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ダニエル・キムの「成功循環モデル」~リモート環境で「関係の質」を高める方法とは?

2021年11月15日更新

ダニエル・キムの「成功循環モデル」~リモート環境で「関係の質」を高める方法とは?

働き方の多様化の進展に伴って、リアルなコミュニケーションの量が減少し、組織の一体感が弱まったという声をよく耳にします。この状態を放っておくと、ますます遠心力が強まってみながばらばらになり、組織が機能不全に陥るリスクがあります。したがって、意図的に求心力を高め、個と組織、および個と個をつなぐ必要があるのです。
そこで、本稿では心理的な距離を近づけるためのコミュニケーションのあり方について考察したいと思います。

日本企業が抱え続けるコミュニケーション不全の問題

コミュニケーションのあり方に起因する職場のさまざまな問題は、実は今に始まった話ではなく、リモートワークが普及する前からずっと存在していました。例えば、2017年の米国ギャラップ社の調査では、日本人従業員のエンゲージメントの低さは国際的に見ても際立っていましたし、職場のメンタル不調者の数やハラスメント事案の発生件数もここ数年ずっと高止まりして推移しています。
そして、これらの問題が発生する原因の大半がコミュニケーションにあるというのが、多くの専門家の一致した見解です。中でも、最もポピュラーな説が、ダニエル・キム(元マサチューセッツ工科大学教授)が提唱する「成功循環モデル」です。

ダニエル・キムが提唱する「成功循環モデル」とは?

このモデルは、組織が成果を上げ続けるために必要な要素とプロセスを明らかにしたもので、サイクルの回し方によって、グッドサイクルとバッドサイクルの2種類に分類されます。

成功循環モデル

グッドサイクルは、組織を構成するメンバー相互の「関係の質」をまず高めることから始めるアプローチです。「関係の質」を高めるためには、メンバーの相互理解や相互尊重を深めたり、一緒に考えること、すなわちコミュニケーションを促進します。そうすると、気づきを得たり面白さを感じることができ、「思考の質」が向上して、自発的・積極的に行動するようになり、「行動の質」が向上。その結果、「結果の質」が高まって、「関係の質」がさらに向上するというように、プラスの循環が続いていくのです。

一方のバッドサイクルは、結果を追い求め、目先の業績を向上させようとするところから始まります。そうしたやり方には無理があるので、強制力や指示命令の行使、やらされ感の高まりによって「関係の質」が低下します。「関係の質」の低下は、「思考の質」と「行動の質」の低下につながります。自発的・積極的に行動しなくなるので、成果が上がらず、「結果の質」の低下、職場のさまざまな問題の発生というマイナスの循環にはまり込んでしまうのです。

つまり、このモデルが主張しているのは、生産性を上げたり、職場の問題を解決する大前提が「関係の質」の向上であり、そのためにコミュニケーションのあり方を見直すべきだということなのです。

関係の質を高める「傾聴」のコツ

では、関係の質を高めるために、具体的にどのようなコミュニケーションをとればいいのでしょうか。コミュニケーションの構成要素はいくつもありますが、現場の上司・先輩・指導員の方がたが、手っ取り早く取り組めるのが「傾聴」です。
傾聴とは、相手の話を途中でさえぎらず最後まで聴くことです。また相手のことばの奥にある本音までも理解しようと意識を傾けて聴く態度でもあります。効果的な傾聴にはいくつかポイントがあります。

1)アイコンタクト
相手と時々、視線を合わせて話を聴く

2)リアクション
うなずき、あいづちなどを加えながら聴く

3)ペーシング
相手の話し方(速さ、高低等)にペースを合わせる

4)要約
相手が話し終わった後に、要約する

なかでも大切なのが要約です。例えば、「今のあなたの話は、法人営業という仕事で成果を出すことに自信がないということなんですね」というように、相手の話を要約して返してあげるのです。そうすると、「自分の思いを受け止めてもらえた」という感覚になり、たとえ解決策が得られなくても心理的な満足感は得られるのです。

環境が変わっても人間の本質は変わらない

人間は自分の話を聴いてもらいたいという本質的な欲求をもっていますので、それを満たしてくれる上司や先輩がいてくれることは、精神的な安心感の醸成ややる気の向上につながります。そして所属するチーム全体が傾聴マインドに満ちた状態になれば、心理的安全性が担保され、さまざまな問題が解決されるはずです。
これからも、職場の環境や働き方はどんどん変わっていくでしょう。しかし、人間の本質は不変です。時代や環境が変わっても変わらない、人間の本質というものを考えながら、それに合わせてなすべきことをやっていく。それが、リモート環境下におけるマネジメントやコミュニケーションの要諦と言えるでしょう。

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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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