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研修効果測定の目的と手順

2019年1月23日更新

研修効果測定の目的と手順

研修効果の測定をどう進めるかは、人材開発担当者にとって避けて通れない課題の一つになっています。ここでは、その目的と手順、そして効果測定モデル「カークパトリックの4段階フレーム」についてもご紹介します。

なぜ研修の効果測定が求められるのか

研修で学んだことが現場でどの様に活用され、成果に結びついているのか。こうした研修効果の測定は、人材開発担当者にとっては頭を悩ませている大きな課題である。背景には、企業においての人材育成活動が「投資」として意識されるようになったことや、限られた教育予算を、選抜層などに集中的に投資するという考え方が当たり前になってきていることが挙げられる。

もう一つの背景としては、人材育成の分野に教育工学(インストラクショナルデザイン・ID)や心理学(統計)といった科学的知見、また、ヒューマン・パフォーマンス・インプルーブメント(HPI)といった考えを活用していこうとする流れがあることであろう。つまり、研修が「投資」としての位置づけとなった今日では、人材開発部門の役割は、良い研修を見つけて実施することではなく、研修実施を通じて、組織戦略を推進して成果達成のプロセスに貢献することである。そして、その責務達成が果たされたかどうかを見極めるために教育効果を測定することは必然の流れとなっている。

研修効果測定の目的

それでは、具体的には何を測定すれば良いのであろうか。まず初めに研修効果を測定し、評価する目的を整理してみると、一般的には以下に述べる項目となる。

1. 学習者の学習目標が「どの程度達成されたか」を評価・確認する
学習者が新しい知識やスキルを身につけて学習目標をどの程度達成したかを判断する

2. 学習した内容が現場(仕事)にどの程度適用されているかを確認する
学習で得た内容(知識・スキル)が実際の仕事にどの程度活用されているかを特定する

3. 1.2.の結果から、提供したプログラムの改善点を確認する得られた評価結果から、研修プログラムのどこを修正すれば良いか明確にし、次回研修に反映する

研修効果測定の手順

このような研修効果測定の目的を果たしていくためには、どのような手順で進めていけば良いであろうか。研修目的や必要性の背景がすでに共有され、研修の学習到達点や研修内容が理解されている前提があれば、研修効果測定の一般的手順は次のようになる。

Step1:研修効果測定の目的を明らかにする

Step2:研修効果測定の詳細設計・方法を開発する

Step3:研修効果測定を実施する(データ収集)

Step4:データ分析と評価を行う

Step5:データをレポートする(研修改善の実施)

まず、研修効果測定の目的目的設定という概要の設計から入り、詳細設計に進み、測定ツールを開発し、それを用いてデータを収集する。このプロセスで大切なことは、収集したデータの信頼性を損なわないように決められた手順を遵守して実施することである。

そして次に分析結果の最終評価工程となるが、ここでもルールに則った手順で進めていくことが重要である。もし結果が低い評価であったとしても勝手に基準を変更して恣意的な解釈を行うことは厳に慎まなければならない。

そして、それら結果から不具合を発見したら改善策を検討していく。微調整で終わる場合もあれば、抜本的な研修構造の変更を余儀なくされることも起こりうる。これらの是正確認ができた時点で、効果測定活動が完了することになる。

ドナルド・カークパトリックの4段階フレーム

研修効果、すなわち研修という投資が個人や組織に与える影響を測定することは、実はその対象物の抽象度が高く、具体的な方法論を見つけにくい。そこで一般には、それらを定義するいくつかのモデルが存在する。

その代表は、ドナルド・カークパトリックの4段階フレームであろう。このモデルは、研修の影響を以下の4 つの水準に分類して体系化している。

カークパトリックの4段階フレーム

(レベル1)反応(Reaction)は、学習者の研修の受け止め方(態度や気持ち)を効果とする。研修内容を好意的に受け止め、満足感が高ければ「良」とする考え方である。

(レベル2)学習(Learning)は、提供側が意図した知識やスキルを身につけたかどうかをテストなどで測定する。

(レベル3)行動(Behavior)では、研修で獲得した知識やスキルを学習者が現場で適用(活用)している状況や期待行動を実践で発揮している度合いを評価する。

(レベル4)結果(Results)では学習者個々の発揮するパフオーマンスが組織全体の業績の向上やコストの低減に影響を与えたかを評価する。

その他、参考としてこのカークパトリックの4 段階モデルと整合性の高いツールとして、レベル4 で測定した内容を金銭的価値(ROI)に変換したジャック・フィリップスのROI モデルも存在する。

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西谷晴信(にしたに・はるのぶ)
大学卒業後、外資系製薬企業でMR・営業管理職としての経験を経て、営業分野を中心として人財開発部の仕事に長く従事。経営戦略部門の内部統制業務も兼ねながら、パフォーマンス・コンサルタントとして、ミドルマネジャーを対象に、主に「組織マネジメント」や「チームビルディング」をテーマとしたコンサルティング業務を担当。またPHP認定上級ビジネスコーチ、キャリアコンサルタントとしての経験や洞察を生かしながら、コーチングやキャリアデザインのワークショップを主宰。
2013年 大学院で心理学修士課程を修了後、人材育成学会に所属し、ミドルマネジメントをテーマとした研究活動も行なっている。

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