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新入社員研修、オンラインでの進め方と注意点~プログラムからメリット・デメリットまで

2021年3月22日更新

新入社員研修、オンラインでの進め方と注意点~プログラムからメリット・デメリットまで

昨今さまざまな研修がオンラインで実施されていますが、「新入社員研修」をオンラインで実施するのには、どんなメリット・デメリットがあるでしょうか。また、人事担当者として、どのような点に気をつければいいでしょうか?

INDEX

リアルとオンラインで学ぶ内容はどう変わる?

リアルの集合研修とオンライン研修では、新入社員が学ぶ内容はどのように変わってくるのでしょうか。それを考える前に、なぜ今、オンライン研修が求められているのか、そしてそもそも新入社員研修は、どういう目的で実施するのかを考えてみましょう。

コロナ禍で問われた新入社員研修の意義

昨今、企業におけるオンラインでの研修は「働き方改革」の一環として普及が進んできました。時間や場所にとらわれずに教育ができるなど、オンライン研修にはさまざまなメリットがあります。

しかし、新入社員の導入研修についてはこれまで、ほとんどの企業において集合型で行われてきました。入社式から続く慣例行事のように実施してきた企業も多いと思いますが、新入社員研修は学生から社会人へのトランジションという意義がある研修ですから、「オンラインでは不安だ」と、人事担当者が考えるのは当然かもしれません。

しかし、新型コロナウィルス感染拡大で様相は一変しました。2020年、緊急事態宣言が出されたことをきっかけに、多くの企業が集合形式の導入研修を中止・延期して、Zoomなどのオンライン会議システムを利用した研修(オンライン研修)に切り替えることになりました。

オンライン採用/研修プラットフォーム「playse.」を運営する株式会社manebiの調査によれば、2021年の新入社員研修について、「オンライン研修」が31%、「オンライン研修と対面研修を併用」が31%となり、対面研修との併用を含めると約6割の人事担当者が新入社員研修をオンラインで実施する予定と回答しています。今後もオンラインで新入社員研修を実施する企業は増えてくると考えられます。

そもそも新入社員研修の目的は?

それでは、あらためて新入社員の導入研修にはどのような目的があるのかを整理してみましょう。コロナ禍で集合研修ができなくなったことで「そもそも新入社員研修の目的は?」「どのようなゴールを目指すのか」という本質的な問いに、あらためて向き合うことになった人事担当者も多いと思われます。

導入研修の目的は、具体的には以下のようなことがあげられます。

  • 学生から企業人・社会人への意識変革
  • 仕事の基本やビジネスマナーの習得
  • 会社の考え方(理念、社是、ビジョン等)の理解
  • 基礎的な業務・業界知識の習得
こうした目的を達成するために新入社員は導入研修を受け、組織の一員としての自覚をもつようになります。そして職場に適応するとともにエンゲージメントを高めます。

人事担当者としては、導入研修後も引き続き、彼らの離職防止と早期戦力化を図っていくということになりますが、1年後に求められる新入社員像(=目的)を明確にし、教育・研修の内容を決めていくことが大切です。

オンラインでの新入社員研修の内容は?

新入社員研修の内容については、オンライン研修だからといって、従来と大きな違いはないでしょう。たとえば、PHPゼミナールの「新入社員研修」では次のような内容になっています。

  • 組織人としての心得
    (学生と社会人の違い/社会人としての心構え/私の会社の役割 など)
  • ビジネスマナーの基本
    (言葉遣い、敬語/挨拶、お辞儀/ビジネス電話/名刺交換、接遇/ビジネス文書、メール など)
  • 仕事の基本心得
    (チームワーク/コミュニケーション/報連相/PDCA など)
いずれも円滑な職場導入に大切なことばかりですが、これらをオンラインでどう研修していくのかを検討するにあたっては、オンライン研修のメリットとデメリットを把握しておく必要があります。

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新入社員研修オンライン化のメリット

コロナ禍を契機として否応なく実施することになった感がある新入社員のオンライン研修ですが、ここで、そのメリットを確認していきましょう。なお、一般的なオンライン研修のメリット・デメリットについては、こちらの記事をご参考にしてください。

ご参考:オンライン研修のご提案 ~メリット・デメリット、事務局の役割

遠隔地からでも参加できる

オンラインで新入社員研修を実施する場合、当然のことながら会場に集まらなくてもよくなります。地方拠点に配属予定の人やテレワーク中心の人でも、移動せずに研修を受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。

交通費などのコストが削減でき、人事の業務負担も減る

これまでの新入社員研修の場合、移動に伴う交通費や宿泊費、時間的なコスト、テキスト・資料の印刷代、会場代などの経費がかかっていました。また人事部門も、それらの手配や会場設営が不要となり、業務負担が軽減できます。研修終了後のアンケートもオンラインなら手間がかかりませんので、プログラムの策定などの本来業務に集中できます。

新入社員が気軽に質問できる

これまでの集合研修では疑問点があっても、大勢の前での恥ずかしさもあり、質問を躊躇してしまうという新入社員は少なくありませんでした。しかし、オンライン研修であればチャット機能を使って気軽に質問できますし、講師はその内容をシェアし、全体で理解を深めることができ、質的向上が期待できます。

