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人材投資の成果を最大化するDX時代の学び方とは?

2020年9月28日更新

人材投資の成果を最大化するDX時代の学び方とは?

デジタルトランスフォーメーション(DX)時代の到来を受け、社員の再教育のために人材投資を拡大する企業が増えています(※1)。 人材投資を拡大する前提は、投資に見合った成果を獲得するということですが、そのためには投資される一人ひとりが学習を最大化させるような学び方をしなければいけません。そこで本稿では、効果的な学び方について「持論」という概念に依拠しながら、その要諦を考えてみたいと思います。


"本読み"になってはいけない

PHP研究所創設者・松下幸之助は、かつて「PHPゼミナール」の会場を訪れ、受講者に対して次のようなメッセージを贈ったことがありました。

セミナーに参加してもらって、どうもありがとう。このセミナーに出席するのは今日初めてや、僕は。(中略)この研修を受けて、それぞれ各自の持ち味を生かさんとあかんな。これはひとつの共通的な考え方やな。このときはこういうようにやったけどな。今、時代も変っているからな。そのまま通用するかどうかわからん。けどね、その精神を現在の時代なり、現在の商売の状態に合わして自分で考えないといかん。そうでないと"本読み"になってしまうわけや。それでは具合悪い。本を読んで、自分の個性なり特徴を生かすやろ。それを"本読み"になったらあかん。
だから、これを聞いて、「なるほど、感ずるところがある」とすれば、その感ずるところに自分の個性なり持ち味というものをどう生かしていくか。その生かし方があかんと、力があってもあかんわけや。だから、自分というものの特色を、自分でつかまないかんな。そして、ここで聞いて参考になることは生かしていく、というふうにやらんといかんな。

1978年1月26日 PHPゼミナール「経営道コース」での挨拶
幸之助が言う"本読み"とは、得た知識・情報を鵜呑みにすることを意味しています。情報が氾濫している現代において、ネットを検索すればあらゆる知識・情報を誰もがかんたんに手にすることができます。ということは、知識・情報を保有しているだけでは、他者との差別化にはなりにくいのです。大切なのは、知識・情報に自分なりの解釈を加えて独自の意味を見出したり、新たな発想を通じて独創的なアイデアに転換するなど、インプットしたものを加工する習慣をつけることです。
「本読みになってはいけない」ということばを現代の社会情勢にあてはめて考えてみると、「知識・情報を漫然とインプットするのではなく、自分の頭で考え抜いて持論を形成せよ」というメッセージと解釈ができるでしょう。

持論とは何か

ここまで、自分の頭で考える重要性を述べましたが、その行為の結果、生み出されるものが持論です。仕事場面における持論とは、「仕事を行う際に活用する、言語化され、価値を置く、自分なりの仕事の進め方やコツ」と定義(※2)されています。自分の頭で考え抜いて形成した持論は、自分にとって使い勝手がいいので必然的に実践しやすく、仕事の効率アップや成果獲得につながりやすくなるでしょう。そして持論を実践した結果を振り返ることで、持論の強化、ないしは進化が図られ、その人の成長が促進されます。


効果的な学びを促す研修デザイン

結局、効果的な学び方とは、
(1)知識・情報をどん欲に吸収し、
(2)次にその知識・情報に自分の見解を加えるために考え抜き、
(3)その行為を通じて得た持論を今後の仕事に活かし、
(4)活かした結果を振り返って持論を進化させる
というサイクルを回し続けることなのです。
したがって、研修をデザインする際には、講義や演習の後に振り返りの時間を充分に確保し、持論化を促す工夫が必要です。また、形成した持論を研修後に仕事の中で実践させるような仕組み(実践結果のレポート提出、上司への報告、成果発表会の実施など)を作ることも重要です。
人材の格差がそのまま企業間の競争力の格差につながる時代、人材投資の効果を上げる創意工夫がこれまで以上に求められています。


※1 2020/9/11付 日本経済新聞 朝刊の記事より
※2 今城志保、藤村直子、佐藤裕子(2018)『「持論」の性質の違いが適応に及ぼす影響』産業組織心理学会






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的場正晃(まとば・まさあき)
PHP研究所 人材開発企画部部長
1990年慶應義塾大学商学部卒業。同年PHP研究所入社、研修局に配属。以後、一貫して研修事業に携わり、普及、企画、プログラム開発、講師活動に従事。2003年神戸大学大学院経営学研究科でミッション経営の研究を行ないMBA取得。中小企業診断士。

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