研修会社の選び方~必ずチェックしたい10のポイント
2020年11月 5日更新
外部の研修会社を使うときには、ソリューションを提供してくれる会社かどうかをチェックする必要があります。研修会社の選び方のポイントをご紹介します。
外部研修のメリット・デメリット
外部の研修会社を使う前に、まずは何のために研修を実施するのか、目的を明確にしておかなければならない。その目的に応じて、外部の研修会社に依頼するのか、社内の教育担当者が指導するのか、現場の上司が指導するのかを決める。
外部の研修会社は、研修の企画・運営のノウハウや他社の研修情報を持っているので、講師の選定、企画について相談ができる。外部のブレーン・パートナーとしての関わりを求めるならば、研修効果は最大限に発揮できるが、単なる業者として活用すると、講師派遣だけで終わってしまう。外部の研修会社に相談をする際は、何のために、どのレベルまで相談をするのか、また、何がメリットであり、デメリットなのかを理解しておかなければならない。
メリット
1)社外の情報やノウハウが利用できる
2)講師が充実している
3)社内講師が指導するより社外のプロの講師の方が説得力がある
4)研修の段取りをしてくれる
5)プログラム・内容を考えてくれる
デメリット
1)社内の実情を深く知らない
2)一般的な内容になる恐れがある
3)研修会社の担当者のレベルで提案内容が違う
4)会社によっては、売込み的な営業活動をしてくる
5)コストがかかる
研修会社が提供するもの
研修会社は、講師や研修カリキュラムを提供するだけではなく、企業の問題や課題に対してソリューション(問題解決)を提供しなければならない。自社のあるべき姿、現状の何が問題なのか、その問題を解決するためには何が必要なのかをヒアリングして、研修を提供してほしい。この事前ヒアリングの質・内容で研修が成功するか、成功しないかが決まると言っても過言ではない。
「最近、部下からの報告・連絡・相談がこない」という問題に対して、よく「報告・連絡・相談」の研修をしたいという依頼を受ける。しかし、現場の部下にヒアリングをしてみると、部下からの報告に対してアドバイスをしない、報告の際にパソコンを打ちながら聞いているなど、上司の報告を受ける姿勢に問題がある場合が多い。いくら、部下に「報告・連絡・相談」の重要性を研修で指導しても、上司が変わらなければ何も効果が出ないということだ。
外部研修会社のヒアリングをする担当者のレベルが低ければ、言われたとおりの研修を提供してしまう悪いケースだ。また、研修会社の担当者は、研修が始まると、講師任せにして帰ってしまう担当者も多い。これでは、品質のチェックや品質を上げるためのサポートなどできるはずがない。研修会社の担当者の仕事の姿勢が研修効果に大きく影響する。
研修後では、受講者の満足や研修担当者の満足だけではなく、成果を出すアドバイスを提供しなければならない。
研修会社をチェックするポイント
外部の研修会社に頼む際は、研修カリキュラムだけを提供する会社(担当者)か、ソリューションを提供してくれる会社(担当者)か、また自社の教育担当者の立場で親身になって相談に乗ってくれる会社(担当者)かを見分ける必要がある。では、どこをチェックすればいいのか、10のポイントをまとめているので評価していただきたい。
1)自社に合った情報やノウハウを提供しているか?
2)自社のこと・自業界のことを事前に調べているか?
3)自社の教育担当者としての視点でヒアリングしているか?
4)自社の問題・課題を明確にして、提案をしているか?
5)部下に任せたりしないで、1人の担当者が最後までフォローしているか?
6)要望や質問に対して、迅速に対応しているか?
7)研修の準備物や運営など、段取りをサポートしているか?
8)講師にすべて任せていないか? パイプ役になっているか?
9)研修会社の強み・特徴・成功事例を説明しているか?
10)研修終了後、現場で活用するためのフォローまでアドバイスしているか?
よい研修会社・悪い研修会社
外部の研修会社は、得意としている専門分野や内容、講師のレベルなど、さまざまな特徴や強みがある。
教育担当者は、研修の稟議を上司に通しやすくするために、有名な研修会社や有名な講師を選びがちだが、研修の目的は現場で成果を上げることである。そのためにも、研修会社の得意としている分野や特徴を理解し、自社に合った研修プログラムや研修講師を持った研修会社を活用しなければならない。
ここで「よい研修会社」と「悪い研修会社」を見極めるポイントを紹介しておくので、入念にチェックしていただきたい。
※出典:『[実践]社員教育推進マニュアル』(2009年1月・PHP研究所発行)
茅切伸明(かやきり・のぶあき)
株式会社ヒューマンプロデュース・ジャパン 代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業後、(株)三貴入社。 その後、(株)日本エル・シー・エー入社。 平成1年3月 住友銀行グループ 住友ビジネスコンサルテイング(株)(現SMBC コンサルティング(株))入社。セミナー事業部にて、ビジネスセミナーを年間200 以上、企業内研修を50以上担当し、他社のセミナーを年間50以上受講する。 平成18年4月 (株)ヒューマンプロデュース・ジャパンを設立。「本物の教育」「本物の講師」「本物の教育担当者」をプロデュースするという理念を掲げ、現在まで年間500以上、累計8,000以上のセミナー・研修をプロデュースするとともに、セミナー会社・研修会社のコンサルティング、セミナー事業の立ち上げ、企業の教育体系の構築なども手掛ける。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』、通信教育『メンタリングで共に成長する新入社員指導・支援の実践コース』(以上、PHP研究所)、『だれでも一流講師になれる71のルール』(税務経理協会)
松下直子(まつした・なおこ)
株式会社オフィスあん 代表取締役。社会保険労務士、人事コンサルタント。神戸大学卒業後、江崎グリコ(株)に入社。新規開拓の営業職、報道担当の広報職、人事労務職を歴任。現在は、社会保険労務士、人事コンサルタントとして顧問先の指導にあたる一方、民間企業や自治体からの研修・セミナー依頼に応え、全国各地を愛車のバイクで巡回する。「人事屋」であることを生涯のライフワークと決意し、経営者や人事担当者の支援に意欲的に向き合うかたわら、人事部門の交流の場「庵(いおり)」の定期開催や、新人社会保険労務士の独立を支援するシェアオフィス「AZ合同事務所」の経営など、幅広く人材育成に携わっている。著書に、『実践社員教育推進マニュアル』『人事・総務マネジメント法律必携』(ともにPHP研究所) 、『採用・面接で[採ってはいけない人]の見きわめ方』『部下育成にもっと自信がつく本』(ともに同文舘出版)ほか。