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なぜ図解化がコミュニケーションに役立つのか。メリットとコツを解説

2021年6月22日更新

なぜ図解化がコミュニケーションに役立つのか。メリットとコツを解説

図解を使ってコミュニケーションを取る大きな目的は、メンバーが情報や問題意識を共有し、共通の目標に向かって「協働」していけるようにすることです。図解化のポイントを理解することで、社内の連絡・報告がスムーズになったり、顧客へのアピールがより効果的になったりもします。図解化のメリットとコツをご紹介します。

INDEX

「個別知」を「共創知」に変換する

例えば「会社全体でどのようにコストを削減していけばいいか」という問題を、複数の社員で話し合ったとします。その際、ある人は「原材料の仕入れ値を下げるべきだ」と主張し、ある人は「人件費の高騰を抑えるべきだ」と主張し、ある人は「利益率の低い営業所を統合するべきだ」と主張しました。こうした不一致は、どれが正解でどれが不正解ということではなく、コストを考えるときの「物差し」が人によって違うことで生じます。
次の段階として、全員で意見を交換し、情報を共有し、よく話し合うことによって、皆の視野がだんだん広がっていくでしょう。その結果、個人では到達できなかったレベルまで思考や発想が高められることがあります。これは一人ひとりの「個別知」が、「共創知(皆で創造していくより高次の知識)」に変換された理想的な状態だと考えられます。

「協働」を生み出すプロセスとは

このように、個々人が主張していた「個別知」を「共創知」に高め、さらに全員による「協働」を生み出していくには、次の3つのプロセスが必要だといえます。

(1)安心安全な場をつくる
・相手が安心して対話できる環境を整える。
・対話を通じて相手の自己開示を促す。
・お互いの理解を生み出す話題を整える。

(2)図解を使って共通理解を整える
・互いにしっくりくる分類基準とフレームワーク(図解の種類)を選択する。
・図解はできるだけ数値化して定量的に示す。「〇〇する」という具体的な目的語を示す。

(3)共通目的に向かって目標を定める
・相手と現状の問題意識を共有する。
・問題解決後の「あるべき姿」を話し合って共有する。
・「現状」と「あるべき姿」のギャップを埋めるための目標を具体的に定める。

「心理的安全性」を確保する

チームで何らかの課題解決に向けて「協働」していくためには、メンバー一人ひとりがチームに対して「気兼ねなく発言できる」ことが重要です。もっといえば、本来の自分をさらけ出して忌憚なく意見を述べられる場の雰囲気がつくられて、初めて互いに納得できる話し合いが可能となるのです。これを「心理的安全性」といいます。日頃から挨拶を交わし、ごく自然にコミュニケーションを取るように心がけることで、心理的安全性が育まれていくでしょう。

「対論」ではなく「対話」を

図解を活用して話し合い、協働することによって、「伝わるコミュニケーション」が実行できたといえます。ここで気をつけていただきたいのは、話し合いの場において「対論(ディベート)」ではなく「対話」を意識するということです。対論とは、仮にコスト削減に関するA案とB案があったとして、2つの論理が戦い、勝ったほうの案を採用するという方法です。その際A案が勝ったら、B案の支持者は自分の意見を変えて従わなければならないため、モヤモヤした気持ちが残る可能性があります。これに対して、話し合うメンバーがA案とB案を擦り合わせていく「対話」を意識すれば、より効果の高いC案を生み出せるかもしれません。これならA案の支持者もB案の支持者もどちらも納得し、その後の協働もスムーズに行えるようになるはずです。

「自己開示の返報性」とは

対話が重要だと述べましたが、会社のメンバーの誰もが饒舌というわけではなく、なかには人と話すのがあまり得意でない人もいるでしょう。あるいは部下に心を開いてもらえないことに悩んでいる上司も少なくないはずです。しかし、複数のメンバーで「協働」し、成果を上げていくためには「メンバー間の対話を深める」ことが不可欠です。そこでトライしていただきたいのが、メンバー全員が積極的に「自己開示」をしていくということです。自己開示には「返報性」があり、自分が開示した程度に応じて相手も自己を開示してくれるようになります。これが習慣化することで「対話」が深まり、「個人知」は「共創知」へと高められ、より困難な事業に力を合わせて取り組めるようになるのです。

図解化で問題意識を共有し協働して「あるべき姿」を目指す

図解化で問題意識を共有

何らかの問題を解決するためには、第1に「現状を認識」し、第2に「あるべき理想の姿を設定」し、第3に「現状とあるべき姿とのギャップを埋める解決策を打ち出して実行」するというプロセスを経ることになります。いずれのプロセスにおいても、それぞれ最適な「図解」を用いることで、メンバー間の問題意識を擦り合わせることが可能となります。図解の効用は、問題が視覚的・具体的に理解しやすくなり、それによってメンバー間に安心感が生まれ、相手の話を受け入れる余裕が生じることだといえます。漏れやダブりがなく、その問題を表すのに最適な図解を使って話し合うことで、その組織の問題解決能力は飛躍的に向上していくことでしょう。

