちろん自分のためになることです。が、私はそれは同時に社会に対する一つの義務でもあると思うのです。というのは、たとえば私たちの社会で、すべての人が一段階ずつ進歩したとするならば、社会全体もそれによって一段向上することになります。ところが他の人がみな三段進歩したのに自分は一段しか進歩していないということになれば、そのことによって、社会全体の平均の段数は三段あがらないことになります。(中略)そう考えると、逆に自分が勉強するもしないも、それは自分の勝手だ、といった態度は許されないということになってくるわけですが、その点、みなさんの意識はいかがでしょうか。
(『社員心得帖』松下幸之助・著 PHP研究所)
新入社員の方がたには、主体的に学び続けることで、自分自身、そして社会や組織を成長させる存在になっていただきたいものです。
自己啓発の課題
新入社員の自己啓発について、具体的な課題をいくつかご紹介しましょう。貴社の新入社員にも、自ら課題を決めて自己啓発に取り組むよう、先輩・上司から促してみてはいかがでしょうか。
・前向きな姿勢を身につける
仕事には積極的な姿勢、発展的な思考が不可欠。ミスをして落ち込むのではなく、原因を分析して次に生かせば、その人は成長し、発展していくことができる
・広い視野を持つ
食わず嫌いを止め、自分と違うもの、違う人を受け入れることで視野は広がっていく。職場の人との交流も、職場以外の人との交流も、両方大切にすることが重要
・精神を鍛練する
苦手なことに取り組んだり、苦手な人と話をしたり、逃げたいと思うことでも逃げずに取り組むことで、強い精神を養っていく。難しいことに怖がらずに挑戦することも大事
・知識を習得する
専門知識を深めるとともに、さまざまなジャンルの本を読んだり、新聞を読んだりすることで、幅広い見識や教養を身につけていく。視野の拡大や、思考の深化につながる
・技能を習得する
仕事で必要な技能を習得し、徹底的に技術レベルを高めていく。職種によっては資格の取得に力を入れることも重要
※本記事はPHP通信ゼミナール『<新版>めざせ!プロ社会人。』を参考に作成しました。
PHP通信ゼミナール
『<新版>めざせ!プロ社会人。』
会人としての考え方や仕事に必要な基本スキルを学習し、「プロ社会人」としての自覚を植え付けることで、入社後の早期戦力化を図ります。