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会議の生産性を高めるファシリテーションとは? メリットや進め方を解説

2023年2月16日更新

会議の生産性を高めるファシリテーションとは? メリットや進め方を解説

会議の議論を活性化させ、アイデアの創出に役立つとしてファシリテーションが注目されています。進行役のファシリテーターがメンバーの発言を引き出し、議論を活性化させる手法です。ここでは、ファシリテーションの内容や実践方法、必要なスキルなどを紹介します。会議を建設的なものにするために、ぜひ参考にしてください。

INDEX

ファシリテーションとは

ファシリテーション(facilitation)とは、会議を円滑に進める手法です。メンバーの発言を促してさまざまな意見を引き出し、議論を深めて最後には合意を形成します。ファシリテーションの役割を担う人は、ファシリテーターと呼ばれます。ここでは、ファシリテーションの内容や、重視される背景についてみていきましょう。

会議が円滑に進むようにサポートすること

ファシリテーションとは、会議やミーティングを円滑に進めるため、メンバーの発言を促しながら議論を活性化し、合意形成までをサポートすることです。
メンバーが会議の目的を理解し、合意に十分納得を得るレベルまでに導きます。ファシリテーションを取り入れて議論の質を高めることにより、組織の意思決定力や問題解決力のアップも期待できるでしょう。

ファシリテーションが重視される背景

近年は、グローバル化やビジネス構造の変化により、価値観の多様化が進んでいます。価値観の異なるメンバーの意見をまとめるには、ファシリテーションの手法が欠かせません。
また、環境変化が激しいなか、解決すべき課題も複雑化しています。さまざまな問題を解決していくには、これまでのような1人のリーダーがチームを牽引するスタイルではなく、幅広い解決策を導き出せるファシリテーション型のリーダーシップが必要です。
そのため、多様な価値観から生まれるアイデアを拾い上げ、チームとしてまとめるファシリテーションの手法が注目されています。

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ファシリテーションの実践方法

ファシリテーションは、主に以下の流れで行われます。

* ゴールを明確にする
* メンバーが発言しやすい場を作る
* メンバーの発言を促す
* 時間・進捗を管理する
* 合意を形成する

効果的なファシリテーションを行うには、ゴールの明確化が欠かせません。ゴールの設定により、議論のクオリティを高めることができます。また、議論を深めるにはメンバー全員が発言しやすい場を作ることも大切です。ファシリテーションの実践方法について、それぞれの内容をみていきましょう。

ゴールを明確にする

ファシリテーションを効果的に行うため、ゴールの明確化が重要です。ゴールとは、会議・ミーティングの目的を達成できたといえる状態を指します。ゴールは目的と成果に分けて考え、何を目的に何を達成するかを明確にすることが大切です。
ゴールを設定したら、メンバーに共有しましょう。共有することで論点がずれにくくなり、ゴールに向かって議論をスムーズに進められます。
ゴールの共有とともに、各メンバーに意見・アイデアを準備してもらうのも有効です。あらかじめ用意することで意見を考える時間を省き、議論を深められます。

話しやすい環境を作る

会議ではより多くの意見・アイデアを引き出すことが必要であり、そのための話しやすい環境づくりもファシリテーターの役割です。
多くの意見交換や質問により議論が活性化され、新しい発想・アイデアも生まれやすくなります。議論を深めることで、結論に対しメンバーの納得感も高まるでしょう。
各メンバーの発言を尊重し、どの意見も十分に価値があることを伝えることも大切です。
また、会議前の5~10分程度、雑談などのアイスブレイクを取り入れるのも話しやすい環境づくりに効果的です。メンバーの緊張がほぐれ、発言しやすくなります。事前に行っていた業務から頭を切り替え、これからの会議に集中しやすくなるでしょう。

