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新入社員研修プログラムの作り方とポイント~具体的な内容や事例も解説

2021年12月14日更新

新入社員研修プログラムの作り方とポイント~具体的な内容や事例も解説

新入社員研修にはどのようなプログラムを用意すればよいか。人事担当者が押さえておきたい研修のねらい、内容、効果をあげるポイントなどを、事例をもとに徹底解説します。

INDEX

新入社員研修プログラムを策定するにあたって

学生時代は、学習したことを記憶して実践するかどうかは個人の自由であるし、できなくても本人にしか影響が及ばない。しかし、社会人となれば、行動の善し悪しが会社全体、時には会社の盛衰にも影響する。新入社員研修の内容は、"分かる"ではなく"できる"ことに目的を置かなければならない。そのためには、次のことが必要である。

(1)メモをとる習慣を身につけさせる
(2)学んだことは必ず復習し、実行することが大切であることを教える
(3)どんなに些細な仕事でも、意義や目的があることを教育する
(4)実習をして、体得させる
(5)上司・先輩によるOJT(現場指導)と効果的に連携させる

新入社員に、どんな内容を教えるべきか

入社直後のタイミングこそ、就業規則の厳守、コンプライアンスなど、人としての責任をきちんと指導しておきたい。コンプライアンスについては、資料を渡し、違反の際の懲罰もあわせてはっきり示しておく。社員教育用の映像教材が市販されており、貸し出しをしている施設もあるので、利用するとよい。

その他、思いやり、気配り、マナー、チームワークの大切さ、努力して目標を達成することの意義なども研修プログラムにもりこみ、教育ゲームや体験実習などで経験させれば、新入社員は素直に受け止め、教えてくれたことに感謝し、感動するはずである。これらはすぐには形に表れないが、入社数年を経過した後でもずっと本人の心の栄養・支えになっていくものである。

新入社員の成長を決める"しつけ"

今は家庭でも学校でもしつけがあまりできていないことが当たり前と考えておくほうがよいだろう。成人しているはずの新入社員を相手に、会社がしつけ教育を担わなければならないのは、納得しづらい部分ではあるが、この点を放置すれば、会社の信頼が失墜してしまう事態にもなりかねない。新入社員が失敗したことの対処に、(1)役職者が時間を費やし、(2)会社のイメージがダウンし、(3)仕事の効率が落ち、(4)社内の人間関係にひびが入る。さらに、(5)新入社員には「悪かった」という意識がないため、咎めると新入社員は落ち込んだり反発したりして、辞めてしまう結果につながることもあるなど、不利益は測り知れない。

極端な例だが、新入社員の中には、「大学の授業と同じ感覚で、実績をあげれば毎朝定時に出社しなくてもいいと思っている」「仕事中にプライベートな雑談をすることがコミュニケーションだと思っている」「朝、起きることができないだけで平気で休む」「休みの連絡をメールでする」など、信じられないことが起きている。しつけまで会社がすべきかどうかを議論する前に、すみやかにしつけ教育を実施すべきである。特にしつけをしておきたいのは、次の5項目である。

(1)時間や期限の厳守
(2)ルールの厳守
(3)最後までやり遂げること
(4)お客様や上司への態度と言葉づかい
(5)報告・連絡・相談

研修プログラムにおけるビジネスマナーの重要性

電車の中で1人がマナーを違反すると、車両はたちまち不愉快な雰囲気になってしまう。しかし、マナー違反をしている本人は、そんなことに気がついていない。本人がマナー違反を犯しているという意識がない場合、教育が必要となる。家族や自分と気が合う友人・知人とだけ接してきた新入社員は、社会に出たばかりで、仕事をする上で必要なビジネスマナーを学んでいない。しかし、新入社員だからビジネスマナーを知らなくても仕方ないと、お客様が許してくれることはない。また、職場にビジネスマナーに欠ける人物が1人いるだけで、他の全員が不愉快な思いをする。ビジネスマナーを学習することは、相手に対する思いやりや気配りなど、心の成長も促す効果がある。

