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組織の中で成長し続ける人材~その3つの特徴

2020年10月 1日更新

組織の中で成長し続ける人材~その3つの特徴

仕事で成果を上げ続ける人は、成長し続けている人でもあります。では、組織の中で成長し続ける人にはどのような特徴があるのでしょうか。

成長し続ける人の3つの特徴

1.成長のスパイラルを歩んでいる
2.目標の3原則を知っている
3.自分なりの目的・動機を持っている

成長し続ける人は、成長のスパイラルを歩んでいる

将棋棋士、羽生善治さんの成長哲学

将棋棋士の羽生善治さんは、棋士としての超一流の定義について、次のような名言を残しています。
「三流は人の話を聞かない。二流は人の話を聞く。一流は人の話を聞いて実行する。超一流は人の話を聞いて工夫する。」
この羽生さんの言葉が意味するものとは何でしょうか。それは、一流と呼ばれる人には実践行動が伴っているということです。そして一流を超える、超一流の定義にまで言及しているところが羽生さんらしくもあります。この羽生さんの言う「超一流」とは、まさに成長し続ける人の特徴に他なりません。
ご自身が棋士として超一流である羽生さんです、その本人が語る「超一流の定義(成長し続ける人の定義)」には大変説得力があります。
羽生さんにとって成長し続ける人というのは、ただ実行するだけではなく、考えて工夫し続ける者であるということです。しかしこれは将棋棋士だけではない、すべてのプロフェッショナルにも言える共通項でもあります。

古今東西の人々が、実践と工夫の重要性を説いている

そして、実践すること工夫する(考える)ことの大切さを唱えているのは、何も羽生さんだけではありません。
たとえば、江戸時代の農政家である二宮尊徳は「人、生まれて学ばざれば、生まれざると同じ。学んで道を知らざれば、学ばざると同じ。知って行うことを能はざれば、知らざると同じ。故に、人たるもの、必ず学ばざるべからず。学をなすもの、必ず道を知らざるべからず。道を知るもの、必ず行はざわるべからず」という、学びと実践の大切さを説いた言葉を残しています。
アメリカの教育学者ローレンス・J・ピーターもまた「失敗する人には二種類ある。考えたけれども実践しなかった人と、実践したけれど考えなかった人だ」ということを言っています。古今東西に関わらず、多くの人々がその重要性を説いているのです。

成長し続ける人に共通する、成長のスパイラル

そして当然ですが一般的な仕事の場面においても、それに違いはありません。どのような組織であっても、成長し続ける人には共通する行動パターンがあります。筆者はそれを、「成長のスパイラル」と呼んでいます。
成長のスパイラルとは、筆者が成長哲学でよく伝えている、「成長し続ける人」に共通する、物事に取り組む際のよい習慣のようなもので、「①考える → ②表に出す → ③実践する → ①考える・・・」という、螺旋階段状の成長の道筋のことです。成長し続ける人は、皆この成長のスパイラルを歩んでいるのです。

成長スパイラル

成長し続ける人は、上から見ると一見同じ場所をグルグルと回っているだけのように見えても(例えば、同じような日常語業務を繰り返している状態)、じつは横から見ると工夫を重ねてしっかりと上に向かって成長し続けています。(成長しない人は、上から見ても横から見ても、同じ場所をグルグルと回っているだけです)
まず、①の「考える」ですが、これは何かを実践するにあたって「自分は何のためにその取り組みを実践するのか」といった目的や、「今回はいつまでに何をどれくらい達成するのか」といった目標、「目標達成のために必要な道筋は何か」といった行動計画などがありますが、③の「実践」の後に行う「ふり返り」や「見直し」や「修正・調整」も含まれます。
②の「表に出す」は、①で考えたことを、自分の頭の中から外に出す、つまり目標シートやタスクシートや手帳などに書き出したり、職場の上司や先輩、同僚など、その取り組みに関わる人々にしっかりと「自分の考え」を伝えているということです。
③の「実践する」についてですが、ここでのポイントは、実践して出た結果に対して、あまり一喜一憂しないということ。
とくに仕事の成果などで一時的によい結果に恵まれたからと言って有頂天になっていると、そのあと足元をすくわれるようなことがよく起こります。
逆に、努力が報われず手痛い結果に終わったとしても、そこで終わりにせずしっかりと考えること、つまり「ふり返り」や「見直し」や「修正・調整」を行い、継続を図れば、必ず次へとつながっていきます。
この成長のスパイラルから見えてくることは、成長し続ける人というのは、単発的な成果や成長ではなく、継続的な成果や成長を目指しているということなのです。