講師は新入社員の様子を把握しつつ進行できる

オンライン研修の場合、受講者の顔が画面に表示されます。研修講師は、新入社員たちの表情をみながら「集中して受講できているか」「理解しているか」などを読み取ることができるので、状況にあわせて進行することができます。この点も大きなメリットといえます。

オンライン新入社員研修のデメリット

オンライン研修には上記のようなメリットがある一方、デメリットもありますので、あわせてチェックしておきましょう。

ネット環境に左右される

新入社員研修に限ったことではないのですが、オンラインでの研修やイベントはネット環境に左右されます。環境が悪い場合は、音ズレや映像の乱れといったトラブルが生じ、接続が途中で切れてしまうということもあります。それらが頻繁におこれば、やはり研修の質は下がります。そのようなことのないよう、ノートパソコンやマイク、ヘッドホンはもちろん、通信環境が不十分な場合はモバイル型Wi-Fiを貸与するなど、事前の準備が欠かせません。

集中力が保ちにくい

新入社員は適度な緊張感をもって入社してきますから、研修への参加意欲は高いといえます。しかし、オンラインになるとPC画面を見て話を聴く時間がどうしても長くなるため、集中力が保ちにくくなります。そこで、グループワークをとりいれる、新入社員が意見や感想を発表する機会をつくるなど、一方的に講義を聞くだけの研修にならない工夫が必要です。また、集合研修よりも休憩時間をこまめにとるなどの配慮も求められるでしょう。

実習型・訓練型には不向き

オンラインでの新入社員研修は、実習や訓練といった実際に身体を動かすアウトプットには不向きです。そのため、実習をともなう研修を企画する場合は、座学をオンライン研修で、実習は集合型研修で、フォローはOJTでというような工夫が必要でしょう。

受講者同士の交流が生まれにくい

オンラインでの新入社員研修は、受講者同士の交流が生まれにくいということもよく指摘されます。たしかに休憩時間に雑談をしたり、いっしょにランチをしたりということがなく、ひたすらリモートでオンライン研修を受けているだけでは、仲間意識や一体感は得にくいかもしれません。そこで、社内SNSやビジネスチャットを活用したり、オンライン懇親会を実施するなど、コミュニケーション機会を意識的につくることが大切です。先輩社員とのオンライン面談の時間をつくったり、メンター制度をとりいれると、より効果的です。

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オンラインで新入社員研修を実施するポイント

新入社員研修をオンライン化するメリット、デメリットを確認してきましたが、それらをふまえて、オンライン研修を実施するうえでのポイントを整理していきましょう。

集合、オンライン、eラーニングのブレンド型研修が主流に

今回は、ZoomやMicrosoft Teams 、Google meet、LINEミーティングなど、オンライン会議ツールを活用した研修についてみてきましたが、新入社員研修の方法としては、eラーニングや通信教育といった自己啓発もあります。

テレワーク時代の新入社員研修は、さまざまな手法を組み合わせたブレンド型ですすめることが一般的になっていくでしょう。それぞれの手法にもメリットとデメリットがありますので、何をどの手法で学ばせるのが効果的か、ひとつひとつ検討することが重要です。

新入社員教育の手法

たとえば――

  • 社会人としての心構えや仕事観の確立には集合研修やオンライン研修で
  • 知識を習得させるなら自分のペースで学べるeラーニングや通信教育で
  • 実習が必須なものは集合研修やOJTで

といった具合に整理していくのです。新入社員研修は毎年の恒例となっていることから、何年も変わっていないという企業もあるかもしれません。これを機会に、教育計画と研修プログラムの棚卸と再点検をおすすめします。

外部講師や研修会社の活用も

教育計画、研修プログラムを見直すにあたっては、すべてを社内リソースで行うのではなく、外部講師や研修会社のサービスの利用も、あわせて検討してみてください。

新入社員研修は人事担当者が社内講師を務めるなど、内製化して実施する企業もあります。しかし、オンラインで実施する場合にはこれまでとは異なるノウハウが求められます。とくに、相互のコミュニケーションやグループワークで気づきを促すタイプの研修では、高度なインストラクションのスキルが求められます。その点、プロの講師や研修会社は、オンラインに特化した質の高い研修の実績・経験も豊富ですから、安心して任せることができるでしょう。

また、eラーニングや通信教育にもさまざまなコースがあります。内製化したものより興味関心を維持しながらわかりやすく学べる工夫がなされているコンテンツもたくさんあります。事前に人事担当者が体験受講できるケースがほとんどですから、ぜひ活用を検討してみましょう。

まとめ

今回は、オンラインで実施する新入社員研修の意義や目的を踏まえつつ、メリット・デメリット、実施のポイントをご紹介しました。

  • 新入社員研修の意義は学生から社会人へのトランジッションにある
  • オンライン研修は、その特性をふまえて実施する
  • 集合・オンライン・eラーニングのブレンド型研修がおすすめ
  • 質の高い外部サービスも検討する

コロナ禍の先行きが見通せない中で、これまでと同じように新入社員が一堂に会しての集合研修が実施できない、あるいは日程が限られてしまうという企業も多いと思われます。人事部門には、そうした状況にあっても、彼らの成長の土台をしっかりとつくり、配属後の職場でスムーズに受け入れられるよう、これまでの常識にとらわれない新しい発想で教育をデザインし、提供していくことが求められているのです。

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