新入社員のための話し方・書き方のコツ~報告、プレゼンテーション、eメール
2021年4月 9日更新
伝えている内容は同じでも、話し方・書き方によって相手の印象が変わってきます。新入社員のうちに基本を教えることでコミュニケーション能力が高まり、「愛される社会人」に一歩近づくことができるはずです。
プラスの要素を後で話すと好印象
例えば何かを口頭で伝える場合、会話の最後で話したことのほうが相手の印象に残りやすいものです。そのため、プラスのこととマイナスのことを両方伝えなければいけない場合、プラスのことを後で話すようにすれば、プラスの印象を残すことができます。 例文をご覧ください。
(1)この商品は少々高価ですが、その分長持ちします。
(2)この商品は長持ちしますが、その分少々高価です。
明らかに(1)のほうが「いい印象」になっているのがお分かりいただけるでしょう。話し方一つで営業成績に差がつく可能性もあるということです。
報告や提案では、結論を先に話す
上司への報告やお客様への提案の際には、「結論」を最初に伝えることが大切です。最初に伝えたい事柄がはっきりとわかるため、話の内容も理解しやすくなります。基本的には「結論」→「理由」→「経過」という順序で話すように習慣づけるといいでしょう。
具体的には、最初に「提案事項(結論)」を話し、次に「その提案をする理由」を述べ、さらに「その提案をすることに至った経過」まで説明すれば、伝えたい内容が相手にしっかりと伝わるはずです。
プレゼンテーションでは、相手の身になって話す
特にプレゼンテーションを行う際、話を聴いてもらう相手のことをよく考えながら、言葉を選んで表現することが大切です。プレゼンテーションとは、「相手に『情報』というプレゼントをすること」だといえます。単に自分が言いたいことを列挙するのではなく、相手にとって本当に役に立つ情報を提供する(=プレゼントする)ことによって、その結果としてプレゼンをした側にも利益が返ってくるのです。
会話はセンテンスを短く!
センテンスが長い文章を読んでいると、途中で何が言いたいのか分からなくなることがあります。会話も同じです。「~であって、つまり~」「~ですが、一方では~」といった具合に、文と文をつなぎながら長いセンテンスで話をすると、結局何が言いたいのか相手に伝わりにくくなります。
短いセンテンスに区切って話すことで、相手には歯切れよく聞こえるようになり、話している側も、頭の中で内容を整理しやすくなります。さらに、センテンスごとに相手の反応を確認できるので、仮に相手が疑問を感じていたら、その都度説明を補っていくこともできるでしょう。「ひとつのセンテンスに主語と述語はひとつずつ」というくらいのつもりで、文を短く切る話し方を練習してもらうといいでしょう。
儀礼文書のマナー
ビジネスにおける連絡方法としては、eメールがすっかり主流となりました。一瞬にして相手に届き、しかも双方に記録が残るため非常に便利なのは間違いありません。しかし、挨拶状、礼状、祝い状、見舞い状などの「儀礼文書」に関しては、マナーに則って手書きで書いたほうが相手に心が伝わるものです。儀礼文書のマナーを簡単にご紹介します。
(1)手書きで書く
特に目上の方や上司への各種の儀礼文書、転勤にともなう挨拶状などは、手書きで書くことが望ましいといえます。字が上手でない場合も、誤字に気をつけながら、一字一字丁寧に書くことが大切です。一度にたくさんの人に送る挨拶状や招待状に関しては、手書きでなく印刷でも失礼にはあたりません。
(2)縦書きで書く
儀礼文書は「縦書き」で書くのが基本です。若い人の中には横書きに慣れている場合もあるかもしれませんが、特に目上の人に出す場合は縦書きが望ましいといえます。
(3)書式にのっとって書く
「儀礼文書」には、書くべき場所や用語を定めた「書式」というものがあります。これを守って書くことで、相手に対する礼儀を表すことになります。さまざまな儀礼文書の書式については、インターネットでもある程度調べられます。正式な書式のパターンや用語を網羅した専門書があれば、迷ったときに確認することができます。
eメールの書き方は?
最後に、eメールを書く際のポイントもいくつか整理しておきましょう。
(1)件名をわかりやすく
送信した相手が、件名を見た瞬間に用件が理解できるような書き方が理想です。特に目上の方や上司、お取引先に返信する際、「Re:(元の件名)」は避けて、内容に即した件名を入力し直すほうがいいでしょう。
(2)1行は30~35文字程度に
eメールで1行の文字数が多すぎると、非常に読みにくくなります。30~35文字程度で改行することをお勧めします。
(3)文字化けに注意する
特殊な文字や記号、半角カタカナなどを使うと、送信先で文字化けしてしまうことがあるので、使わないよう気をつけましょう。
(4)気持ちが伝わるように表現する
eメールでは感情が伝わりにくく、相手に冷たい印象を与えてしまうことがあります。特にお詫びやお願いの気持ちを伝える際には、より丁寧な表現を工夫する必要があるでしょう。eメールでは伝わらないと判断されたら、電話や直接会ってじっくり話すことも大切です。
※本記事は、PHP通信ゼミナール『正しくきれいな話し方・書き方』のテキストを抜粋・編集して制作しました。
森末祐二(もりすえ・ゆうじ)
フリーランスライター。昭和39年11月生まれ。大学卒業後、印刷会社に就職して営業職を経験。平成5年に編集プロダクションに移ってライティング・書籍編集の実績を積み、平成8年にライターとして独立。「編集創房・森末企画」を立ち上げる。以来、雑誌の記事作成、取材、書籍の原稿作成・編集協力を主に手がけ、多数の書籍制作に携わってきた。著書に『ホンカク読本~ライター直伝!超実践的文章講座~』がある。