日本軽金属株式会社様~女性の力を活かして組織力向上
2016年8月16日更新
アルミニウムの原料から加工製品に至るまで、アルミニウム総合メーカーとして、私たちの暮らしや生活環境の向上に貢献しておられる日本軽金属株式会社様。PHP講師派遣セミナーを活用した人材育成、女性活躍支援について取材させていただきました。
研修で女性社員のさらなる活躍を期待
人事部部長・入山豊様におうかがいします。
Q.まず、貴社の事業内容について教えてください。
●当社は、創業以来アルミニウムの原料から加工製品に至るまで、幅広い製品を扱ってきたアルミニウム総合メーカーです。アルミニウムは多くの優れた特性を持ち、社会で広く使われてきた素材です。当社グループでは、長年にわたり培ってきた豊富な知見・ノウハウと、素材の持つ良さを引き出す独自の技術力を強みとして、アルミとアルミ関連素材の用途開発を通し、幅広い産業分野に多種多様な製品をお届けしています。
Q.貴社では、企業体質強化の一環としてダイバーシティ・マネジメントを推進し、「人財の育成と有効活用」のため、グループ企業全体で女性社員のさらなる活躍を支援されているとうかがいました。
●多くの素材メーカー同様、当社も女性社員自体が少なく、総合職や管理職といった形で活躍する女性の割合は低い状況で推移してきました。当社では、女性の個性や特性を活かして魅力ある職場づくりをすることが企業にとって大きな活力になり、将来の幅広い事業展開につながると考え、2012年度より女性活躍支援研修「フォルトゥナ研修」を開始。職場における業務改善活動が次々と実施され、組織の活性化に効果をあげています。
Q.女性活躍支援研修「フォルトゥナ研修」を導入した理由は?
●当社女性社員の多くがいわゆる「一般職」であり、与えられた仕事をコツコツとこなすことが優秀であるとされてきました。しかし、真に女性がその力を発揮している、活躍しているといえる企業であるためには、そこから一歩踏み出してさまざまなことにチャレンジする、自ら率先して仕事をする、チームを率いてリーダーシップを発揮するということが求められます。またそれが、女性自身の幸せにもつながるのではないでしょうか。「フォルトゥナ」とはローマ神話の幸福の女神で、フォーチュン(幸運)の語源でもあり、会社と女性の幸福を願って命名しました。受講生に対しては、仕事に対する意識づけ、キャリアデザインに関する教育、職場での業務改善、後輩の指導などを専任講師の指導のもと行なっています。また、上司に対しても、多様化している人財の活用・管理についての研修を行なっています。
Q.研修プログラムのつくり方のポイントは?
●当社では十数年前から、入社15~20年の製造現場の三十代男性中堅社員を対象に職場を活性化させる研修を実施し、社員のレベルアップに一定の成果が出ています。よって、「フォルトゥナ研修」においても、このプログラムをベースにPHP研究所さんと相談しながら開発に取り組みました。男性と女性では特性が違いますから、まったく同じ内容というわけにはいきません。新しく講師をお願いする方とも打ち合わせを重ね、女性に特化した研修として衣替えをしながら進めてきました。
Q.現場の理解を得るため、どのように説明されたのですか?
●研修生の上司にあたる人、事業部の責任者などには、何のために女性が研修を受けるのか、その目的を一人ひとり丁寧に説明しました。研修が単なる座学ではなく、カリキュラムに改善活動を盛り込むことによって、本人が改善した年間コストダウン金額や売上増となった金額が、研修のコストよりも効果が高かったことを示しながら、上司や所属部門の協力を仰いでいます。
Q.講師選びのポイントは?
●男性の視点のみで選ぶと、女性の視点から見ての「憧れの人」であるかどうかがわかりません。外部での豊富な経験があり、組織の中でリーダーシップを発揮して働いた経験のある人が講師を務めることが望ましく、それが企業にとっても適切だと思います。PHP研究所さんには、受講者本人にとって大切なこと、企業活動において大切なこと、その双方をきちんと説明することができて、なおかつレクチャーできるゼミナール講師を紹介してもらえました。
受講する女性社員の不安感を取り除くことが大切
Q.女性社員の方々は、受講の呼びかけにどう反応されましたか?
●ぜひ受講したいと自ら希望した人、受講の呼びかけに喜ぶ人もいましたが、大きいケースが半数以上だったのではないでしょうか。
Q.どうやってその不安感を取り除いたのですか?