「しっくりこない図解」では伝わらない

このように、図解をうまく活用することで、言葉だけでは伝わりにくい複雑な情報が相手に伝わりやすくなります。ところが、肝心の図解化が適切でないと、伝えたいことがうまく伝わらなかったり、かえって相手を混乱させてしまったりするかもしれません。「しっくりこない図解」は、逆効果になることもあるのです。

「しっくりこない図解」の例

「しっくりこない図解」になってしまう原因の一つとして、図に示す「分析基準」が適切ではない場合があります。例えば十字型の矢印(縦軸と横軸)で表を作成する「ベクトル型」のフレームワークにおいて、縦軸の上方向の矢印を「ユニーク」、縦軸の下方向の矢印を「平凡」と定めたとします。さらに横軸の左方向の矢印を「取り組みが難しい」、横軸の右方向の矢印を「簡単に取り組める」と定めて、複数の案が表のどこに当てはまるかを分布図のように記したとしましょう。

仮にA案が「ユニークかつ取り組みが難しい」、B案が「平凡かつ簡単に取り組める」と判断されたとしても、実際の事業にどう活かせばいいのか、判断に困ってしまう可能性があります。そもそもその案がユニークなのか平凡なのか、人によって受け取り方も異なるはずです。この場合、「ユニーク」か「平凡」かという「分析基準」自体が間違っていたことになります。これを例えば「効果が大きい」と「効果が小さい」という基準で分析すれば、「効果が大きくて簡単に取り組める案」を優先的に実行する、といった具体的な判断が可能となるわけです。

「伝わる図解」をつくるポイント

前述の「ユニーク」か「平凡」かという「人によって受け取り方が異なるあいまいな基準」は、図解を作成するうえで、できるだけ避けるようにするべきです。その他、食べ物が「おいしい」か「おいしくない」かも人によって感じ方が違います。さまざまな情報がすべて数字で表せるわけではありませんが、可能な限り、数値化されたデータを用いて図解化し、誰が見ても明確に理解できる形にしていくことが肝要です。

「凡例」をつけて誤解を避ける

図をつくる際の注意点として、「矢印」の形状の違いによる意味の違いをはっきりさせておかなければなりません。例えばA社とB社が双方向の矢印(⇔)で結ばれていたとすると、ある人は「相互依存の関係」だと受け取り、別のある人は「敵対関係」にあると受け取る可能性があるからです。そのような食い違いを防ぐため、例えば下記のような「凡例」を添付し、情報がより正確に伝わるように工夫する必要があります。

〇〇社 ⇔ □□社=相互依存の関係
〇〇社 → □□社=一方通行の関係

清書の前に「手描き」の図で打ち合わせる

図解を作成する際、どのフレームワークを使ってどのような伝え方をするかなど、同僚や上司と相談するケースもあるでしょう。その事前打ち合わせの段階では、ごく簡単に「手描き」で図を作成し、おおよそのイメージを把握するようにします。最初からパソコンで時間をかけてきれいな図を作成しても、目的や扱う情報にそぐわなかった場合、労力が無駄になってしまうからです。関係者との擦り合わせを通して、イメージを共有してから作成することで、より有用な図解化が可能となります。

シンプルに描く

図解は「一目で全体の概要が把握できる」ように、「シンプルに描く」ことを心がけます。ひとつの図にいろいろな情報を詰め込みすぎると、受け取った相手が全体像を把握できず、焦点が定まらなくなる恐れがあるからです。と同時に、必要な情報は「MECE(漏れなく、ダブりなく)」の観点でしっかりと伝わるよう工夫します。これにより、全体像と詳細な情報がバランスよく伝えられるようになるはずです。

図解を読み解いてフィードバックすることも大事

図解を読み解いてフィードバック

報告を受ける側も、相手がその図解を通して何を伝えようとしているのかをよく考え、正しく理解できるよう努めるべきだといえます。図解を見るときには、タイトル、説明文、どういう目的でそのフレームワークが選ばれているかなどに着目します。そのうえで、報告者に対して「これは〇〇を説明するための図解ですね」と確認することも大切です。さらに、受け取った情報を読み解いたうえで、理解した内容を自分(自社)の目的に合わせて図解化すれば、報告者との相互理解を深めることができるでしょう。

多部田憲彦氏が語る「図解コミュニケーションの有効性」

通信教育『「図解化」の技術入門コース』の執筆・監修者の多部田憲彦氏が「図解コミュニケーションの有効性」について解説しています。ぜひご覧ください。

※本記事は、PHP通信ゼミナール『「図解化」の技術入門コース』のテキストを抜粋・編集して制作しました。

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森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。

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