階層別教育のご提案

公開セミナー・講師派遣

通信教育・オンライン

DVD・テキスト他

衆知を集めること~松下幸之助『実践経営哲学』に学ぶ

2023年11月10日更新

衆知を集めること~松下幸之助『実践経営哲学』に学ぶ

能力の高さゆえ何事も自分で決めてしまう、あるいは過去の成功体験にとらわれて部下の意見に耳を貸さない経営者をときにみかけます。しかし、そのようなワンマン経営は危険であり、社員全員の知恵を生かすべきだと松下幸之助は訴えました。この記事では松下幸之助の著書『実践経営哲学』から、衆知を集めた経営について解説します。

INDEX

松下幸之助が実践した、衆知を集めた全員経営

いかに学識がありすぐれた手腕をもつ人でも、その知恵には限りがあります。ならば皆の知恵、つまり衆知を集めた全員経営を心がけることが肝要です。

衆知を集めた全員経営――これは私が経営者として終始一貫心がけ、実行してきたことである。全員の知恵が経営の上により多く生かされれば生かされるほど、その会社は発展するといえる。
私が、衆知を集めるということを考えたのは、一つには、自分自身があまり学問、知識というものをもっていなかったから、いきおい何をするにも皆に相談し、皆の知恵を集めてやっていくことになった面もある。いわば必要に迫られてやったことだといえなくもない。
しかし私は、いかに学問、知識があり、すぐれた手腕をもった人であっても、この"衆知を集める"ということはきわめて大切だと考えている。(中略)というのは、いかにすぐれた人といえども、(中略)その知恵にはおのずと限りがある。(中略)「三人寄れば文殊の知恵」という言葉もあるように、多くの人の知恵を集めてやるに如くはないのである。

日ごろから「衆知を集める」という心がまえを持っておく

衆知を集めるためにいちいち会議をするよりも、日ごろからできるだけ社員に仕事を任せ、社員がものを言いやすい空気をつくるほうが、会社全体として衆知が生かされます。

もっとも、(中略)事あるごとに人を集めて会議をしたり、相談しろというのではない。(中略)緊急のときに間に合わないこともあるし、実際問題としてもいちいち会議をしているというのでは、その手間と時間だけでもたいへんである。(中略)
だから大切なのはかたちではなく、経営者の心がまえである。(中略)日ごろからつとめて皆の声を聞き、また社員が自由にものを言いやすい空気をつくっておくということである。そういうことが日常的にできていれば、事にあたって経営者が一人で判断しても、その判断の中にはすでに衆知が生きているといえよう。
また、(中略)できるだけ仕事を任せて社員の自主性を生かすようにしていくことも、衆知を生かす一つの行き方である。
そうすることによって、その場その場で、それぞれの人の知恵が最大限に発揮され、会社全体としては、衆知が生かされることになる。特に会社が大きくなれば、全社的な判断、決定は経営責任者が衆知によって行うとしても、個々の仕事はそのようにしていくほうが、より衆知が生きてくるといえよう。

主座を保ちつつ、他人の意見に耳を傾ける

人の言葉に耳を傾ける姿勢があれば、おのずと衆知は集まります。ただ、人の考えをうのみにするのではなく、自分の主体性をもつ、すなわち主座を保つことが大切です。

いずれにしても、(中略)常に"衆知を集めてやらなくてはいけない"という心がけはもたなくてはならない。そういう気持ちがあれば、人の言葉に耳を傾けるなど、それにふさわしい態度も生まれて、ことさらに求めずともおのずと衆知が集まってくるということになるものである。
ただ、どんな場合でも大切なのは、衆知を集めるといっても、自分の自主性というか主体性はしっかりともっていなくてはならないということである。こちらの人の考えを聞き"それはそうだな"と思い、また別の人から違う意見を聞かされて"それもそうだ"というように、聞くたびにふらふら揺れ動いているというようなことでは、聞いただけマイナスということにもなりかねない。あくまで自分の主体性をもちつつ、他の人の言葉に素直に耳を傾けていく。いいかえれば、経営者としての主座というものをしっかり保ちつつ衆知を集めていくところに、ほんとうに衆知が生きてくるのである。

いつも同僚や部下から提案や報告を受けているでしょうか。社員が経営幹部や上司に話しやすい職場づくりを心がけましょう。皆の知恵を生かせば、大きな力となるはずです。

経営者・後継者限定「松下幸之助経営塾」

松下幸之助経営塾

松下幸之助の経営理念・哲学を学ぶ、経営者・後継経営者のための研修セミナー。PHP研究所が長年の研究を基にご提供する充実の10カ月プログラムです。

詳しい内容・お申込みはこちら

経営者/幹部育成TOPへ

新着記事経営者/幹部育成

×