●この研修にあたっては、まず受講者の不安感を払拭することが大きな課題でした。まず初日には、男性の研修とは違って丁寧に、「女性としてどう生きるか」「会社の中での女性の生きがい」といったテーマを理解してもらうことにかなりの時間を割いています。とりわけ女性に、「前向きに取り組んでいこう」という気持ちになってもらうためには、時間がかかっても、きちんと段階を踏みながら丁寧に対応することが大切だと思います。
Q.女性活躍支援研修には、具体的にどのような効果がありましたか?
●修了してからは、「広い世界を見ることができた」「いい経験になった」という人が多く、そこで深まった受講者同士の新しいつながりも、その後大いにプラスになっているようです。それまで比較的狭い分野でやっていた仕事を、自己の力で大きく広げていく事例も増え、さまざまなグループ拠点の人材が有機的に結びつきつつあることを実感しています。例えば、全社で新しい取り組みを開始するといった場合でも、「あの支社には一緒に受講した仲間がいる」となると、女性はより一層やる気が出るようですね。受講後のコミュニケーションという点においても、男性より女性のほうが密であり、さらなる能力の発揮に役立っているのではないでしょうか。いずれにしても、この研修がグループ企業全体の女性活躍推進に大きく寄与していることは間違いありません。
女性が変われば会社が変わる
続いて、日本軽金属健康保険組合事務長・林いづみ様におうかがいします。
Q.林事務長ご自身は、この女性活躍支援研修を受講されていかがでしたか?
●この研修を受けていなかったら、管理職の任命を打診されても素直に喜ぶことができず、「どうして自分が?」という疑問ばかりが先に立っていたと思います。受講したことで、「求められた役割は受けてみよう。もしうまくいかなかったら、自分から変えていけばいい」と大きな気持ちで受け止めることができました。今考えてみれば、受講したからこその現在の自分、事務長という立場であるようにも思います。
Q.PHPゼミナール講師の印象はどうでしたか?
●戸辺美由起講師、私たちは親しみを込めて「美由起さん」とお呼びしているのですが、美由起さんの多彩な経験を聞かせてもらえるのは、私たちにとってものすごく大きなことです。仕事についての話だけでなく、生まれたときからのことまでオープンに語ってくださるので、こちらも心を開いて取り組もうという気持ちになります。数日間を共にしただけとは思えないほどの人間関係ができるのは、カリキュラムだけでなく、講師のお人柄によるところも大きかったと思いますね。
Q.事務局として感じる研修の意味は?
●回を重ねるごとに、前向きな気持ちで参加する人が増えているように感じます。事前にプロフィールを記入してもらうのですが、「以前に受講した先輩がとてもいい影響を受けていると思ったので、自分も楽しみに参加しました」というコメントも多くなりました。実際、研修をきっかけに職種転換や管理職登用となった女性社員も増えています。また、研修は毎回決まった方法を厳守するという形ではなく、毎年度の受講者に合わせて新しい課題を取り入れたり、アトラクションを変更したりと柔軟に対応してくださっています。よって、研修そのものも進化していきますし、参加するうちに受講生もどんどん進化して、何事も前向きに取り組むようになります。職場での意見の違いによる葛藤や、上司との行き違いなどに悩んでいた社員も、「自分が変われば相手も変わる、職場もこんなに変わるんだ」と実感し、仕事に対する姿勢が変わっていくようですね。社員一人ひとりのマインドの変化が顕著で、それが部門のベクトルを強化することにつながり、組織の活性化に大きな効果を及ぼしていると思っています。
インタビューにご協力いただいた日本軽金属の皆様、ありがとうございました。
※企業名、ご部署・お役職は、取材当時のものです。
【会社概要】
日本軽金属株式会社
明治32年の創業以来、アルミニウムの原料から加工製品に至るまで、幅広い製品を扱ってきたアルミニウム総合メーカー。長年にわたり培ってきた豊富な知見・ノウハウと、素材の持つ良さを引き出す独自の技術力を強みとして、アルミとアルミ関連素材の用途開発を通し、幅広い産業分野に多種多様な製品を届け続けている。「社員には楽しさを、お客様には感動を、株主には喜びを、地球には優しさを」を行動理念として、人々の暮らしの向上と地球環境の保護への貢献を目指す。
http://www.nikkeikin.co.jp/index.html