成長し続ける人は、目標の3原則を知っている

目標をどう定義するか

成長し続ける人は、目標達成が得意です。目標達成が得意な人とそうではない人を観察していると様々な違いが見えてきます。では、成長し続ける人は、なぜ目標達成が得意なのでしょうか。いえ、それ以前に、そもそも成長し続ける人は「目標」というものをどのように捉え、定義しているのでしょうか。
実は目標達成が得意な人は、「目標」という言葉に対して明確な定義を持っています。たとえば目標の定義と言えば「達成すべき事柄」とか「自分を成長させてくれるもの」とか「目に見える形になっている指標」といったような意味合いで捉えている人が多いのではないでしょうか。
それらの定義は、それはそれで間違ってはいないのですが、目標達成が得意な人は、目標という言葉そのものにもっと明確な定義を持っているのです。では、その明確な定義とはいったい何でしょうか。
それは【目標の3原則】と呼ばれるものです。

【目標の3原則】

1.「いつまでに」達成するのか
2.「何を」達成するのか
3.「どれくらい(または、どこまで)」達成するのか

目標達成が得意な人は上記の3項目が明確で、それにより「誰が見ても、達成・未達成が判断できる」ようになっているのです。達成未達成の基準が、自分だけでなく「誰が見ても」明確である、というところが大きなポイントです。

なぜ目標の3原則が大切なのか

目標達成が得意な人が、なぜこの目標の3原則を大切にしているのかというと、この3原則が目標設定や目標達成の根幹部分になっているからです。
つまり、この3原則をしっかりと明確にできていなければ、一見すると目標らしきものは設定できても、達成・未達成を明確に測ることが出来るような、本物の目標にならないのです。
たとえば、目標の3原則の『1.「いつまでに」達成するのか』ですが、これは本当に多くの人が目標設定をするうえで見逃している視点です。小さなことで言うと、会議や打ち合わせなどの場で、今後に向けて新しい資料を作成することになったとします。目標達成が苦手な人は、「いつが納期なのか」が不明確なまま、資料作成に入ってしまいます。
また、納期が不明確なのに、明確になったような気でいる人もいます。たとえば「納期は次の打ち合わせまで」と確認をとったが、肝心の「次の打ち合わせの日程」が未確定のまま、といったケースです。その他にも、「●月▲日頃までに......」とったケースもあります。それらは、目標達成が苦手な人がよくやってしまう失敗パターンです。

納期設定に曖昧さを残さない

目標達成が得意な人はそのような曖昧さは残しません。誰が見ても、同じように判断できる基準で納期設定を行います。この「誰が見ても、同じように評価や判断ができる基準」、これが明確であるということが目標にはとても大切です。たとえば、目標達成が得意な人は「資料は、●月▲日の14時までに作成しておきます」といった具合に、曖昧さを残しません。
さらには、納期設定を相談する場合に上司に一言「遅くとも、いつまでに資料を仕上げたらいいでしょうか?」と、納期のデッドラインを明確にしておいてから、「それならば、遅くとも●月◆日までに。早ければ●月■日には仕上げられるように努めます」と、納期に「早め」「通常」「遅め」の3段階設定まで行います。
上記のたとえに限らず、目標達成が得意な人は、目標の達成期日が誰の目から見ても明らかになるよう、かなり意識的に目標設定を行っているのです。

