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成功するチームが共有する「達成感」と「追求感」

2018年12月27日更新

成功するチームが共有する「達成感」と「追求感」

成長を続けるチームのリーダーは、目標や目的を共有するだけでなく、目標の達成や目的の追求によってチームにもたらされるものにもしっかりと目を向けています。

前回の記事「リーダーはチームの存在理由を明確にできているか~目標と目的の違いとは?」というテーマで、成長し続けるチームの「目標・目的の共有」と、その違いについて解説を行いました。今回の記事では、【成長し続けるチームが共有している6つの項目】にある、「達成感・追求感の共有」について解説します。

【成長し続けるチームが共有している6つの項目】
1.逆境
2.感謝・愛
3.感動・感激
4.目標・目的
5.達成感・追求感
6.互恵学習

5.達成感・追求感の共有

達成感と追求感。これは目標と目的のそれぞれから得られる、満足感・高揚感・幸福感・喜び、といったものの総称です。前回の記事では「成長を続けるチームは、目標と目的の違いが明確になっており、しっかりと共有されている」と話をしました。成長を続けるチームのリーダーは、目標や目的を共有するだけでなく、その先にある、目標の達成や目的の追求によってチームにもたらされるモノにもしっかりと目を向けています。それが、達成感と追求感です。

目標を達成したり目的を追求し続けていく中で、仕事の成果を上げていくこと、チームが成長をしていくことはもちろんですが、成長を続けるチームのリーダーはそこにしっかりと「満足感・高揚感・幸福感・喜び」といった、チームメンバーの精神的な報酬が伴っているかにも目を光らせています。

達成感と追求感とは何か?

達成感と追求感について、もう少し詳しく解説をしていきます。その前にまず、そもそもこの「追求感」という聞きなれない言葉について触れておきます。実は追求感という言葉は、これまで世間一般にあった言葉ではありません。筆者の造語です。

ではなぜそのような言葉をつくったのかというと、それは筆者自身の過去のチームビルディングやリーダーシップ、マネジメントの成功・失敗経験や、成長し続けるチームの研究観察を続けるなかで、「成長を続けるチームでは、達成感とは違う性質の精神的報酬」を得ていると感じることが度々あったからです。

じつは、多くのチームでは、目標にばかりとらわれて目的にはあまり目を向けていません。そしてそのようなチームで得られるメンバーの精神的報酬は、目標をやり遂げたときに得られる達成感のみです。

しかし、自分たちの仕事を目に見えやすいカタチで達成未達成を判断しやすいチームもあれば、なかなかそのカタチが見えにくいチーム、もしくは目に見えたとしても短くて数カ月、長ければ数年ほど掛かってからやっとカタチにあらわれるチームもあります。たとえば、研究開発や、人材育成の仕事、農業などは最たる例です。

ですが、そのような達成感を得られにくいチームでも、成長を続けるチームは存在します。そのチームなりに、しっかりと「目標(達成)」と「目的(追求)」のバランスが取れていて仕事の成果やチームの成長と共に達成感や追求感が得られているからです。

なぜ達成感と追求感の両方が大切なのか?

先ほども少し話に出ましたが、達成感とは物事をやり遂げたときに得られる満足感・高揚感・幸福感・喜びなどの総称です。つまり達成感は大なり小なり結果が出たときに得られるものです。一方の追求感は、物事を追求し続けていくその道すがらで得られる満足感などの総称です。つまり、日々の積み重ね、プロセスそのものから得ているのです。

達成感には目に見えやすい結果とともに瞬間的で大きな喜びや満足感などが訪れますが、追求感では目に見えたカタチではなくとも自分の目指す方向に進むことそのものや、小さな積み重ねに対して、持続的で穏やかな喜びや満足感などがあります。達成と追求、この2つに対してメジャーリーグのイチロー選手は、次のような言葉で表現をしています。

「ぼくが数字で満足することはあり得ません。なぜなら数字が内容を反映しているとは限らないからです。目標を設定してそこに到達すれば、そこで満足してしまって先へ進む努力をしなくなるでしょう。毎打席、何かしら学ぶべきこと改良すべきことがあります。満足は求めることの中にあるんです。」

また、物理学者のアルベルト・アインシュタイン博士は、
「たとえば、干し草の山から針を探さなくてはならないとします。あなた方はたぶん、針が一本見つかるまで探すでしょう。私は、針が全部、見つかるまで探し続けると思います」
という言葉を残しています。イチロー選手とアインシュタイン博士、この二人がいかに達成感と追求感のバランスが取れているかがよくわかる言葉ではないでしょうか。

双方の特徴を理解して、達成感と追求感をバランスよく得る

人も組織も同じです。達成感のみでは、チームは目先の成果だけにとらわれるようになり、プロセスを疎かにしがちになります。たとえば品質の向上、安全性、より良い人間関係、誠実で丁寧な職業人生、などは追求し続けていくものです。追求感のみでは、チームはゴールのないマラソンを走り続けるような感覚で、やがて疲れ果ててしまいます。やはりメリハリは大切です。

成長を続けるチームのリーダーは、そのあたりのことをよく理解しており、達成感と追求感の両方を大切にしています。単に目標と目的を設定するだけでなく、その目標と目的を実践に移し、達成することの喜びと追求し続けていくことの喜び、その両方をチームがバランスよく得られるように、意識してリーダーシップをとっているのです。


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延堂溝壑(えんどう こうがく)
本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

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