発言を促す

メンバー全員が意見や質問をできるよう、ファシリテーターには積極的に発言を促したり質問したりする役割が求められます。あいづちを打つ、話を聞き返すなどしながら議論を活性化し、議論が本筋からずれてきた場合はゴールを再確認するなど、軌道修正もしなければなりません。
議論を進めていくなかで、ファシリテーターの役割は進行役です。会議の主役はメンバーである点も忘れないようにしましょう。誰かの意見に同意したり、特定の意見に反対をしたりすることがないよう注意が必要です。
議論に入り込み、議論の進行が見えなくなることも避けなければなりません。あくまで中立の立場を保ち、全員の意見に耳を傾けながら進めていきます。

時間を管理する

決めた時間内でゴールに到達するための時間管理も、ファシリテーターの役割です。あらかじめ各自の発言や議論する所要時間を設定し、進捗を確認しながら進めていく必要があります。
発言者には要点を押さえた発言をしてもらうよう働きかけ、時間を超えた場合はストップをかけることも必要です。
さまざまな立場のメンバーで構成される会議では、役職が上の人、発言力のある人の意見ばかりが出やすいこともあるでしょう。発言者が偏らず、時間通りに会議を進行させるには発言の順番を決める、決まった人だけに発言させないなどの配慮が必要です、また、考えをまとめる時間を設けてから意見交換を始めるなどの進行も求められるでしょう。

合意を形成する

ファシリテーションでは議論を随時まとめていくことも必要です。最初に設定したゴールに到達するための道筋を立て、最後に話をまとめて参加者の合意を得ます。
議論で全員の意見が一致し、異論がないということは珍しいでしょう。対立する意見をうまくまとめ、合意に運ぶことがファシリテーターに求められます。合意形成をうまく行うには、多数決をとるなど全員が納得できる合意形成の方法についてあらかじめ定めておくことも必要です。
合意を形成したら、今後の行動に向けて誰が何をするのかを決定し、全員が共有して会議を終了します。

ファシリテーションのメリット

ファシリテーションのメリット

会議で生産的な議論ができず、時間の無駄になってしまうという悩みを持つ会社は少なくありません。ファシリテーションにより、そのような悩みの解決が可能です。
ファシリテーションには、主に以下のようなメリットがあります。

* 会議を随時軌道修正し、生産性を高める
* メンバー全員の発言を引き出し、アイデアを生み出す
* 自由に意見が言えることでメンバーもモチベーションが上がる

会議の生産性を高める

会議で話が脱線したり論点がずれたりすると、結論を導き出せなかったり、問題解決ができないことになります。
そこで必要になるのが、ファシリテーションのスキルです。ファシリテーターが適切に軌道修正しながら方向性を定めることによって、そのような状態になるのを防止し、会議の生産性を高められます。さらに、時間管理の徹底でメリハリのある会議になり、参加者の時間的コストの削減にもつながります。会議によって業務に支障が出ることもなくなり、職場全体として生産性の向上を図ることができるでしょう。

ひとつの議題に何時間も費やしたり、同じ議題を何回も繰り返したりする会議は、時間の無駄というだけでなく、従業員の心身の疲弊にもつながります。ファシリテーションの導入により、これら多くの課題が解決できるのもメリットです。

独創的なアイデアを生み出す

ファシリテーションでは、メンバー全員が発言しやすい雰囲気を作ります。誰の意見も否定しないため、議論が活発に行われて独創的なアイデアも生まれやすくなるでしょう。
普段は発言の機会が少ない人や、人前での発言が苦手な人からも貴重な意見を引き出せるため、表に出にくかった革新的なアイデアを生み出すことができる可能性もあります。
変化の激しい時代には市場のニーズが変わるのも早く、新しい商品・サービスを生み出していくことが事業を発展させるために欠かせません。新しいアイデアを生み出せるファシリテーションは、企業の発展にも貢献します。

メンバーのモチベーションを高める

意見を自由に出し合える環境は、メンバーのモチベーションを高めます。上司や先輩、外部の出席者が多い会議では、なかなか自分の意見を言い出せないという社員もいるでしょう。長引くだけで成果の出ない会議では、集中力もなくなります。
効果的なファシリテーションによって心理的安全性のある場づくりをすることができれば、誰もが自由に意見を出しやすく、メンバーのモチベーションが上がり、さらに積極的な発言によって有意義な議論ができるでしょう。

