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入社前の内定者教育を通じて人間としての成長を促すには?

2019年8月 5日更新

入社前の内定者教育を通じて人間としての成長を促すには?

企業が実施する入社内定者教育には、よい人材をつなぎとめる目的と、入社するまでに人間的に成長してもらう目的があります。学生たちを成長させるために、内定期間に何を学んでもらえばいいでしょうか。そのヒントをご紹介します。

「不安や苦痛を楽しむコツ」を伝える

「人の一生は重荷を負いて遠き道を行くが如し」という徳川家康の名言にもあるように、人が生きていくうえで、不安や苦痛が完全にゼロになることはまず考えられません。
ところが若い人たちの中には、心がきれいで理想が高すぎるからか、不安や苦痛がゼロにならないことに対して悲観的になってしまう人もいます。それがエスカレートすると、就職することへの恐怖が大きくなり過ぎる危険性もあります。
内定者教育を通して、そうした学生たちの「人間的成長」を促すことも重要です。入社前にワンランク大人に成長してもらうことで、入社後、力強く前向きに働いてくれるようになるはずです。

PHP通信ゼミナール『ようこそ! 学生諸君。』によれば、人が感じる不安や苦痛には次のような種類があるとされています。

(1)病気などの身体的不安・苦痛
(2)失敗が続く不安・苦痛
(3)成功が続くかの不安・苦痛
(4)劣等感で自信が持てない不安・苦痛
(5)完璧主義からくる不安・苦痛
(6)過去の選択への不安・苦痛

誰でもいずれかの不安や苦痛を(人によっては複数)抱えながら生きているものですが、同テキストでは、苦難を経験するからこそ人間としての幅が広がり、苦しみがあるからこそ喜びもあると訴えかけています。

「柔らか頭」を持つために

また単なる精神論にとどまらず、不安や苦痛を乗り越えていくために、「柔らか頭」を持つことが必要だとも述べられていて、非常に説得力があります。柔らか頭の条件は以下の通りです。

(1)正解は複数あると思うこと。
(2)現実的に考えすぎず、夢や幻も追うこと。
(3)自然の流れを読み、それに乗ること。
(4)あいまいなままにする部分を残すこと。
(5)ときに論理なんか捨てて、心で感じてみること。
(6)どこで遊ぶかをいつも考えていること。

年齢を重ねるにつれて、これらのことは少しずつ悟っていくものですが、若いうちから知っておくことで、人としての成長を早めることができるでしょう。

「先人の知恵」から学ぶ大切さを伝える

学生の人間的成長を促すために、歴史上の偉人たちが残した言葉や考え方を活用するのもよい方法です。同テキストでは、若い人たちが抱きそうな疑問に対して、偉人の名言を引用して解答が作成されており、非常にユニークな試みではないかと思います。

問答を一つ、引用しておきましょう。

Q よく周りから「本を読め」とか「勉強しろ」とか言われますが、私はあまり勉強が好きではありません。また読書もしません。読書はすべきだ、とは感じるのですが、長続きしないのです。おそらく、心からその必要性や意義がわかっていないのです。教えてください。

A 先生が言われた。「詩を読むことによって、人はまず興奮をおぼえ、礼を習うことによって、人は社会的な立場を確立し、音楽を聴くことによって、人は人間の教養を完成させる」と。また先生が言われた。「ものを習っているだけで自分で考えてみないと、まとまりがつかない。考えているだけでものを習わないと、疑いが出てくる」と。

これは読書が苦手な学生の質問に対して、『論語』で知られる孔子が答える形になっています。社会人になってからも、スキルを高めるために読書や各種の勉強は不可欠です。こうした「ヒント」をいくつも学生に与えておけば、社会人になる心構えもできあがっていくと考えられます。

「多様な考え方」を尊重する必要性を伝える

まだ経験が浅くて知識量がさほど多くない若い人たちは、考え方の幅が狭く、その狭い考え方の範囲で物事を判断しようとしがちです。それでは社会に出てから、いろいろな人に出会い、さまざまな考え方に出会ったとき、受け入れることが難しく、反発したり落ち込んだりしてしまう可能性があります。これでは企業人として成長していくことが困難です。

多様な考え方を尊重する必要性について、同テキストでは次のように説明されています。

自分が知っていること、経験したことの中だけで考えると、導かれる結論はいつも似たようなものになります。でも、そこに他者からの情報が加わることで考えるための視点が増え、思考の幅が広がる可能性があるのです。
最初は「そうかなぁ?」と思ったとしても、そこで排除せず、「なぜだろうか」と考えたり話し合ったりすることで、新たな「気づき」を得ることができます。「気づき」を得ることは、知識や考え方の引き出しが増えることです。だからこそ、多様な考え方を尊重し、受け止めることが大切なのです。

若い人の視野がある程度狭いのは仕方がありません。しかし、内定者教育でこのような考え方を伝えておくで、少なくとも「視野を広げようとする意識」を持ってもらうことが重要です。これをきちんと理解した人は、社会人になってから出会う新しい考え方にも、柔軟に対応できるようになるでしょう。

「常識ある生活態度」を身につけておいてもらう

何が「常識」なのかという議論になると、それこそ多様な考え方があるとは思います。それでも企業に所属し、一社会人として務めを果たしながら、トラブルを極力排除し、進歩成長していくためには、大人として一定の常識を身につけることが不可欠です。やはり同テキストから、「常識ある生活態度」について書かれた部分を要約します。

(1)新しい状況に現実的対応をする
新しい状況を拒否せず、自分の将来から目をそらさず、これを認知して方向を定めます。

(2)目標に向けて自習自得する
自分が立てた目標に向けて学び、努力し、自分のものにできるようにします。

(3)他人からの批判を受容する
嫌な気持ちを乗り越え、他人に批判に耳を傾けて、よいと思うことは受け入れて実行します。

(4)理想を掲げ継続して実行する
現実と向き合いながらも、決して理想を失うことなく、心に夢を抱き続けることも大切です。

(5)自分にこだわらず仕事にこだわる
自分の都合や利益は後回しにして、仕事にこだわり、相手を優先して行動します。

(6)感情を制御する
感情を抑え、コントロールした状態で落ち着いて思考することが大切です。

内定者教育には、内定者の精神的ケアを通して、よい人材をつなぎとめる目的と、内定者が入社するまでに、少しでも人として成長してもらう目的があります。入社後、できるだけよい状態で仕事や研修をスタートさせるためにも、内容のある「事前教育」を行っておくことが有効なのは間違いありません。

ようこそ!学生諸君。

ようこそ!学生諸君。

入社前の不安を解消し、心新たに社会人としてのスタートを切ってもらうために、内定者に考えて欲しいこと・身につけて欲しいことを、身近な視点で紹介しています。毎年1000社以上で活用されている好評コースの改訂版として、テキストにイラストやマンガをとりいれ、わかりやすく解説しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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