何を、どれくらい(どこまで)達成するのか

目標の3原則の1番にある「いつまでに」という項目と違い、「何を」「どれくらい(または、どこまで)」という項目は、目標達成が苦手な人でも、意識している項目です。しかし、ここでも「誰が見ても、同じように評価や判断ができる基準」で、「何を」「どれくらい(または、どこまで)」達成するのかを設定できている人は、あまり多くありません。
たとえば、以前ある美容室のスタッフが目標設定用紙に次のような目標を書き込みました。

「4月1日~6月30日の期間(いつまで)、営業終了後の技術練習を(何を)、一生懸命頑張る(どれくらい)」

ここまで読み進めてこられた皆さんであれば、上記の何に問題があるのか、もうハッキリと理解できたのではないでしょうか。
上記の「いつまでに」はいいとして、「何を」はやや曖昧さが残ります。できればカットの技術なのか、パーマの技術なのか、さらに言えばカットやパーマの具体的にどのような内容の技術練習なのかを具体的に書き出せれば、誰の目から見ても明確です。
しかし、上記の目標設定で一番の問題は「どれくらい」の部分です。一生懸命頑張る、では他人どころか自分でも明確な評価・判断の基準が持てません。

美容室での目標設定の事例

この目標設定を行ったスタッフに対して、筆者もアドバイスを行いましたが、彼も「せっかく自分で考えたから、今回はこのままやってみたい!」ということだったので、「彼の将来の成長を考えれば、この経験もよい学びとなるであろう」と判断し、そのままの目標設定で3カ月間やってみることにしました。
結果、3カ月後の振り返りでは、目標の達成未達成が不明確なままでした。判断ができなかったからです。目標達成の振り返りミーティングでは、「自分を甘やかしたら、達成とも取れなくない」「しかし、達成扱いにしても達成感は得られない」「でも、未達成という気持でもない」「そもそも他のスタッフから見ると、彼は頑張ってはいたが目標達成か未達成かを他者視点で判断できない」「曖昧さを残すことが、こんなにもモヤモヤする結果に繋がるとは考えてもいなかった」といった意見が出てきました。
それ以降、その美容室では目標設定には目標の3原則の徹底がなされるようになりました。

目標達成の勘どころを得るために

目標達成が得意な人には「目標達成に対するモチベーションが高い」「自分の実力をしっかりと把握できていて、『あと一歩頑張れば何とか達成できる!』という、絶妙な目標設定ができる」という特徴があります。
一方の目標達成が苦手な人には、「目標達成に対するモチベーションが低い」「自分の実力をしっかりと把握しておらず、『無謀な目標設定』や『甘すぎる目標設定』をしてしまい、目標を達成しても未達成でも、成長の実感が得られない」といった人が多くいます。
しかし、目標の3原則の明確化はそれ以前の問題です。目標の3原則を明確にして取り組むことが出来るからこそ、明確な基準のもとで達成感が得られたり、自分の実力が測れるようになるのです。

成長し続ける人は、自分なりの目的・動機を持っている

「成長意欲」はどこから来るのか?

成長し続ける人は、自己成長に対する意欲がとても高く、そしてその意欲は持続性があります。自己を磨き成長し続けていくためには、仕事においても私生活においても、普段の取り組みに対して「何かしらのプラスαの物事」を実践していかなければなりません。この、「何かしらのプラスαの物事」とは、一般的に言われる自己啓発と言われるものです。
少し話の本線からはそれますが、自己啓発という言葉の意味にも少し触れておきましょう。自己啓発の「啓発」という言葉は、「気づきを与えて、一段高い視点に導く」という意味を持った言葉です。つまり自己啓発とは「自ら成長の機会を設け、自分自身に気づきを促し、自分自身を一段高いレベルに導く行為」ということです。(株)リクルートの創業者である江副浩正さんは、

「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」

という言葉を残しておられますが、まさに自己啓発を端的に表現した素晴らしい一言です。自己啓発というと高額なセミナーの受講や資格の取得を連想される人が多くいますが、そうではありません。「自己成長を真剣に考えて、自己成長に責任を持って、何事かに取り組むこと」それそのものが自己啓発です。