「経営理念の理解」は、必ずプログラムに組み込む

理念とは「理性によって得た最も高い考え」のことである。すべて完璧に叶えられるものではないが、理念を徹底しようと努力することにより、行動が修正される。ほかに、会社の経営上の方針や主張を表す社是やモットーなどがある。「自社の求める人材像や目指す社員像」を明確にしておくと、採用するときや教育するときに方向性がはっきりし、新入社員に限らず人事担当者や社外の講師に依頼する場合もスムーズに事が進みやすくなる。

会社、仕事の全体像を把握できるような内容にする

仕事の詳細を説明しても、新入社員には理解できない。以下のようなことを簡単に説明しておくとよいだろう。

(1)自社が社会に何を提供しているか?
(2)どのように役立っているか?
(3)製造・流通過程はどのようなものか?
(4)各部署の役割はどのようなものか?
(5)部署間の結びつきはどのようなものか?

新入社員に限らず、自分の所属部署の都合を押し通し、社内でコミュニケーションがうまくいかないケースがよくある。しかし、入社時に会社全体が有機的に結びついて成果を上げていることを説明しておくと、そのような弊害を防止できる。さらに、その仕事を短期間であっても体験実習させると、効果はいっそう上がる。その際には、上司の理解を得て、人事担当者の管理監督と上司の連携のもと、あくまでも体験実習として行うべきである。そうでなければ、新入社員は教育目的ではなく、業務の補助として、アルバイト代わりにされたという印象を受けてしまいかねない。上司側も、仕事もできないのに新入社員が交替でやってきては、わずらわしいと思うだけである。

新卒でも目標・夢の大切さを訴える

目標や夢があってこそ、生き生きと成長できるものである。新入社員研修、社内見学を通じて、あるいは、先輩の体験談などを聞くうちに憧れの存在に出会い、ますます目標も夢も膨らんでくる。また、将来なりたい先輩や上司が身近な存在であるほど、成長の度合いも高まる。2~3年後くらいまでの目標や夢を持てるよう、きちんとしたフォーマットを作成して記入させることが大切である。他の新入社員の目標や夢を聞くことで刺激を受けて成長することも多い(相互啓発できる)ので、発表をさせることも忘れず行うようにしたい。これは、プロの講師もよく利用する方法であり、研修の一部を外部講師に依頼する場合は、重複しないように打ち合わせをしておくほうがよいだろう。

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新入社員研修の効果的な進め方

"鉄は熱いうちに打て"というように、新卒の新入社員研修は、その後の仕事の方法やモチベーションを決定づける重要なものである。マナー等の学習だけでなく、会社や業務の紹介、仕事の仕方、心構え、資質の育成、成長の手助けなども組み込んだものが効果的である。

研修期間は、会社の規模(全国にある多くの拠点を見学すると研修期間が長くなる)、業務、職務によって違ってくる。4月の新入社員研修は、現場に出すための準備であるから、手厚いほうが効果的である。しかし、研修ですべてを教えて現場に送り出すことはできない。研修プログラム例に示す項目(後述)を1カ月かけてしっかり実施してもよいし、必要な項目にしぼって1~2日間で実施してもよい。自社で全部まかなわなくても、外部の研修会社・講師に委託したり、公開型の講座に参加さえることも検討すべきであろう。OJTでしっかり教えるべき内容もあるだろうから、優先順位をつけて計画的に行いたいものである。

また、オンラインを活用して実施できるものもあるので、テレワーク導入企業や新入社員が遠隔地にいる場合などは、上手に活用していきたい。

新入社員研修プログラム概要

研修のねらい、内容、具体的なプログラム事例

実際、研修でたくさんのことを教えても、体験していなければ実感できないものである。基本的に仕事は現場で学んでいくものだ。まずは新入社員だからこそできること、「明るいあいさつ」「機敏な動作」「一所懸命さ」などを教えることである。さらに、「あきらめずに努力すること」「上司・先輩・同僚と仲良くすること」「教え甲斐のある新入社員と思われること」「自分から積極的に学ぶ姿勢」を教えることができれば、後は現場でがんばってくれることを期待する。