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ファシリテーションに必要なスキル・能力

効果的なファシリテーションを行うために、求められるスキルがいくつかあります。たとえば、さまざま意見を素早く理解し整理できなければなりません。また、議論の内容を把握して整理する能力や、質問力・傾聴力なども必要です。
ここでは、ファシリテーターに求められるスキルを4つ紹介します。

理解する能力

会議ではさまざまな意見が飛び交います。ファシリテーターはそれらを理解し、まとめていかなければなりません。発言内容を素早く理解する能力が求められます。
メンバーのなかには、理路整然と話すことができない人もいるでしょう。自分なりに発言内容を咀嚼し、発言者以外のメンバーが理解できるように整理して伝えるのもファシリテーターの役割です。そのため、ファシリテーターには理解する能力を高めることが重要になってきます。

論点を把握し、整理する力

会議では、論点を把握して整理する能力も必要です。発言の内容を理解し、論点として深めるか否かを判断しなければなりません。論点がずれる、あるいは重要な論点を見逃して議論が進まないといったことがないよう、軌道修正していくことも必要です。
論点の把握と整理する能力は、論理的思考力の向上により身につけられます。論理的思考力とは、複雑な物事を体系的に整理し、筋道を立てる思考法です。あらゆるビジネスシーンで必要になるスキルで、このあと紹介する質問力や傾聴力の向上にも役立ちます。

質問力

メンバーの発言内容は、すべてがわかりやすいとは限りません。不明な点やわかりづらいことがあれば、問いかけて明らかにする必要があります。ファシリテーターには、そのための質問力も必要です。
メンバーの発言内容が不明確であれば、他のメンバーが理解できるような回答を得るため、適切な質問をしなければなりません。要領を得た質問をすることで発言者の頭の中が整理され、より良いアイデアを引き出すことにもつながります。

傾聴力

ファシリテーターが、積極的にメンバーの意見を聴くことで、メンバーは心を開き、安心して発言することができるようになります。
傾聴のポイントは以下のとおりです。

* 発言者に顔や体を向ける
* 発言者の目を見る
* 必要に応じて質問し、話を掘り下げる
* うなずく・あいづちを打つ
* 声の大きさやトーンを発言者に合わせる
* 発言を要約して確認する

ファシリテーターに向いている人とは?

ファシリテーターには能力やスキルだけでなく、マインドも必要です。ファシリテーションに向いているのは、以下のような人といえるでしょう。

●物事に前向きな姿勢がある
会議ではさまざまな意見が飛び交い、ときには対立することもあります。進行役のファシリテーターは、どのような状況でもネガティブにならず、前向きに会議を進めなければなりません。

●オープンマインドである
メンバーの発言を促すファシリテーターは、どのような意見でも受け入れられるオープンマインドであることも求められます。

●目的意識が高い
ファシリテーターは、常に目的・ゴールを意識して、議論を軌道修正していかなければなりません。その仕事を何のために行うのか、どのような結果を目指して会議をしているのかを忘れず、常に目的に向かって行動できる人が向いているといえるでしょう。

●好奇心が強い
ファシリテーションで話しやすい雰囲気を作るには、ファシリテーターの立ち振る舞いも影響を与えます。メンバーに関心を持ち、さまざまな意見が出されるのを楽しんでいる様子を見ると、メンバーも話しやすくなるでしょう。

●客観的な視点に立てる
ファシリテーターには、中立な立場が要求されます。誰が出した意見なのかといったことに左右されず、また特定の意見に肩入れすることなく、客観的な立場から判断し、議論を進行させていける人が向いているでしょう。