成長する人は自己啓発に自立的に取り組む

話を本線に戻しますが、成長し続ける人は皆、この自己啓発に対する意欲が高く、そして持続的です。ではそのエネルギーの源泉はどこにあるのでしょうか。その答えが、今回のテーマになっている「自分なりの目的・動機」にあるのです。
自己啓発に対して、周囲の求に応じて必要に迫られて取り組むのではなく、自ら必要性を感じて自立的に取り組む。これが、成長し続ける人の態度・姿勢です。周囲の求めに応じて必要に迫られて取り組んでいるというのは、極端な例で言うと義務教育です。多くの子供は学校という環境を与えられて、勉強しています。勉強嫌いの子は、学校から家に帰っても、親に「宿題やりなさい!」と言われなければ宿題を自発的に行おうとはしないでしょう。成長の機会を周囲に依存しなければ設定することができない状態、これが周囲の求に応じて必要に迫られて取り組んでいる姿勢と言えます。

リーダーに必要な「自分なりの目的・動機」

仕事においてもプライベートにおいても、誰に言われるでもなく、自ら必要性を感じて、自己啓発に自立的に取り組むことができる人というのは、やはり相応しい「自分なりの目的・動機」といったものを持っています。
ひとつ、職場のリーダーという役割を例に考えてみましょう。たとえば、世の中にはリーダーという役割を肩書であると捉えて、チームのメンバーを顎で使うような人がいます。しかしそうではなく、リーダーというものをチームのために必要な役割であると考え、その役割に対する重要性と責任を真剣に考え、自分がその役割をしっかり担える人物になれるよう、そのための自己啓発を厭わない人もいます。
上記の二人のリーダーのどちらが、成長し続ける人でしょうか。多くの人が、後者を挙げることでしょう。後者のリーダーには、おそらく理想のリーダー像というものがあります。そしてそのような自分の中にある理想のリーダー像に、努力してでも近づきたい、という自分なりの目的・動機を持っているのではないでしょうか。
実は、そのような自分なりの目的・動機を持つことを、昔の人々は「立志」と言って、とても重要視していました。

橋本左内が記した「立志」の重要性

幕末の先覚者であった橋本左内も自らのために書いたといわれる著書『啓発録』の中で、「人は、幼少期を終えたら真剣に勉学に励みなさい。そのために重要なことは、『何のために学ぶのか』という、志をしっかりと立てることである」と立志(自分なりの目的・動機を持つこと)の重要性について語っています。
左内のこの言葉は、勉強するための立志(自分なりの目的・動機を持つこと)の重要性について語っているものですが、これは勉強だけではなく仕事や人生でも同じように当てはめて言えることではないでしょうか。
そして、さらに左内は『啓発録』の中で、「立志のための4つの経験」も紹介しています。

【立志(自分なりの目的・動機を持つ)のための4つの経験】

(1)本を読み心が開眼するような影響を受ける
(2)先生や友人と学びを共にし追求する
(3)自分に大きな逆境が訪れたとき
(4)心が奮い立つような感動や感激を経験したとき

これらの項目はとてもシンプルですが、しかしだからと言って容易に立志に至れるというものでもありません。
筆者が思うに、まず一番に大切なことは、勉強であれ仕事であれ、「自分なりの目的・動機を持って事に臨む、そんな自分でありたい」と、心から強く想うことが必要なのではないでしょうか。左内の言うこれら4つの経験も、自分の心の中にそのような前提があってこそ、はじめて役に立ってくると言えるでしょう。

延堂溝壑(えんどう こうがく)
本名、延堂良実(えんどう りょうま)。溝壑は雅号・ペンネーム。一般社団法人日本報連相センター代表。ブライトフィート代表。成長哲学創唱者。主な著書に『成長哲学講話集(1~3巻)』『成長哲学随感録』『成長哲学対談録』(すべてブライトフィート)、『真・報連相で職場が変わる』(共著・新生出版)、通信講座『仕事ができる人の「報連相」実践コース』(PHP研究所) など。

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