新入社員の成長に影響を与えるのは上司だけではない
2017年12月 8日更新
新入社員の成長に最も影響を与えるのは、上司でしょうか? それとも同期入社の仲間でしょうか? それとも? 新入社員育成を促進する職場風土づくりについて解説します。
新入社員研修の効果が失われていくのは…
新入社員導入研修が終わると、新入社員は配属先に散っていきます。そして、こんな声が聞こえてきます。
「導入研修で、挨拶の重要性を教わりました。“挨拶は人間関係の潤滑油”ということでしたので、さっそく自分も実践しようと思ったのですが、配属先では誰も挨拶をしていません」
「研修では、顧客目線で仕事をすることが業績を伸ばすと教えられましたが、現場では効率化とコスト削減の話しか出ません」
「将来に夢をもてと言われましたが、配属された職場で3年目、5年目の先輩を見ていると、自分もあんな風になってしまうのかと、希望が持てなくなりました」
そして、やる気に満ちて目を輝かせていた新入社員が、数カ月後には様変わりした状態になっていることがあります。
実は、新入社員研修の効果があらわれるかどうかは、職場風土に大きく影響されます。研修で教えていることと職場の現状に大きな乖離があると、新入社員研修の効果が打ち消されてしまいます。また、こうした状況を放置してしまうと、やる気の低下やメンタルダウン、早期退職につながりかねないのです。
新入社員に最も影響を与えるのは先輩社員
ここで、新入社員が、職場の誰に影響を受けるのかを考えてみましょう。
下の表は、新入社員・若手社員に対する意識調査をまとめたものです。
こうした調査の結果をふまえると、新入社員に大きな影響を与えるのは先輩社員(3年目?5年目社員)の存在であることがわかります。つまり、身近な先輩社員が活き活きと仕事に取り組んでいると、いい影響が新入社員に及びますし、逆に先輩たちが働きがいを喪失していれば、新入社員に与える悪影響は計り知れないといえるのです。
新入社員が育つ組織風土をつくる
ここから言えるのは、入社から5年目くらいまでの期間に、継続性・一貫性のある教育を実施することは、新入社員を育てるだけではなく、若手社員全体の底上げにつながり、人を育てる風土が醸成されていくということです。
来春、新入社員を迎える前に、貴社の職場に人を育てる風土があるかどうか、現状を見つめなおし、課題を整理してみてはいかがでしょうか。
PHP研究所の「新入社員研修」では、周りから「愛される」社会人になるための課題を自ら考えると同時に、学生から社会人へ意識と行動の変革を促し、自律行動型ビジネスパーソンへ成長するための心構えをしっかりと学んでいただきます。
的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。