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社会全体で「エッジソン」の発掘・育成を~樫原洋平

2020年9月13日更新

社会全体で「エッジソン」の発掘・育成を~樫原洋平

激しく変化し続ける国際市場において、世界で戦える人財の育成が急務となっています。目的に尖った優秀な若者「エッジソン」を採用し、育成する重要性を訴えるリンクアンドモチベーションの樫原洋平氏の講演内容をご紹介します。

「会社の中に個人が入る時代」から「個人の中に会社を入れる時代」へ

産業構造が変化して第三次産業の比率が高まった昨今、ヒット商品のライフサイクルが短縮化し、約75%の商品が3年未満で陳腐化する状況になっています。さらに経済の先行きがいっそう不透明になる中、企業では成果の創出に向けて、「失敗を恐れずにチャレンジし続けられる人財」が求められるようになりました。
労働市場も大きく変化しています。かつては終身雇用制度のもと、「会社の中に個人が入って忠誠を誓い、相互に拘束していた関係」が主体でした。その後、仕事もプライベートもほどよく充実させる「ワークライフバランス重視の関係」を経て、今は「社員個人の中に会社という要素を取り込み、同時に会社もしっかりと人財を選ぶ相互選択の関係」へと移行したと考えています。

目的に尖った「エッジソン」が求められている

こうした時代の変化を踏まえて、企業は、「採用・育成する人物像を再定義」しなければなりません。2015年くらいから、多くの企業が「タレント人財」「40歳で役員が務まる人財」「尖った人財」を求める傾向が出てきましたが、私が組織人事コンサルティングの仕事を通して見つけた人物像の答えが「目的に尖った人財」でした。
「尖った人財」というと、専門的な能力が高いスペシャリストをイメージしがちです。そうした人財ももちろん大切ですが、企業にとって最も重要なのは、「事業目的を達成して成果を上げ続けること」です。そのため強い意志力と組織運営力で目的を達成する「目的に尖った人財」を発掘し、採用し、育成していくことが求められています。私はこの「目的に尖った人財」を「エッジソン(鋭利という意味のエッジとパーソンとを掛け合わせた造語)」と名づけました。

「エッジソン」の人物像とは

「目的に尖った人財(エッジソン)」といってもやや抽象的なので、もう少し詳しく人物像を描いてみましょう。私は日本古来の概念を用いて、下図のような「志×五徳の五角錐モデル」という人財イメージを構築しました。

人材モデル

底の部分の五角形が、人格や能力に関する五つの要件を表しています。それぞれの意味合いは次の通りです。
「智」:自ら学び、自ら問い、自ら答える力
「仁」:多様な価値観を受け入れ、その違いを乗り越える力
「勇」:自ら機会を創り出し、挑戦する力
「礼」:人として、当たり前のことを当たり前にやる力
「義」:長期にわたって逃げずにやり抜く力
底の五角形が広がって安定し、さらに高い志(目的)を持つことによって「目的に尖った人財=エッジソン」へと成長します。一方、いくら志が高くても、底の五角形が小さいと(能力が低いと)五角錐は倒れやすくなります。つまり五角錐全体が大きくて志が高いほど、よりハイレベルな「エッジソン」になれるというわけです。

社会の「分断」が若者の成長を阻んでいる

では企業において、実際にこのような観点で「エッジソン」を育み、現場で生かせているのかといえば、決して理想通りに事は進んでいません。その原因として、私は高校、大学、企業において下記のような「分断構造」があると考えました。
・高校と大学の分断=偏差値で進学先を選択することが多く、学生が本当に学びたいことを学んでいない。
・大学と企業の分断=企業が大学の教育に大きく期待しておらず、採用してから育てればいいと考えている。
・採用と育成の分断=企業の採用担当と育成担当がセクショナリズムに陥って、両者が連携していない。
・人事と職場の分断=人事が採用する人財と、職場がほしい人財が食い違っている。
大学の4年間と就職してから最初の3年間、18歳から25歳までの7年間は、本来若者が大きく成長する時期であり、私はこの期間を「ゴールデンセブン」と呼んでいます。にも関わらず、上記の4つの分断によって、せっかくの潜在能力が十分に伸びていないケースが多々見受けられます。それどころか、進学も就職もミスマッチが続いて不幸になったり、大学では「尖っていた人」が、企業に入ると「普通の人」になってしまったりすることもあります。高い能力を有する「エッジソン」を輩出していくためには、このゴールデンセブンを社会全体でいかに最適化していくかが重要なカギとなるのです。

世界一若者が育つ「人材育成国家」に

今後の企業の課題としては、上記の「分断構造」を乗り越えて「エッジソン」を発掘・採用し、育成していくことが挙げられます。こうした「次世代のタレントマネジメント」が、文化として日本中に広がっていくことにより、「日本を世界で最も若者が育つ国」にしていく必要があるでしょう。日本人だけでなく、留学生も含めて育成し、「人財育成国家」をつくっていくのです。例えば、私が関わりを持たせていただいているパナソニックさんには、伝統的に「人づくり」を重視する文化があり、エッジソンの発掘や人財育成で近年大きな成果を出しつつあります。もちろん社会を変えていくには、企業だけでなく、大学も行政も巻き込んで「産学官」で取り組むことが不可欠です。そしてもっともっと仲間を増やし、いろいろなところで同時多発的にエッジソンが生まれる土壌をつくっていきたいと考えています。

※本記事は、2020年8月20日開催オンラインイベント「パナソニックの採用責任者と語る次世代のタレントマネジメント」での樫原洋平氏の基調講演をもとに作成しました。

参考:『エッジソン・マネジメント』(樫原洋平著・PHP研究所刊)

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樫原洋平(かしはら・ようへい)
株式会社リンクアンドモチベーション 組織開発デザイン室 エグゼクティブディレクター
1980年、香川県で生まれる。一橋大学経済学部を卒業後、2003年に新卒でリンクアンドモチベーションに入社。以来、メガバンク、総合商社、グローバルメーカー、インフラ、ITなど、さまざまな業界のリーディングカンパニーの採用コンサルティングを100社以上手掛けてきた。大学教育事業の立ち上げにも取り組み、産学連携で教育プログラムを開発。早稲田大学や同志社大学の非常勤講師も務めている。2014年から2017年末まで、同社の執行役員兼西日本の組織人事コンサルティング事業の責任者を務め、採用・育成・活用を含めたトータルソリューションを提供。2018年から現職。2020年8月に著書『エッジソン・マネジメント~尖った優秀な若者をどう採用し、いかに育てるか~』(PHP研究所刊)を上梓した。

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