フィードバックの受け方をチェックリストで確認!
2020年2月18日更新
上司のフィードバックを受けたときに、キレたり極端にへこんだりする部下はいませんか? せっかくのフィードバックの効果を減退させないように、部下の視点に立って上手な受け方をご紹介します。
上司のフィードバックに、ネガティブな態度をとる部下
フィードバック文化を組織に定着させるためには、上司の心構えやスキルの問題もありますが、部下のほうでも、上手な受け方を習得する必要があります。フィードバックには、時には耳の痛い内容も含まれていますので、受ける側は高ストレス状態に陥って、ついつい以下のような態度をとってしまいがちです。
1)激昂
「課長は何もわかっていません!」「では言わせてもらいますが、課長のやり方にも問題があると思います!」などと、フィードバックの内容にキレる、反論する
2)言い訳
他責の姿勢で、うまくいかない原因を他に求め、フィードバックを受け入れない
3)沈黙
「君はどう思う?」と話を向けても、黙ることで不満を表す
4)馬耳東風
相手の話を聴いていない。どんなにフィードバックをされても、右から左へ聞き流す
5)意気消沈
フィードバックされたことで極端にへこむ。泣く。いつまでたっても、やる気が上がらない
このような受け方では、せっかくのフィードバックの効果が減退してしまいますし、上司も今後、フィードバックをすることにためらいを感じるでしょう。結局、フィードバックをする側、受ける側、双方にとって得るものがない、残念な結果となってしまうのです。
自身のフィードバックの受け方を客観視する
部下としてフィードバックを受ける際の課題は、自分自身では案外、認識しにくいものです。そこで、自身のフィードバックの受け方を客観視するためのガイドラインとして、以下のようなチェックリストを活用することも有益でしょう。
フィードバックの受け方チェック
以下の設問に対する自身の現状について、〇(はい)、×(いいえ)、△(どちらともいえない)のいずれかで回答してみましょう。
( )こまめに、自分の行動や仕事ぶりについて上司にフィードバックを求めている
( )仕事上、接点の少ない人に対しても、フィードバックを求めている
( )どんなフィードバックがほしいかを明確に相手に求めている
( )相手が同年代の人や後輩であっても、フィードバックをされたら受け止める
( )耳が痛いことも言われても、ふてくされたり、腹を立てたりすることはない
( )耳が痛いことを言われても、言い訳したり、自分を正当化したりしない
( )耳が痛いことを言われても、過度に落ち込まない
( )耳が痛いことを言われても、言ってくれたことに感謝する
( )フィードバックを受けたら、素直に受け止め、今後の行動に活かしている
( )フィードバックを受ける時は、相手の目を見てうなずきながら聞いている
( )フィードバックの意味が理解できないときは、納得いくまで相手に質問している
( )フィードバックされた内容を書き留め、忘れないようにしている
( )フィードバックによって自分にどんな変化が起きたかを、相手に報告している
( )重要な仕事が終わったら、良かった点、反省点を振り返っている
( )フィードバックが自分の成長につながると考えている
自身の成長につながる、上手なフィードバックの受け方
いかがでしたか? 自身のフィードバックの受け方の課題を認識できたでしょうか。では、今後「受け方上手」になるための4つのポイントをご紹介いたします。
(ポイント1)不明点をなくすこと
上司との面談時には、アイコンタクトやあいづち、うなずきを入れながら、しっかり話を聴くこと。また、上司の話の要点は必ずメモをとること。そうすることによって、「フィードバックをしっかり受け止めています」というメッセージが上司に伝わります。
そのうえで、上司から伝えられた情報の中で、理解できないことや、上司の考えの背景にある具体的な根拠等を質問して、不明点をなくしていきましょう。
(ポイント2)納得すること
最初から抵抗したり、言い訳を言ったりしないこと。また、感情的にならずにオープンな心で受け止めること。そのうえで、上司との見解のずれがあるときは自分の考えを簡潔に述べ、お互いの納得感を高めましょう。
(ポイント3)明日からの行動計画に落とし込むこと
忘れないうちに、面談時にとったメモを整理し、具体的な行動計画に落とし込むこと。作成した行動計画は上司に報告して了解を得、さっそく実践すること。その後、行動の進捗状況と課題等、自己の棚卸を随時行いつつ、随時、上司に報告しましょう。
(ポイント4)感謝の気持ちをもつこと
フィードバックをするのは上司にとっても楽ではないことを理解し、自分の成長のために耳の痛いことを言ってくれたことに感謝しましょう。そして、フィードバックがきっかけで、自分に好ましい変化が表れたら上司にすぐに報告しましょう。そのことが上司の喜びにつながり、より一層あなたの成長を願ってくれることでしょう。
上司-部下の共同作業でフィードバック文化をつくる
フィードバックは[上司→部下]の一方通行ではなく、[上司←→部下]の双方向のやり取りを通じて、成果が上がりやすくなります。お互いが、その意義を理解したうえで、部下は自身の成長のために上司にフィードバックを求めていく、上司はその求めに応じてフィードバックを適切に行う。そういうやりとりが常態化した職場が、「フィードバック文化が定着した職場」として人と組織の活性化、業績の向上を後押しするのです。
※参考文献:『フィードバック入門』中原淳著(PHPビジネス新書)
的場正晃 (まとば・まさあき)
PHP研究所人材開発企画部部長
1990年、慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。