当然、マナー、仕事の基本、業務知識も必要なので、最低限のことは教えておくべきである。主体的に学ぶ姿勢があれば、仕事を通じて成長していく。

研修のねらい

・学生から社会人の常識転換を図り、会社員としての心構えを植えつける。
・社会のルール・就業規則や組織、およびコンプライアンスを学ぶ
・コミュニケーションのあり方、好感をもたれるためのビジネスマナーを身につけ、社会人として成長していくための目標設定を行う

研修プログラムの内容(事例)

1日目午後 入社式に続いて

(1)入社に関する説明会・会社の紹介・事務手続き・入社に関する説明
・個人情報の取り扱いに関する説明
・会社の理念・社是、業務、全体像の紹介
・就業規則、コンプライアンスの徹底(SNS活用法なども)
・交通費等事務手続きの説明(試用期間から正社員までのフローや時期)

2日目

(2)研修受講の心構え
(3)社会人としての心構え
・社会人としての基本的な心構え
・学生と社会人の違い
・チャレンジ精神を持とう
(4)仕事の仕方の基本
・仕事に必要な7つの意義
・効率的な仕事の進め方

〈昼食・休憩〉

(5)ビジネスマナーの習得
・身だしなみ
・好感を持たれるあいさつの仕方
・正しい言葉づかいの習得

3日目

〈昨日の復習〉

(6)電話応対
・電話のかけ方
・電話の受け方
・電話の取り次ぎ
・名指し人が不在のときの対処の仕方

〈昼食・休憩〉

(7)接遇応対
・接遇応対の心構え
・名刺交換
・お客様の迎え方
・案内の仕方
・応接室やタクシー等の座席
・お茶のいれ方・出し方

(8)訪問のマナー

4日目

〈昨日の復習〉

(9)メールの書き方
(10)ビジネスチャットの使い方

〈昼食・休憩〉

(11)職場のマナーとコミュニケーション
・上司や先輩への接し方
・報告・連絡・相談の重要性

(12)まとめ
・全体の研修のまとめ
・実行目標の設定

5日目以降

(12)社内や工場の見学
(13)先輩の体験発表会

それ以降

(14)資質・能力養成
・問題解決能力養成や企画力養成研修、マーケティング研修、ロジカルシンキング研修など1~2日を適宜

(15)パソコン等実務研修

【まとめ】新入社員研修で効果を上げるポイント

以上、新入社員研修プログラムの概要を紹介したが、さいごにまとめとして、研修効果を上げるためのコツと留意点を整理すると、次の通りである。

(1)座学が長くなると集中力が欠けるので、基本的に50分に1回、長くとも90分に1回は休憩を入れる。
(2)社内や工場、取引先の見学を実施する場合は、ビジネスマナー研修の実施後のほうが、見学先でマナーが正せる。ビジネスマナーを学ぶ前に社内見学を実施すると、今年の新入社員は礼儀がなっていないなど、人事担当者に批判の矛先が向くことがある。
(3)モデルプログラム(2)~(11)および(14)の項目は、専門の講師に依頼すると、社内の事情に合わせてプログラムを上手に組み、進めてくれる。
(4)モデルプログラムの(14)の資質・能力養成を実施する企業は少ないが、自ら考える習慣をつけ、自律型人材を育てるためには効果的である。
(5)モデルプログラム(13)の先輩の体験発表会は、新入社員に印象を残し、モチベーションを高めるものである。先輩にとっても自分を振り返るよい経験となるので、ぜひ実施するとよい。

新入社員のエンゲージメントを高め、スムーズな定着と離職防止のために、適切な優先順位と時間配分で、効率的な研修を実施していただきたい。

※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)

茅切伸明(かやきり・のぶあき)株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役

松下直子(まつした・なおこ)株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント

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