●時間を管理できる
ファシリテーションには、会議を決められた時間内に終わらせるという役割があります。日頃から時間に正確で、自己管理ができている人が向いています。

ファシリテーションを成功させるポイント

ファシリテーションを成功させるポイント

ファシリテーションを成功させるためには、いくつか押さえるべきポイントがあります。会議の事前準備やルールの設定も欠かせません。ここでは、ファシリテーションを成功させるポイントをご紹介します。

ファシリテーターはサポート役に徹する

会議の主役はメンバーであり、ファシリテーターはあくまで会議のサポート役です。自分の意見を主張するのではなく、メンバーの発言を否定せずに受け入れ、尊重することが求められます。対立があったときにも、双方のメンバーの意見をくみ取りながら、全体としての意思決定ができるようサポートします。
ファシリテーターとしては、予定外に会議が長引きそうになると、早く結論に進めたいと感じることもあるでしょう。また、共感できる意見、できない意見があるかもしれません。しかし、ファシリテーターは会議をまとめるサポート役であるということを意識し、個人としての意見にとらわれないことが大切です。

事前に会議のシナリオを描く

ファシリテーターは会議を時間内に進行させなければならず、そのための事前準備が必要です。効率良く進め、生産性を高めるには事前準備の内容に左右されるといってもよいでしょう。
事前準備に欠かせないのは、シナリオとアジェンダです。進行についてまとめたシナリオを描き、それぞれの時間配分を把握しておきます。また、会議で論ずる事項を記載したアジェンダを作成し、事前に配布して一読を依頼しておくことも必要です。アジェンダを読むことでメンバーも会議の意義やどのような議論をするかを確認し、準備して臨めます。

アジェンダには、以下の内容を記載しましょう。

* 目的
* ゴール
* 参加メンバー
* タイムスケジュール

目的とゴールを示すことで、メンバー各自が会議に参加する理由を意識でき、議論を進めるなかで論点がずれても各自が軌道修正しやすくなります。目的がわかっていれば、メンバーがあらかじめ意見などを準備し、会議を効率良く進めこともできるでしょう。
参加メンバーには議長、書記など会議での役割を記載しておくことで、会議の進行を円滑に進められます。他のメンバーにタイムキーパーの役を依頼できるのであれば、ファシリテーターは会議の進行に集中できます。
シナリオ作成で洗い出した時間配分は、アジェンダにもタイムスケジュールとして記載しておきましょう。メンバーも時間配分を把握しておけば、効率的に会議を進行できます。

アジェンダの配布とともに、アジェンダの内容についてメンバーと個別に合意を取ることも効果的です。メンバーは目的をより強く共有でき、当事者意識を持てます。会議でも意見を引き出しやすくなるでしょう。

会議のルールを作る

会議で生産的な議論をするためには、ルールづくりが重要です。禁止事項を設けるのではなく、するべき事項を設定するとよいでしょう。ルールの一例は、以下のとおりです。

* ほかの業務をせず会議に集中する
* 1人につき必ず1回は発言する
* 反論する場合は代替案や建設的な意見を出す
* 人の話は最後まで聴く
* 話した内容は評価に影響しない

例えば「人の話を批判しない」という項目を設けると、発言に制約を与えます。批判的な意見なのではないかと考え、人によっては躊躇してしまうこともあるでしょう。あくまで自由に発言できるルールを作ることが大切です。
ルールは会議ごとに設けるのではなく、会社全体の基本ルールとして設定・周知すると定着しやすくなります。

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まとめ:ファシリテーションで組織力を高めよう

無駄な会議が多い、会議の時間が長いなど、会議について課題を感じている会社は少なくありません。生産性の低い会議は時間の無駄になるだけでなく、それぞれの社員が担当する業務に悪影響を与え、社員のモチベーションを低下させます。
ファシリテーションで会議の生産性を高めれば、業務の進行や問題解決のスピードを速め、組織力の向上にもつながるでしょう。参加メンバー全員が自由に発言できることで、新しいアイデアの創出も期待できます。自社の会議に課題を感じている方、会議で独創的なアイデアを生み出したいと考えている方は、ファシリテーションを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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